青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

昭和・平成 ~良き時代の「街の景色」がここにあります。

梅田コマ劇場 ~梅田のド真ん中で露店?

2021-06-05 | 昭和・懐かしい大阪の風景

人生60年も生きていると、いろんな忘れていることがあります。ところがひょんなことから思い出す時がある!人間の脳って凄いな~と思う瞬間。(笑)昨夜、梅田の地下街のことを書いている時に、あることを思い出しました!

浪人中にも関わらず、大学の入学金や学費をためるためにバイトをしていた僕に、友人が「一緒にやろう、いい金になるぞ!」と話を持ち掛けて来たバイトは、「露店販売」。しかも山本寛斎の洋服と、もう1人誰かデザイナーのスエットの2種類が商材でした。値段が安すぎるので、「これ本物か?」という僕の質問については、友人も「そんな訳ないよな」と困惑気味でした。

外車のでかいサンダーバード?に乗った、テキ屋か何か、あんまり堅気に見えない人の車に乗せられ、連れて行かれたのは何と、ナビオ阪急の真ん前!そこに折り畳みのワゴンを出し、服を上に置いて、寅さんのように売る。



今と違い、道路を挟んで右にナビオ、左に梅田コマの路上は、人混みも無く、待ち合わせの若者もいなかった。正に大都会のド真ん中!写真の赤い囲みの位置(地図A地点)にワゴンを置いて、「山本寛斎が安いよ~!」と声を出して売る。どう考えても、やってはいけない商売だ。また街の風景に浮き上がっている!



いくら何でもナビオの前はマズイやろと、1~2時間の商いの後、数メートル移動して写真のオレンジの場所(地図B地点)、コマ劇場前へ。位置的には大して変わらないけれど、気持ち的には楽になる。ナビオは出来立て、コマはもうすぐ取り壊しの時期だからだったのか?

案の定、「誰に断って、ここで商売をしてるんや!」と、ヤクザが「みかじめ料」を求めて来る。「僕らはバイトなんで詳しいことは分かりません。大将が来た時に話をしてもらえますか?」「よっしゃ、じゃあ来たら連絡させろ」と。これが何回もやって来る。

挙句の果てには「兄ちゃんらな、知らんからってバイトやからって、何してもいいと思ったらアカンよ。学生やったら、自分のしてることの是非くらい分からんと・・」と、ヤクザに30分から説教される始末。反社会勢力に教えられるほど、情けないことはない。

それだけではなく、警察官も何度もやって来る。「路上販売の許可証は?」「責任者は?」こちらも「自分のしている仕事が、やっていいことかどうか知っててやらないと・・。ヤクザも文句を言いに来るやろ?」とお説教。

そんなこんなで大将も午後3時頃には、ここから撤退を決断し、今度はJR東淀川駅前に移動。

それでも梅田では山本寛斎が数枚、東淀川ではスエットが数枚売れた。値段は寛斎が7千円くらい、スエットは3千円くらいで結構なお値段なのに、女性が買って行った。偽物と分からないのか?友人と僕は「本物」なんて一言も言わず、「見ての通りの品物で、山本寛斎と聞いてはいますが分かりません。本物がこんなに安い訳ないですよね」と正直に言っていたのに。

僕はこの日だけで、このバイトを辞めましたが、そこそこのバイト代をもらいました。同じく苦労人の友人は数日続けたと思うけど。(笑)あれは一体何だったんだろう・・・と思い出した記憶の1コマです。その友人とは今も付き合いがありますが、この後医学部に合格、現在はコロナと最前線で闘う医師になっています。