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「慰安婦韓日会談 何が問題なのか」(平和ナビ公式ツイッター) /日韓共同記者発表全文

2015-12-28 23:26:39 | 戦時中性奴隷 慰安婦

 姜 聖律さんFBより転載

https://twitter.com/heffyend89

平和ナビ公式ツイッター「慰安婦韓日会談 何が問題なのか」

.「軍の関与」という表現は、日本軍「慰安婦」被害者たちが拒否し続けてきた表現で、日本政府が組織的に戦争犯罪を恣行してきたということを言い逃れする表現である。

.多数の女性の名誉と尊厳に深い傷を負わせた問題という表現は、謝罪の対象が不明確な表現である。

.安倍総理が日本政府を代表して、内閣総理大臣として直接謝罪しなければならないにもかかわらず、「代読謝罪」にとどまった。安倍総理は、去る4月、米国上下院合同演説に直接出席して、第2次世界大戦で犠牲になった米国の青年たちに直接哀悼を表明したことがある。

.被害者を支援する「財団」を設立するということは、被害者たちが要求している「国家賠償」と相容れない。日本の「国家的責任」を回避するものである。

.被害国である韓国政府が財団を設立するということは、今後の被害者支援などの責任履行を、被害国である韓国が引き受けるものである。日本は資金だけを支出して、責任ある行為を何もしなくても良いというものである。

.日本軍「慰安婦」被害者の要求である真相究明と歴史教育などの再発防止措置は、加害国である日本政府が主体的に行うべきであるのに、韓国が財団を設立して事業を進めてこれを実現することはできない。

.今回の合意が「最終的」で「不可逆的」だという点を確認したということは、今後、日本軍「慰安婦」問題を論じることさえできないという意味である。朴槿恵政府以後の韓国政府は、日本軍「慰安婦」問題についてどんな提起もできない。

.不可逆的な合意の代表的な事例としては、李明博政府の韓米FTAレチット(逆回転できない歯車)条項と、朴正煕政府で締結した韓日基本条約のすべての国民の請求権の永久消滅の事例がある。

.日本政府の官僚は、日本軍「慰安婦」問題に関する妄言と、靖国神社への政治家の大規模な参拝などの妄動を日常的に行ってきた。このような行為が再発しないことについての約束もなく、「不可逆的交渉」に合意したことは、韓国に不利な外交的失策である。

10.「慰安婦」被害者たちの要求は、日本軍「慰安婦」問題の真実の記録である。そして、それに基づく再発防止である。この問題を再び言及せずに歴史の記録から消そうとする合意は、要求とは絶対的に正反対の決定である。

 

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時事通信社http://www.jiji.com/jc/zc?k=201512/2015122800446より転載

慰安婦問題、日韓が合意=日本政府「責任を痛感」-人道支援へ10億円財団

 
会談を前に韓国の尹炳世外相と握手する岸田文雄外相(左)=28日、ソウル(AFP=時事)

 【ソウル時事】日韓両国間の大きな懸案となってきた、いわゆる従軍慰安婦問題をめぐる両政府の協議が28日、合意に達した。日韓外相会談後の共同記者発表によると、日本政府は同問題への旧日本軍の関与を認め、「責任を痛感」するとともに、安倍晋三首相が「心からおわびと反省の気持ち」を表明。元慰安婦支援のため、韓国政府が財団を設立し、日本政府の予算で10億円程度の資金を一括拠出する。合意に基づく解決策が「最終的かつ不可逆的」であることも確認した。


日韓共同記者発表全文

ソウルの日本大使館前に設置された、いわゆる従軍慰安婦問題を象徴する少女像=2013年7月、韓国

 首相は28日、韓国の朴槿恵大統領と電話で会談し、慰安婦に対する謝罪と反省を伝達するとともに、「慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを歓迎したい」と表明。朴大統領は「両国の最終合意がなされて良かった」とした上で、「首相が直々におわびと反省の気持ちを表明したことは、被害者の名誉と尊厳の回復、心の傷を癒やすことにつながる」と評価した。
 また、国交正常化50年を迎えた日韓関係の今後について、首相は「未来志向の新時代に入ることを確信している」と述べ、朴大統領の訪日を招請。大統領は「互いに信頼関係を強化し、新しい韓日関係を築くべく、互いに努力していきたい」と語り、訪日を検討することを約束した。
 焦点となっていた元慰安婦の請求権を含む法的問題について、首相は電話会談で「1965年の日韓請求権協定で最終的かつ完全に解決済みとのわが国の立場に変わりはない」と伝えた
 これに先立ち、岸田文雄外相と尹炳世韓国外相はソウルの韓国外務省で会談した。岸田氏は共同記者発表で、慰安婦問題について「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。今後、国連など国際社会で、本問題について互いに非難、批判することを控える」と表明。尹氏も合意事項の履行を前提に、「この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と述べた。
 また、ソウルの日本大使館前に設置された慰安婦問題を象徴する少女像について、尹氏は元慰安婦支援団体「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)」を念頭に、「関連団体との協議などを通じて適切に解決されるよう努力する」と語った。日本政府は少女像の撤去を求めている。 

◇従軍慰安婦問題をめぐる動き1965年  6月 日韓国交正常化。日韓請求権協定に署名1991年 12月 韓国の元慰安婦が東京地裁に損害賠償を求め提訴1993年  8月 河野官房長官談話で慰安婦問題について旧日本軍の関与を認め「お          わびと反省の気持ち」を表明1995年  7月 「アジア女性基金」を設立、元慰安婦への償い金の支給を開始2011年  8月 韓国憲法裁が元慰安婦の賠償請求権をめぐり、韓国政府が日本側と          交渉する努力をしないのは違憲と判決2011年 12月 李明博大統領(当時)が野田佳彦首相(同)に慰安婦問題解決で政          治決断を要求2015年 11月 安倍晋三首相と朴槿恵大統領の会談で慰安婦問題の早期妥結に向け          交渉を加速することで一致      12月 日韓外相が会談し、最終的・不可逆的な解決で合意
(2015/12/28-19:49)
















