抜粋する。
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日本とアメリカの両政府は、なぜ普天間基地の移設先としてこれほどまでに辺野古にこだわるのか。
その返還協定を締結する際には日米の間で密約が交わされていたことが後にわかった。
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この密約について、民主党政権になった2009年、外務省はようやく、有識者委員会を設置して調査を始めた。
有識者委員会で委員を務めた早稲田大学大学院の客員教授、春名幹男氏。
この密約こそ日米両政府が理由を説くカギが含まれていると指摘する。
●早稲田大学大学院・春名幹男客員教授
“核兵器を持ち込んで 貯蔵できるような施設が必ずあるはず” というのが私の見立て。
4つの基地に“核兵器が持ち込めるようにスタンバイしておいて下さい”と“いつでも引き受けられるようにしておいて下さい”と
こういうことが(密約には)書かれているわけなんですよね。
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: その中に『辺野古』が入っていたと」
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核兵器の持ち込み先として辺野古という地名が書かれていたのは1969年、当時の佐藤栄作総理、ニクソン大統領との間で交わされた文書。
『有事の際には返還後の沖縄に再び核の持ち込みを認める』という密約。
●密約文書内容から
ニクソン米大統領
「沖縄に現存する核貯蔵施設の所在地である嘉手納、那覇、辺野古、およびナイキ・ハーキュリーズ基地をいつでも使用可能な状態で維持し、
重大な緊急事態の際には実際に使用できるよう求める。」
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密約文書から・佐藤総理「そのような事前協議が行われた場合にはこれらの要件を遅滞なく満たすであろう」
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この文書の存在は、佐藤総理の密使として当時のキッシンジャー大統領補佐官らの交渉に当たった故・若泉敬氏が1994年、著書の中で初めて明らかにした。
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:日本政府は文書の存在を否定し続けたが、今から6年前、読売新聞が佐藤元総理の遺品の中から見つかったことを報じた。
末尾には、当時の佐藤総理とニクソン大統領の署名、そして「極秘」の文字がある。
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●早稲田大学大学院・春名幹男客員教授
「密約文書についてもその有効性についていろんな議論はあるんですけれども、一応交わしているわけですから。
しかもニクソン大統領と日本の総理大臣、トップ同士でサインしているわけですので、有効性はあるんですね。
そのところを見誤ってはいけないというふうに思います。」
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一方、普天間基地の移設先が名護市辺野古に決まったことと返還時の密約とは関係がないと主張する人物もいる。
防衛官僚として普天間基地の移設問題に最前線で関わってきた、
元防衛事務次官の守屋武昌氏。
●Q.「(密約に)『辺野古』という記載がある。これが(辺野古固執に)関係があるのでは強い繋がりがあるのではないか?」
●元防衛事務次官・守屋武昌氏「全くそういうことは考えていませんでした。前線の陸上基地に核を持ち込む必要は
軍事技術的にもないと思う。」
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守屋氏は、核兵器の技術が飛躍的に向上したことを理由に挙げて、辺野古が核の貯蔵庫として活用される可能性を否定する。
その上で、辺野古が選ばれた理由については、こう説明した。
●元防衛事務次官・守屋武昌氏
「(辺野古のある)北部は沖縄県の本島の面積の70%くらいですけど人口は一番少ないですよね。
それからすでにある基地の中ということで着実に移設が進められる。
反対運動の妨害活動というか、それも阻止できるということに着目しましてあそこにつくったと、こういうことなんですね。」
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これに対し、春名氏は
日本の非核三原則を念頭にこう話す。
●Q.「辺野古の交渉に当たった時には全く、核の話なんて出たことはないみたいな“議論にもならなかったですよ”
みたいなことをおっしゃる方もいるんですよ。」
●早稲田大学大学院・春名幹男客員教授
「日本側から多分、問い合わせていないと思います。アメリカ側も言っていないと思います。
したがって、アメリカ側から言われれば日本側も返答に困るわけなんですよ。」
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沖縄返還時の密約については、別の視点から着目している人物もいる。
長年、アメリカ軍の核政策について調査している軍事問題研究家の新原昭治氏だ。
アメリカ軍の核兵器の最新配備状況に関する情報をもとにこう述べる。
●軍事問題研究家・新原昭治氏
「ベルギー、ドイツ、オランダ、イタリア、トルコですね。
その多くが地下に核弾薬庫のすぐ下に造っていまして。」
