ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

「ものづくり」も、所詮は神話か

2017年10月28日 00時00分00秒 | 日記・エッセイ・コラム

 日本人は神話が大好きなのでしょうか。

 「ものづくり」も、所詮は神話でしょう。わざわざひらがなで記すところが胡散臭いところでもあります。

 脆くも2011年3月11日に崩れ去った、原子力発電所の安全神話が、日本人が大好きで、深く信じてきた神話の代表ですが、神戸製鋼、日産自動車、スバル(SUBARU)……。時事通信社が、今日の20時55分付で「製造業、相次ぐルール軽視=揺らぐ『日本品質』」(https://www.jiji.com/jc/article?k=2017102701325&g=eco)として報じていて、その中で、トヨタ自動車の社長が「原因究明と再発防止を徹底することが『日本の「ものづくり」の強み』であり、『今こそしっかりやるべき』」と強調した」と語ったそうですが、何年も無資格者が検査を担当してきたこと自体、「ものづくり」が神話であることを物語っています。もっとも、無資格者であるから技術も経験もないという訳ではありませんから、一概には言えませんが、「ものづくり」を疎かに考えている人が少なくなかったことを端的に示しているとは言えます。

 このように記すと、「他の会社とかも同じようなことをやっているよ」と言われます。うちの妻にも言われました。そうであるなら、なおさら日本人に「ものづくり」は似合いません。今すぐにでも、まずは神話を捨て、「ものづくり」もやめてしまうほうがよいでしょう。どうせ「ものづくり」への誇りも何もないのですから(せいぜい、虚栄心などがある程度でしょう)。

 競争相手が手を抜いているなら、自分はいっそう手を入れて良い品を作るのが、本当の「ものづくり」でしょう。他人もやっているから自分も同じようなことをやる、というのでは、目新しさも何もありません。世界的に見て、日本の製造業が競争力を失った理由がわかるような気がします。

※※※※※※※※※※

 余談めきますが、鉄道車両で使われているステンレスを見ると、例えば、デビューから40年以上が経過する東急8500系の車体の外板は、今でもステンレス鋼のあの光沢を保ち続けていますが、最近の軽量ステンレスの車体では、登場して1年か2年も経つと光沢を失っています。どうかすると錆らしいものも目に付きます。ダルフィニッシュということもあるのですが、それでは説明がつかない違いも見受けられるのです。


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4 コメント

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トランプエレメント (ケンイチ)
2021-12-10 20:18:53
5Gの世界になろうが半導体で日本が復活しようが、サステナブルにはあんまり寄与しない。エネルギー変換やマテリアル革命、機械効率こそが真水のサステナブルにつながりそれはすべてものづくりという言葉で支えられていると思うがいかがかな。
「ものづくり」の具体像 (川崎高津公法研究室長)
2021-12-10 23:56:57
たしかにお書きの通りかもしれません。日本の「ものづくり」の意味、あるいは具体的に想定されている像が何なのかという問題もあるのでしょう。
プロの魂長州ホームラン (ダイヤモンド・サムライ)
2023-08-18 14:34:46
ルパン三世のマモーの正体。それはプロテリアル安来工場で開発されたSLD-MAGICという高性能特殊鋼と関係している。ゴエモンが最近グリーン・レジリエンス新斬鉄剣と称してハイテン製のボディーの自動車をフルスピードで切り刻んで、またつまらぬものを斬ってしまったと定番のセリフ言いまくっているようだ。話をもとにもどそう、ものづくりの人工知能の解析などを通じて得た摩耗の正体は、炭素結晶の競合モデル/CCSCモデルとして各学協会で講演されているようだ。
神はサイコロ遊びをする (ああいえばこういう熱力学)
2024-03-22 13:08:19
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタインの理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな科学哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。多神教的な多様性というかどこか懐かしい日本的ななにかによって。

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