 

 

 

 

 

 


日韓外相会談 慰安婦問題で~/慰安婦被害ハルモニ「満足はできないが、政府に従う」(立場発表全文)

2015-12-28 19:45:46 | 戦時中性奴隷 慰安婦

 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20151228/k10010355451000.htmlより転載

日韓外相会談 慰安婦問題で最終的解決を確認

12月28日 16時17分
日韓外相会談 慰安婦問題で最終的解決を確認
 
日本と韓国の外相会談がソウルで行われ、慰安婦問題を巡って、日本政府は責任を痛感し、安倍総理大臣が、心からおわびと反省の気持ちを表明するとしたうえで、日韓両政府は韓国政府が設置する財団に日本政府の予算からおよそ10億円の資金を拠出し、元慰安婦への支援事業を行うことで合意しました。
また、両政府は、この問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されたことを確認しました。
日本と韓国両政府は、両国の関係改善の大きな障害となってきた慰安婦問題の最終的な妥結を目指し、28日、韓国のソウルで、岸田外務大臣とユン・ビョンセ(尹炳世)外相による日韓外相会談を行いました。

会談のあと、両外相はそろって記者発表を行い、合意事項について発表しました。この中で、岸田外務大臣は「慰安婦問題は、当時の軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している」と述べました。そのうえで、岸田大臣は「安倍総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する」と述べました。
さらに、岸田大臣は「日本政府の予算により、すべての元慰安婦の方々の心の傷をいやす措置を講じる」としたうえで、韓国政府が設置する財団に日本政府の予算でおよそ10億円の資金を一括して拠出し、「日韓両政府が協力し、元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒しのための事業を行う」ことで合意したことを明らかにしました。
そして、岸田大臣は、両政府間でこうした事業を着実に実施するという前提で、この問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されたと確認したことを明らかにしました。また、日本政府として、韓国政府とともに、国連など国際社会で慰安婦問題を巡って互いに非難・批判することを控える考えを示し、今回の合意について、「日韓首脳の指示に基づいて行った協議の結果であり、これをもって、日韓関係が新時代に入ることを確信している」と述べました。

一方、ユン外相は、元慰安婦への支援事業が着実に実施されることを前提に、日本政府とともに、「この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と述べたうえで、日本政府の実施する措置に協力する考えを示しました。
また、ユン外相は、ソウルの日本大使館の前に設置された、慰安婦を象徴する少女像に関して、「日本政府が、大使館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを認知し、韓国政府としても、可能な対応方向について関連団体との協議を行うなどして、適切に解決されるよう努力する」と述べました。そして、ユン外相も、岸田外務大臣と同様に、韓国政府として日本政府とともに、今後、国連など国際社会において、この問題について互いに非難・批判することを控える考えを示しました。

「歴史的、画期的な成果」

岸田外務大臣は記者団に対し、「今回の合意により、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認した。このような合意ができたことは歴史的、画期的な成果であると考える。これにより、日韓関係は未来志向の新時代へと発展すると考える。また、日韓、日米韓の安全保障協力も前進させる素地ができたと思う」と述べました。
 
 
 
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姜 聖律さんFBより転載

本当に辛い…。ハルモニたちの立場表明。
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YTNニュース  2015.12.28

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慰安婦被害ハルモニ「満足はできないが、政府に従う」(立場発表全文)

 慰安婦被害者問題についての日本政府の責任を明示し、安倍総理がこの問題について直接謝罪するという韓日外相会談の結果が発表されました。
 これについて、京畿道広州の「ナヌムの家」のハルモニたちが立場を発表しました。

▲立場発表

 幼い頃に本当に自由を踏みにじられ、あらゆる苦労をして、今ここに生きておられる人たちは、みな九死に一生で生きながらえてきた方々です。

 このように、私やみなさんが会って、一つの家族となって暮らしていますが、とにかく私たちは、政府を信じて、政府が法的に解決をしてくれることだけを待っていのですが、もちろん大統領をはじめ、外務部長官もたいへん努力をされました。

 私たちのためにいろいろ気を使ってそうしてくださったのですが、今、満足はできません。

 なぜなら、私たちが生きてきた過ぎし日々を考えれば、今、お金の問題ではなく、私たちが人間自体、人間として、人間の権利を持つことができずにこのように生きてきたのですから、満足はできませんが、それでも今は、私たちの立場としては、政府もそのように努力したし、また、法というものがあるではありませんか。

 わが国の法もあり、また、世界的に法もあるのに、私たちの思いのままになるというものでもなく、いずれにせよ、政府がせっかくこのように立ち上がって今年のうちに妥結をしようとしているのですから、努力された方々のことも考え、私たちは、政府のされる通りに従います。

 ありがとうございました。

 

 
 
위안부 피해자 문제에 대한 일본 정부 책임을 명시하고, 아베 총리가 이 문제에 대해 직접 사과한다는 한일 외무장관 회담 결과가 발표됐습니다. 이에 대해 경기도 광주 '나눔의 집' ...
news.naver.com
 

 

 


「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソ~それどころか…なんと2016年、財政再建は実質完了する!

2015-12-28 11:57:45 | ご案内

高橋洋一「ニュースの深層」

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47156より転載

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「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした~それどころか…なんと2016年、財政再建は実質完了してしまう!