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アメリカの核科学者らが発行している専門誌によれば、ヨーロッパにおけるアメリカ軍の核兵器の貯蔵先は
NATO加盟国の5カ国、ベルギードイツ、イタリア、オランダ、トルコにあると言う。
持ち込まれている核兵器はすべて『B-61』と呼ばれる核爆弾。比較的、近距離への攻撃を想定している。:
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●Q.「ヨーロッパ以外の、例えば日本を含むアジアですね、アジアにおいて例えばB-61核爆弾が配備される可能性というのはあるんでしょうか?」
●軍事問題研究家・新原昭治氏
「実は4年前に、アメリカの議会で、当時のタウシャーという国務次官が証言している記録があるんですけれども、
彼女はですね“いずれアジア、特に東アジアで新型のB-61核爆弾が大きな役割を果たすであろう”と(言っている)」
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新原氏が注目したのは
アメリカ議会・下院軍事委員会公聴会での次の発言。
●タウシャー国務次官(当時)
「アジアの同盟諸国の安全を保障するうえでもB-61核爆弾は重要な役割を果たします。同盟諸国に対して、アメリカの核による
抑止力が縮小することはないと約束しました。 その重要な要素が『B-61』なのです。」
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新原氏は
中国や朝鮮半島に絡む有事を想定してアメリカは沖縄に核兵器を持ち込む選択肢を完全に捨ててはいないと見ている。
●軍事問題研究家・新原昭治氏
「あれだけの核兵器を持ち込む特権を1969年の(密約)議事録で認められているわけですから当然そこに固執するだろうということはある。」
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おととい(10日)、就任から丸1年の節目を迎えた沖縄県の翁長知事が単独インタビューに応じた。
●Q.「この1年を振り返られて、いかがですか?」
●翁長知事
「一番の激動の1年でしたね。振り返りましても、節目節目もいろいろなことがありましたし、
何よりもやっぱり政治を志して30年。沖縄県を背負ったことは初めてなので。」
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翁長知事は今年10月、
前知事による手続に瑕疵があったとして辺野古の埋め立て承認を取り消した。
国側はこれを違法だと主張し、埋め立て承認取り消しの執行停止を決定。
さらに取り消しの撤回を求める『代執行訴訟』を起こしている。
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●12月2日菅官房長官
「わが国は法治国家でもありますし前の沖縄県の仲井眞知事が埋め立て承認の判断をされました。
『瑕疵はない』 こういうふうに思ってます。」
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●翁長知事
「私は菅さんが“日本は法治国家だ”と言うが、私から言うと“すれすれ法治国家”じゃないか
そういう感じでここまでやるかというものはあります。
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(安倍政権は)決定力から言っても方向性で言ってもですねちょっと視野が狭い。深さがない。懐が深くない。
私たちと話をする場合でもこれまでの日本の政治にない強権的なものをすごく感じさせられました。」
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沖縄県は近く、国を相手取り、埋め立て承認取り消しの執行停止無効を求める抗告訴訟』を起こす方針だ。
一方、政府は普天間基地の跡地などにディズニーリゾートを誘致する構想への全面支援を明らかにした。
●菅官房長官・宜野湾市長の訪問を受け
「(ディズニーリゾートは)非常に夢のある話でありますので政府として全力で実現できるよう」
これについて翁長知事は
●翁長知事
「(ディズニーリゾート誘致話は)沖縄の言葉で言うと『話くわっちー』沖縄の言葉で『ごちそう』のことを『くわっちー』と言うんですね。
ですから話だけ、良い話をするんです。
そういうものをぶち上げてやるということはやはり選挙対策だろうなという感じはしますね。
沖縄がこういう形である意味で差別されてもですね気付かない日本という国は地方自治の危機にあると思うんですね。
他の都道府県で 『国に甘えているとか甘えていないとか』そんなことを言われるところがあるかと。
違うでしょうと。『沖縄が日本に甘えているんですか日本が沖縄に甘えているんですか』
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(VTR終了後スタジオ)
●金平茂紀氏
「ちょっと補足しておきますけれども、核兵器の再持ち込み先として辺野古という地名が明記された
佐藤・ニクソン合意議事録の存在を初めて明らかにしたのは、VTRにもありましたけれども、
若泉敬氏のこの本なんですね。
少なくともこの本を読むと命がけで密約の存在を世に問うたということがわかるわけですね。この文書のその後の扱われ方を見ると、
ところが外務省は結果的に私文書扱いにして、いわば宙に浮いた形になっているんですよ。
研究者とか関係者の間では、それでいいんだろうかという声が非常に多く出ていることは確かです。
若泉氏は、実はこの本を出して密約の存在を明らかにした後、青酸カリを飲んで自殺しました。
事の重みをもう一度考えてみるべきだと私は思いますね。」