この国のバランスシートを徹底分析

2015年12月28日(月) 高橋 洋一
【PHOTO】gettyimages

鳥越俊太郎氏もダマされていた

先週26日(土曜日)、大阪朝日放送の番組「正義のミカタ」に出た。大阪のニュース情報番組だが、東京とは違って、自由な面白さがある。そこで、「日本経済の諸悪の根源はZ」というコーナーをやった。Zとは財務省である。

その中で筆者が強調したのは「借金1000兆円のウソ」である。借金が1000兆円もあるので、増税しないと財政破綻になるという、ほとんどのマスコミが信じている財務省の言い分が正しくないと指摘したのだ。

借金1000兆円、国民一人当たりに直すと800万円になる。みなさん、こんな借金を自分の子や孫に背負わせていいのか。借金を返すためには増税が必要だ。……こんなセリフは誰でも聞いたことがあるだろう。財務省が1980年代の頃から、繰り返してきたものだ。

テレビ番組は時間も少ないので、簡単に話した。「借金1000兆円というが、政府内にある資産を考慮すれば500兆円。政府の関係会社も考慮して連結してみると200兆円になる。これは先進国と比較してもたいした数字ではない」

これに対して、番組内で、ゲストの鳥越俊太郎さんから、「資産といっても処分できないものばかりでしょう」と反論があった。それに対して、多くの資産は金融資産なので換金できる、といった。

筆者がこう言うのを財務省も知っているので、財務省は多くのテレビ関係者に対して、「資産は売れないものばかり」というレクをしている。鳥越さんも直接レクされたかがどうかは定かでないが、財務省の反論を言ってきたのには笑ってしまった。

番組が昼にかかり15分くらいの休憩があった。そのとき、鳥越さんから、「金融資産とは何ですか」と筆者に聞いてきた。「政策投資銀行(旧日本開発銀行)やUR都市機構(旧住都公団)などの特殊法人、独立行政法人に対する貸付金、出資金です」と答えた。それに対して「それらを回収したらどうなるの」とさらに聞かれたので、「民営化か廃止すれば回収ということになるが、それらへの天下りができなくなる」と答えた。

このやりとりを聞いていた他の出演者は、CM中のほうがためになる話が多いといっていた。実際に、番組中で言うつもりだったが、時間の都合でカットせざるを得なくなった部分だ。

借金1000兆円。これは二つの観点から間違っている。

バランスシートの左側を見てみれば…

第一に、バランスシートの右側の負債しか言っていない。今から20年近く前に、財政投融資のALM(資産負債管理)を行うために、国のバランスシートを作る必要があった。当時、主計局から余計なことをするなと言われながらも、私は財政投融資が抱えていた巨額の金利リスクを解消するために、国のバランスシートを初めて作った。

財政が危ういという、当時の大蔵省の主張はウソだったことはすぐにわかった。ただし、現役の大蔵官僚であったので、対外的に言うことはなかった。

筆者の作った国のバランスシートは、大蔵省だからか「お蔵入り」になったが、世界の趨勢から、その5年くらい後から試案として、10年くらい後から正式版として、財務省も公表せざるを得なくなった。今年3月に、2013年度版国の財務書類が公表されている(http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2013/national/hy2013_gassan.pdf)。

その2013年度末の国のバランスシートを見ると、資産は総計653兆円。そのうち、現預金19兆円、有価証券129兆円、貸付金138兆円、出資66兆円、計352兆円が比較的換金可能な金融資産である。そのほかに、有形固定資産178兆円、運用寄託金105兆円、その他18兆円。

負債は1143兆円。その内訳は、公債856兆円、政府短期証券102兆円、借入金28兆円、これらがいわゆる国の借金で計976兆円。運用寄託金の見合い負債である公的年金預り金112兆円、その他45兆円。ネット国債(負債の総額から資産を引いた額。つまり、1143兆円-653兆円)は490兆円を占める。

先進国と比較して、日本政府のバランスシートの特徴を言えば、政府資産が巨額なことだ。政府資産額としては世界一である。政府資産の中身についても、比較的換金可能な金融資産の割合がきわめて大きいのが特徴的だ。

なお、貸付金や出資金の明細は、国の財務書類に詳しく記されているが、そこが各省の天下り先になっている。実は、財務省所管の貸付先は他省庁に比べて突出して多い。このため、財務省は各省庁の所管法人にも天下れるので、天下りの範囲は他省庁より広い。要するに、「カネを付けるから天下りもよろしく」ということだ。

財政再建は、実は完了している?

第二の問題点は、政府内の子会社を連結していないことだ。筆者がバランスシートを作成した当時から、単体ベースと連結ベースのものを作っていた。現在も、2013年度版連結財務書類として公表されている(http://www.mof.go.jp/budget/report/public_finance_fact_sheet/fy2013/national/hy2013_renketsu.pdf)。

それを見ると、ネット国債は451兆円となっている。単体ベースの490兆円よりは少なくなっている。

ただし、この連結ベースには大きな欠陥がある。日銀が含まれていないのだ。日銀への出資比率は5割を超え、様々な監督権限もあるので、まぎれもなく、日銀は政府の子会社である。

経済学でも、日銀と政府は「広い意味の政府」とまとめて一体のものとして分析している。これを統合政府というが、会計的な観点から言えば、日銀を連結対象としない理由はない。筆者は、日銀を連結対象から除いた理由は知らないが、連結対象として含めた場合のバランスシート作ることはできる。

2013年度末の日銀のバランスシートを見ると、資産は総計241兆円、そのうち国債が198兆円である。負債も241兆円で、そのうち発行銀行券87兆円、当座預金129兆円である。

そこで、日銀も含めた連結ベースでは、ネット国債は253兆円である(2014.3.31末)。

直近ではどうなるだろうか。直近の日銀の営業毎旬報告(https://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2015/ac151220.htm/)を見ると、資産として国債328兆円、負債として日銀券96兆円、当座預金248兆円となっている。

直近の政府のバランスシートがわからないので、正確にはいえないが、あえて概数でいえば、日銀も含めた連結ベースのネット国債は150~200兆円程度であろう。そのまま行くと、近い将来には、ネット国債はゼロに近くなるだろう。それに加えて、市中の国債は少なく、資産の裏付けのあるものばかりになるので、ある意味で財政再建が完了したともいえるのだ。

ここで、「日銀券や当座預金も債務だ」という反論が出てくる。これはもちろん債務であるが、国債と違って無利子である。しかも償還期限もない。この点は国債と違って、広い意味の政府の負担を考える際に重要である。

滑稽すぎる 「日本の財政は破綻する」論

このようにバランスシートで見ると、日銀の量的緩和の意味がはっきりする。

政府と日銀の連結バランスシートを見ると、資産側は変化なし、負債側は国債減、日銀券(政府当座預金を含む)増となる。つまり、量的緩和は、政府と日銀を統合政府で見たとき、負債構成の変化であり、有利子の国債から無利子の日銀券への転換ということだ。

このため、毎年転換分の利子相当の差益が発生する(これをシニョレッジ〔通貨発行益〕という。毎年の差益を現在価値で合算すると量的緩和額になる)。

また、政府からの日銀への利払いはただちに納付金となるので、政府にとって日銀保有分の国債は債務でないのも同然になる。これで、連結ベースの国債額は減少するわけだ。

量的緩和が、政府と日銀の連結バランスシートにおける負債構成の変化で、シニョレッジを稼げるメリットがある。と同時にデメリットもある。それはシニョレッジを大きくすればするほど、インフレになるということだ。だから、デフレの時にはシニョレッジを増やせるが、インフレの時には限界がある。

その限界を決めるのがインフレ目標である。インフレ目標の範囲内であればデメリットはないが、超えるとデメリットになる。

幸いなことに、今のところ、デメリットはなく、実質的な国債が減少している状態だ。

こう考えてみると、財務省が借金1000兆円と言い、「だから消費増税が必要」と国民に迫るのは、前提が間違っているので暴力的な脅しでしかない。実質的に借金は150~200兆円程度、GDP比で30~40%程度だろう。

ちなみに、アメリカ、イギリスで、中央銀行と連結したネット国債をGDP比でみよう。アメリカで80%、65%、イギリスは80%、60%程度である。これを見ると、日本の財政問題が大変ですぐにでも破綻するという意見の滑稽さがわかるだろう。

以上は、バランスシートというストックから見た財政状況であるが、フローから見ても、日本の財政状況はそれほど心配することはないというデータもある。

本コラムの読者であれば、筆者が名目経済成長でプライマリー収支を改善でき、名目経済成長を高めるのはそれほど難しくない、財政再建には増税ではなく経済成長が必要と書いてきたことを覚えているだろう。

その実践として、小泉・第一安倍政権で、増税はしなかったが、プライマリー収支がほぼゼロとなって財政再建できた。これは、増税を主張する財務省にとって触れられたくない事実である。実際、マスコミは財務省の言いなりなので、この事実を指摘する人はまずいない。

さらに、来2016年度の国債発行計画を見ると、新規に市中に出回る国債はほぼなくなることがわかる。これは、財政再建ができた状況とほぼ同じ状況だ。こうした状態で、少しでも国債が市中に出たらどうなるのか。金融機関も一定量の国債投資が必要なので、出回った国債は瞬間蒸発する。つまり、とても国債暴落という状況にならないということだ。

何しろ市中に出回る国債がほとんどないので、「日本の財政が大変なので財政破綻、国債暴落」と言い続けてきた、デタラメな元ディーラー評論家(元というのは使い物にならなかった人たちということ)には厳しい年になるだろう。

今の国債市場は「品不足」状態

2016年度の国債発行計画(http://www.mof.go.jp/jgbs/issuance_plan/fy2016/gaiyou151224.pdf)を見ると、総発行額162.2兆円、その内訳は市中消化分152.2兆円、個人向け販売分2兆円、日銀乗換8兆円である。

余談だが、最後の日銀乗換は、多くの識者が禁じ手としている「日銀引受」である。筆者が役人時代、この国債発行計画を担当していたときにもあったし、今でもある。これは、日銀の保有国債の償還分40兆円程度まで引受可能であるが、市中枠が減少するため、民間金融機関が国債を欲しいとして、日銀乗換分を少なめにしているはずだ。

要するに、今の国債市場は、国債の品不足なのだ。カレンダーベース市中発行額は147兆円であるが、短国25兆円を除くと、122兆円しかない。ここで、日銀の買いオペは新規80兆円、償還分40兆円なので、合計で120兆円。となると、市中消化分は、最終的にはほぼ日銀が買い尽くすことになる。

民間金融機関は、国債投資から貸付に向かわざるを得ない。これは日本経済にとっては望ましいことだ。と同時に、市中には実質的に国債が出回らないので、これは財政再建ができたのと同じ効果になる。日銀が国債を保有した場合、その利払いは直ちに政府の納付金となって財政負担なしになる。償還も乗換をすればいいので、償還負担もない。それが、政府と日銀を連結してみれば、国債はないに等しいというわけだ。

こういう状態で国債金利はどうなるだろうか。市中に出回れば瞬間蒸発状態で、国債暴落なんてあり得ない。なにしろ必ず日銀が買うのだから。

こうした見方から見れば、2016年度予算(http://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2016/seifuan28/01.pdf)の国債費23.6兆円の計上には笑えてしまう。23.6兆円は、債務償還費13.7兆円、利払費9.9兆円に分けられる。

諸外国では減債基金は存在しない。借金するのに、その償還のために基金を設けてさらに借金するのは不合理だからだ。なので、先進国では債務償還費は計上しない。この分は、国債発行額を膨らせるだけで無意味となり、償還分は借換債を発行すればいいからだ。

利払費9.9兆円で、その積算金利は1.6%という。市中分がほぼなく国債は品不足なのに、そんなに高い金利になるはずない。実は、この高い積算金利は、予算の空積(架空計上)であり、年度の後半になると、そんなに金利が高くならないので、不用が出る。それを補正予算の財源にするのだ。

マスコミはいつまで財務省のポチでいるのか

このような空積は過去から行われていたが、その分、国債発行額を膨らませるので、財政危機を煽りたい財務省にとって好都合なのだ。債務償還費と利払費の空積で、国債発行額は15兆円程度過大になっている。

こうしたからくりは、予算資料をもらって、それを記事にするので手一杯のマスコミには決してわからないだろうから、今コラムで書いておく。

いずれにしても、政府と日銀を連結したバランスシートというストック面、来年度の国債発行計画から見たフロー面で、ともに日本の財政は、財務省やそのポチになっているマスコミ・学者が言うほどには悪くないことがわかるだろう。

にもかかわらず、日本の財政は大変だ、財政再建が急務、それには増税というワンパターンの報道ばかりである。軽減税率のアメをもらったからといって、財務省のポチになるのはもうやめにしてほしい。

 

 

 


彼が生きていたら、今、何を語ったか 後藤健二さんの講演音声に聴く

2015-12-28 06:29:39 | キリスト教 歴史・国家・社会

Christian Today, Japan

http://www.christiantoday.co.jp/articles/17987/20151206/kenji-goto-journalist-syria.htmより転載

彼が生きていたら、今、何を語ったか 後藤健二さんの講演音声に聴く

2015年12月6日06時44分
彼が生きていたら、今、何を語ったか 後藤健二さんの講演音声に聴く
講演する後藤健二さん。彼の取材テーマは一貫して「弱い者のメッセージ」を伝えることだった。

今年1月に、過激派組織「イスラム国」(IS)によって殺害された国際ジャーナリスト・後藤健二さんの講演会を録音した資料が、このほど見つかった。

この講演会は、一昨年春に行われたもので、音声からは、ジャーナリストとして生きた後藤さんが、「自分の口から、直接、自分が見たものを伝えたい」と熱弁を奮った様子が聞き取れる。事件から10カ月余り経ったが、さらに悪化の一途をたどる中東情勢、世界情勢に、「彼が生きていたら、今、何を語ったか」と考える人も少なくない。生前の彼の言葉から読み解いてみたい。

宗教と文化について

この日の講演会は、宗教の話から始まった。「世界中で宗教を持っていない国というのはどれくらいあるだろうか? 恐らく、ものすごく少数だと思う」と後藤さんは話した。多くの場合、宗教がその国の文化を作る。世界の取材現場を駆け回っていた後藤さんは、現地の人々に「あなたは神を信じるか?」と聞かれたことが度々あった。「私の場合は、プロテスタントのキリスト教徒なので、『はい、私はクリスチャンです』と答えた。しかし、日本人の多くは仏教徒だと話す。日本の文化は、必ずしも宗教とリンクしているわけではないが、長い歴史の中で作り上げられた素晴らしい文化があるとも話す」という。

ジャーナリストという仕事

彼が生涯をかけて全うしたジャーナリストという仕事を、後藤さんはどう捉えていたのだろうか。ジャーナリストには、二つの大切な視点があるのだと話している。

「物事を疑ってみること。『こんなことをされたら、自分は嫌だろうな』という批判的なものの見方」が必要なのだという。一方で「事実をそのまま伝えるということ」も外せない要素だ。しかし、後者に関しては、事実を伝えながらも、どの事実を伝えるかは、ジャーナリストの力量と洞察力にかかってくるのだと話す。どの背景をどう捉えて、彼ら(取材対象者)が発するどのメッセージを伝えるかを判断するのが、ジャーナリストの仕事だというのだ。10分のレポート映像を作るのに、600分から700分くらいの映像を撮り、そこから、日本に住む私たちにどの人のどのメッセージを伝えるか判断するのは、容易ではない作業だ。

どの事実を伝えるか?

ジャーナリストの仕事について、具体的な一つのエピソードが紹介された。取材先で、後藤さんがある女性にインタビューしたことがあった。同じ質問を1日目と2日目にしたが、1日目には、その女性が泣いている映像が撮れた。2日目には怒っている映像が撮れた。「どちらの映像を、僕は使ったと思いますか? 怒っている映像です。怒っている映像を使うことによって、この女性が『なぜこんなことになってしまったんだ!』と言ったメッセージを伝えたかったのです」と話した。

教育とは怖いものだ

講演では、後藤さんが制作したDVD「ようこそぼくらの学校へ」(NHK出版)を鑑賞しながら、さまざまな世界情勢についても話した。エストニアでは、ソ連崩壊後、経済が立ち行かなくなり、失業率が悪化、食料が不足し、崩壊する家庭も少なくなかった。そんな中、子どもたちは捨てられ、路上でタバコを売ったり、麻薬まで売ったりする子もいたという。ここでも犠牲となったのは、幼い子どもたちだった。チェチェン共和国では、いまだに内戦が続いている。イスラム武装勢力が学校に乗り込み、子どもたちを人質に立てこもり、最終的には学校を爆破。多数の子どもたちが犠牲となった。「戦争だけで子どもが死ぬわけではない。大人たちが自分の意思を通すために、子どもたちを『人質』という武器にして、戦った。しかし、結果、ここでも犠牲になったのは、多くの罪のない子どもたちだった」と話した。

世界には、さまざまな事情を抱えた子どもたちがいる。例えば、アフガニスタンでは、40年以上も戦争が続いていた。戦争が始まってから生まれた子どもは、すでに30代になり、子育ての時期に入っている。「30代のお母さんたちは、『戦争しか知らない子どもたち』なのだ。学校というものを、勉強するということを知らない世代が、子どもを産み、育てている」と語っている。

アフガニスタンという国は、皮肉にも2001年に起きた「アメリカ同時多発テロ」を機に、一躍、注目を浴びるようになった国だ。あれから、十数年が経った現在のアフガニスタンでは、日本を含む世界中からの支援によって、50年ぶりに学校が再開した。アフガニスタンに平和が訪れたのだろうか? 子どもたちに教育が行き届くようになったのだろうか? 後藤さんは、「イスラム過激派の教えによって、女子は教育を受けなくてよいとされている。小中学校では、男子、女子は別々に教育され、高等教育になると、一部共学のところもあるようだ。しかし、女子が教育の場にいると、それを徹底的に排除しようとする動きもある。20代の若いイスラム過激派の男性戦闘員が、彼女たちを誘拐したり、強姦したりしている」と話した。

彼らは、「女性は教育を受けなくてよい」と教育されてきたのだ。「これも教育の恐ろしさ。女性も男性も皆が社会に出て、国を作っていくのだといった意識がない。僕は、彼らのことを気の毒に思う」と締めくくった。

イスラムの人々との出会い

イスラム圏での取材が多かった後藤さんは、その先々で多くの人々と人脈を築いてきた。彼が、ブログやツイッターの中で、時折「ブラザー」と呼ぶ彼らとのエピソードを語った。幾つかの数珠のようなものを聴講者に差し出して、「皆さんに、見ていただいて、触っていただきたい」と話した。これは、イスラム社会で「タスビー」と呼ばれ、彼らが大切にしているものだという。幾つか紹介した「タスビー」のうち、一つはシリアで友人からもらったもの、一つはアフガニスタンで後藤さんのドライバーを務めていた男性にもらったものだったが、この男性は後に強盗に襲われ、命を落としたという。「これらは、皆、新品ではない。誰かが身に付けていたものだ。その感触を味わってもらいたい」と話した。この小さな数珠にどんな祈りを込め、何を思い、どんな状況下で彼らが暮らしていたかを参加者にも想像してほしかったのだろう。

ソマリアの子どもたちの夢

30年ほど前から戦争が続き、無政府状態が続いている東アフリカの国ソマリア。海岸線が3000キロも続くこの土地では、マグロ、ロブスター、カニなどが豊富に獲れ、漁業の盛んな国でもあった。しかし、無政府状態になってからは、漁業協定などが結ばれることなく、外国船が勝手にソマリアの海に侵入し、魚などを獲り、散々海を荒らしてきた。自分たちの海を守ろうと立ち上がった漁師たちは、銃を持って船に乗り込んだ。しかし、フランス船とトラブルを起こし、フランス政府にソマリア人が捕まったことが、いわゆる「海賊」と呼ばれるようになったきっかけではないかと後藤さんは言う。この海賊たちも、初めこそ「海を守る」勇敢なヒーローであったが、そのうち、そうした密漁船から金を巻き上げ、そのお金で良い車に乗ったり、家を建てたりと遊び暮らすようになった。そんな彼らを見ていた子どもたちに、「将来、何になりたい?」と聞くと、多くの子が「海賊」と答えるというのだ。後藤さんは、「これも彼らが受けた教育」と話す。

自慢できる父親

イスラム教の聖典である「コーラン」には、幾つかの教えの中に「子どもの権利」と「親の権利」というのがあるのだと話す。子どもの権利には、「大人になるまで、不自由なく必要なものが与えられる」「『愛される』ことを楽しむ権利」などがある。一方、親の権利には、「子どもから尊敬される存在であること」が含まれている。ここで、後藤さんは、自身が父親であることを話し、「私にも子どもがいるが、自分自身の人生を振り返ると、決して尊敬されるような父親ではなかったなと、いつも反省する。子どもにとって自慢できる父親にならなければと思っている」と話した。こうした尊敬すべき対象の「大人」が、子どもたちを撃ったり、嫌がらせをしたり、暴力を振るったりするのを、子どもたちは小さな目できちんと見ている。そして、これが「神様の示した道なのだ」と理解する。それもまた教育なのだと後藤さんは話している。

「自爆ベスト」を着たパキスタンの少年

後藤さんがパキスタンに取材に行った時のことだった。当時のタリバン運動を信じている人々のリーダーに話を聞くべく、イスラム教過激派の一派と、街の片隅で話をしている時だった。そのそばで子どもたちが楽しそうに遊んでいる光景を見ていた。日本と変わらぬ子どもたちの無邪気なその姿に、一瞬、顔がほころびそうになったが、次の瞬間、後藤さんは「絶句した」というのだ。その少年たちは、「自爆ベスト」と呼ばれる爆弾を付けたベストのようなものを身に付けて遊んでいた。彼らは、そのベストを24時間着用し、命令が下れば、市場や人の多いところに行ってボタンを押し、「自爆」するのだ。なんの疑いもなく、「神様のもとにいく」ために。これも「教育」だと後藤さんは言う。かつて、キリスト教にも仏教にも何かしらの戦いがあった。イスラム教だけがこうした戦争をいつも続けているわけではない。宗教が文化と教育のベースになっているとしたら、何も知らない子どもたちは、生まれたその状況、環境からは逃れることができないのだと、力を込めて語った。

後藤さんの取材する目的は、一貫して「弱い人のメッセージ」を伝えることだった。内戦、飢餓、紛争、エイズなどで、一番弱い存在になるのは、いつも子どもたち。しかし、何も彼らのかわいそうな姿ばかりを撮り続けてきたわけではない。そうした過酷な状況下に住む、彼らの日常を伝えることによって、国際社会に多くの疑問を投げ掛けてきたのだ。講演後の質疑応答の中で、「取材中に、一番感動したことは?」との質問に後藤さんは、「アフガニスタンのゴミの山の中で、ゴミをあさっていた少女がいた。その少女は、何かお金になるものはないかと必死に探していたが、しばらくすると、その少女が本を手にしたのを見た。その本を大事そうに一ページ、一ページめくって読んでいる姿に非常に感動した。残念ながら、カメラは回していませんでしたが・・・」と語った。後藤さんのジャーナリストとしての視点は、繊細で温かく、キリスト者としての愛に満ちていた。

「あなたがたもこのように働いて弱い者を助けるように、また、主イエス御自身が『受けるよりは与える方が幸いである』と言われた言葉を思い出すようにと、わたしはいつも身をもって示してきました」(使徒20:35)

 

 

 

 


安倍首相「今年のトンデモ発言」ランキング(後編)5位〜1位…え、総理がこんなこといっていいの? 

2015-12-28 01:04:08 | シェアー

リテラ http://lite-ra.com/2015/12/post-1830.htmlより転載

年末特別企画 リテラの2015年振り返り

え、総理がこんなこといっていいの? 安倍首相「今年のトンデモ発言」ランキング(後編)5位〜1位

2015.12.27
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衆議院議員安倍晋三公式サイトより


 嘘にごまかし、話のすり替え、開き直りに逆ギレ……今年2015年の安倍首相のトンデモ発言を振り返るこの企画。前編につづき、後編として5位から1位を発表していこう。

 総理大臣がこんなこと言っていていいの?と目を覆いたくなるような発言の連続だが、これが現実。この1年の“事件”を忘れないためにも、ぜひ胸に刻みつけてほしい。

★5位

「『安倍は生意気なヤツだから今度殴ってやる』と言う不良が来て、いきなり前を歩くアソウさんに殴りかかった。私もアソウさんを守る。これは今度の法制でできる」

(7月7日、ニコニコ生放送『安倍さんがわかりやすくお答えします!平和安全法制のナゼ?ナニ?ドウシテ?』で)

 もう何を言っているのか、何を言いたいのかさっぱりわからない。安倍首相は安保法制を「ていねいに説明する」と何度も繰り返したものの、口から出てきたのはこの通り、無茶苦茶なたとえ話ばかりだった。

 なかでも国民が呆れかえったのは、フジテレビのニュース番組生出演時に披露した「アメリカの火事」というたとえ話だった。安倍首相は得意満面で“総理肝入り”の模型までスタジオに持ち込んだが、それを使って展開したのは、こんな話だった。

「アメリカの家が燃えて、横にある離れにも火が燃え移っても、日本は何もしない。でも、離れの火がぎゅーときて、日本の家が燃えたら日本の消防士がはじめて出てくるけど、これからは風向きでアメリカの離れの火が日本の家まで来そうなら、日本の消防士は道の上から離れの消火活動ができる。でも、アメリカの家までは行かない」

 アメリカの家の離れ? 家までは行かず道の上? 言っている意味がわからないだけでなく炎の模型がグロテスクな生肉にしか見えなかったことから、結局、ネット上では「生肉総理」と揶揄されてしまった。

 国民がなぜ安保法制に不安を感じていたかといえば、アメリカの戦争に巻きこまれるのでは?という心配があったからだ。しかし、安倍首相は「そんなことはない」の一点張り。そして戦争の危険を、ケンカや火事などにたとえて矮小化しようとした。よくこれで「国民にていねいに説明する」などと言ってのけたものだ。

 だが、本人は国民の不安の声などまるっきり無視。「私もていねいに説明して(国民の)理解が進んできたと思う」(7月13日、自民党役員会)と自画自賛さえしてみせた。はっきり言って、国民をバカにしているとしか思えない。

★4位

「私の考え方をそこで述べることは言論の自由だ」

(3月3日、衆院予算委員会で)

 昨年末の衆院解散の当日に『NEWS23』(TBS)に生出演し、VTRの街頭インタビューに対して「これ、問題だ」と文句をつけた安倍首相。その後、自民党は在京キー局各社に「報道圧力」文書を送りつけたが、この『NEWS23』での発言を国会で問われた際、安倍首相はなんと「私の言論の自由」と言いつのったのだ。

 しかも信じられないのは、再度、国会で民主党・細野豪志議員から“為政者が番組への圧力を言論の自由と主張するのは人権の侵害だ”と反発を受けたときの返答だ。安倍首相はニヤニヤと笑いながら、ひと言「圧力と考える人なんて、私、世の中にいないと思いますよ」。さらに得意げにこう畳みかけた。

「番組の人たちは、それぐらいで萎縮してしまう。そんな人たちなんですか? 情けないですね、それは。極めて情けない」

 圧力をかけている張本人が何を言うか、と思うが、さらに安倍首相はこうも言った。

「その後も私はテレビに出たときに、あのときのことを例として挙げられ、私は当該テレビのアナウンサーから非難された。それは当然非難してもいいですよ。当然、報道の自由ですし、言論の自由」

 この「当該アナウンサー」とは、現在、降板の危機にさらされている膳場貴子キャスターのことだ。本サイトでは何度も伝えているように、膳場キャスターの降板の裏には安倍政権からの強い圧力の存在があるといわれている。「報道の自由、言論の自由」と言いながらやっていることは真逆、報道の自由を踏みにじるあるまじき行為なのだ。つまり安倍首相は、「オレの言論の自由こそが最優先で守られるべき」と考えているのだろう。

 悪寒が走る話だが、現実はこの安倍思考のまま着実に動いている。現に先日、安倍首相に目の敵にされてきた古舘伊知郎が『報道ステーション』(テレビ朝日)から降板することを発表した。いよいよ「言論の自由」は、この男に独り占めされてしまうのかもしれない。

★3位

「政治家は歴史に対して、謙虚でなければならない、というのが、私の信念であります」

(9月11日、ネット番組『櫻LIVE』生出演時に)

 北関東への記録的洪水が起こり多数の不明者の安否が気遣われていた夜、なんと安倍首相は自身の応援団である櫻井よしこと日本会議会長・田久保忠衛が出演するネット番組に生出演。そのなかで飛び出したのが、この発言だ。

 この非常事態に、呑気に信念を語っている場合か、とツッコまずにいられなかったが、いや、そのまえに「歴史に謙虚」って、それあなたが言う?と大きな疑問が湧いた。歴史を蹂躙しつづけているあなたが?と。

 たとえば、今年3月に掲載されたワシントン・ポストのインタビューで、従軍慰安婦を「人身売買(Human Trafficking)の犠牲者」と表現。英語ではHuman Traffickingと強制連行を想起させておきながら、国内向けの説明では軍の関与や強制性の意味はないと二枚舌ですり抜けようとしている。現在、安倍首相は「慰安婦問題の早期妥結を」などと言っているが、このような歴史を直視しない態度では、被害を受けた女性たちも納得できるはずもない。

 さらに醜いのは、今年70年目を迎えた広島の平和式典で、ついに安倍首相は「非核三原則」にふれなかった。これには批判が起こり長崎ではスピーチに盛り込んだが、広島で言葉にしなかったことも「私が判断をした」と言っている。これは過去の反省から生まれた教訓を無碍にする行為であり、核武装への布石と見られてもおかしくはない。

 極めつきは、戦後70年談話だろう。「植民地支配」「侵略」「お詫び」という文言は入れたものの過去の談話を紹介しただけで、結局、安倍首相本人は何も「お詫び」しない文章だった。そして、「あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代子どもたちに謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」といい、子どもを主語にしながらも“オレ、戦争かかわってないし”と開き直るかのような姿勢を見せた。はたして、これが「歴史に謙虚」と言えるものなのだろうか。

 こうした安倍思想は、いまや自民党の安倍チルドレンたちも継承。世界記憶遺産の騒動でも如実になったように、アジアへの侵略や戦時性暴力、虐殺といった事実をことごとく否定しにかかるという散々たる現状だ。これを「謙虚」なんて言ったら、国際社会から失笑を買うことは必至である。

★2位

「我が軍の透明性を上げていくことにおいては、大きな成果を上げている」

(3月20日、参院予算委員会で)

 その「歴史に謙虚」であることを自負する安倍首相の口からこぼれ出た言葉が、この思わず血の気が引く「我が軍」発言だ。言わずもがな自衛隊は軍隊とは認められていないし、軍の保持は憲法に反する。だが、どうやらこの人の頭のなかでは、すでに自衛隊は「我が軍」であるらしい。しかも「我が国の軍」ですらなく「我が軍」って。

 こうしたトンデモな発想は、どこから生まれてくるのか。そのヒントとなるのが、今年2月に行った施政方針演説だ。このなかで安倍首相は「経済再生」や「復興」「女性の活躍」などの改革断行を述べていたが、突然、明治時代の欧米列強について語りはじめ、勇ましくこう宣言しはじめたのだ。

「明治の日本人にできて、いまの日本人にできないわけはありません。いまこそ、国民とともにこの道を前に向かって再び歩みだすときです。みなさん! 『戦後以来の大改革』に力強く踏み出そうではありませんか!」

 ……改革のたとえ話をするのなら戦後復興でもいいはずなのに、なぜか大幅にタイムスリップして明治。だが、司馬史観に染まった安倍首相のなかでは、侵略戦争を繰り返し多大な犠牲を生んだ明治の「大日本帝国」こそが目指すべき国のかたちなのだろう。だからこそ、あれだけ「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録をゴリ押しし(詳しくは過去記事)、「我が軍」などという現行憲法を無視した発言が出てくるのだ。

 しかも背筋が凍るのは、ついに先日、安倍首相自らが旗振り役となり「日本の近現代史を検証する」という勉強会「歴史を学び未来を考える本部」をスタートさせたことだ。当初は、安倍首相以上にファナティックな戦前回帰思想の持ち主である稲田朋美・自民党政調会長が〈極東国際軍事裁判(東京裁判)の評価を含めて歴史を検証する党機関の設立〉(毎日新聞より)を目指していたというが、これは安倍首相の意向を十二分に汲み取ったものだろう。

 それにしても、この勉強会は一体、安倍政権でどんな役割を担っていくというのか。考えるだけで戦慄が走るが、本サイトでは会の動きを来年も注視していくつもりだ。

★1位

「我々が提出する法律についての説明はまったく正しいと思いますよ。私は総理大臣なんですから」

(7月15日、衆院特別委員会で)

 堂々の1位は、やはりこれしかないだろう。権力を握った人間の強烈すぎる思い上がりが、ここまで見事に表現されている言葉は歴史を見わたしてもそうそうないはずだ。この「私は総理大臣なんですから」という一言で、わたしたちはこの国がどのような状態にあるのかを知ることができる。そう、総理大臣の意のままに法律がつくられ、疑義が呈されても聞く耳をもつつもりはない、とはっきり国民は突きつけられているのだ。これは安倍首相による明確な「独裁者」宣言である。

 明治への憧れと戦前回帰思想が裏付けるように、この人には日本の戦後民主主義に則るという考えはさらさらない。この発言といい、安保法制の強行採決にいたる過程を見ていると、「選挙によって信任したのはアンタたち国民なんだから、オレのやることには黙ってろよ」と言わんばかりだった。

 しかも、今年の世相を象徴する漢字1文字に「安」が選ばれると、「『安』を倍増すると安倍になる」などとウキウキ気分丸出しで言い出す始末。今年、あれだけ国民から批判の声があがったことを、ほんとうにこの人は忘れようとしている、いや、もうなかったことにしているのだ。来年の参院選も、もはや心中では大勝利、思考はすでに憲法改正に移っているのだろう。

 ちなみに本人は、「なんとか頑張って2018年までいけば」などと“あと3年は総理大臣でいたい発言”までぶっている。……もう、勘弁してよ!

 年の瀬にはイヤなことは全部忘れて新年を迎えたいもの。だが、この総理大臣こそがそうはさせてくれない。来年こそはこの暴走を食い止め、「安倍首相退陣祝いランキング」をお届けできたらと願うばかりだ。
編集部


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