旅日記

旅の記録と紀行文を紹介する事でしょう。
写真は私が撮影したものを使用しています。

続台湾日記 墾丁非達人

2007-03-26 05:00:21 | 台湾日記

小灣海灘遊憩區 (台灣省屏東縣恆春鎮)

ガイドブックの地図を頼りに歩く。省道26号線を行くだけなので、道に迷うことはなさそうである。小灣海灘遊憩區なる所へ至る。きれいな砂浜である。海に遊ぶ人のいる傍ら、何故、自分は大荷物を担いで歩いているのか。まだ暫く歩いていたが、鵝鑾鼻8kmの表示を見て諦めてしまった。手ぶらで8kmだって辛い。幸い道路を頻繁にバスが走っている。鵝鑾鼻行もいるだろう。歐克山莊というバス停で待つ事にした。


海に入る人もおり、11月とは思えない!
いずれも民國95年11月26日撮影

バス停には時刻表が書いていない。いつまで待てばよいのか分からない。やっとバスが来たと思ったら、この場所のすぐ手前に駐車場(回転所)があって、そこへ入って行く。一向に鵝鑾鼻行は現れない。折り返すバスの運転士が「Next Bus!」と言ってくれたが、次のバスは来ない。40分くらい待っても動けない。レンタサイクルの人も走っている。あれなら運転免許証は要らない。中南客運のバスの車体には「墾丁達人」とあるが、自分は「墾丁非達人」だな。

イライラしていたら、黄色いタクシーが近づいてきた。後部座席に客を乗せている。運転手は私が鵝鑾鼻に行きたい事を聞くと、すぐ戻ってくるから待ってろと言う。そして墾丁へ走り去った。客を降ろして、またここへ来るのだろう。はたして黄色いタクシーはやって来た。運転手は行き先を再度確認する。運賃はいくらかと聞くと200元と答える。相場が判らないので高いのか安いのかは不明。日本円に換算するともちろん安いが、公共交通機関の運賃よりはるかに割高である。この状況では言い値で乗るしかない。

タクシーは猛スピードで走り出した。前に遅い車がいると警笛を鳴らして蹴散らす。こんな荒い運転のタクシーは初めてである。途中に船帆石というのがあり、景色もよさそうだが、運転手に写真を撮るからちょっと停めてくれ、と言える感じではない。鵝鑾鼻公園の入口にはすぐに着いた。やはり歩く距離ではなかった。タクシーは自分を降ろすと猛スピードで走り去った。 (つづく)

続台湾日記 墾丁

2007-03-12 12:00:00 | 台湾日記

枋寮の駅前 (台灣省屏東縣枋寮郷)

日本にいても台鐵の時刻表は確認できた。しかし今から乗るバスの時間は全く分からない。この枋寮からバスの便があることは分かっている。さて、屏東のホテルに連泊しなかったので、日本からの全ての荷物を持ったままだ。枋寮の駅にはコインロッカーくらいあるだろうと思ったが甘かった。全ての荷物を持ったまま台湾最南端の地、鵝鑾鼻を目指すことになってしまった。

中南客運の墾丁線が鵝鑾鼻まで行くはずだが、バス停が分からない。國光客運のターミナルはあるのだが。向かいに7-ELEVENがあるので入ってみる。朝飯がまだなのでむすびを2個買ってゆく。例によって日本語の説明が印刷されている。具は台湾の各地の名物だったりする。○○の鶏とか。飲み物は日本の缶コーヒーがあったが、折角台湾にいるのだから黒松沙士にする。代金を払いながら店員にバス乗り場を聞く。日英ともに不可で筆談となる。鵝鑾鼻へは向かいの國光のターミナルからだという。中南のバスも停まるのだろうか。通りを渡ってターミナルへ行き、國光の窓口で尋ねると、國光の墾丁行に乗るよう言われる。鵝鑾鼻へはそこで乗り換えとの事。中南バスの直行便があるはずだが、尋ねるだけの語学力がない。墾丁までの切符(177元)を買う。ベンチに腰掛け、沙士の缶を開けて飲み始めたら、墾丁行のバスが入ってきた。慌てて乗り込む。

枋寮から乗ったのは自分一人だけ。バスは高雄始発らしく、すでに先客が乗っている。空いていて海側の席に難なく座れた。むすびを食べながら沙士を飲む。むすびは日本と変わらない。沙士は薬のような独特の匂いがある。コーラも薬のようだが、沙士は湿布薬のような匂いだ。先ほど鉄道から見た海を低い位置から眺める。道路は片側2車線ある。枋山の停留所を通過する。鉄道の枋山車站とはかなり離れている。予定の段階では枋山乗り換えも考えていたが、枋寮で乗り換えて正解だった。海沿いの道をバスは快走する。楓港という所で台湾の西海岸を縦貫する省道1号線は終点となる。三叉路で左折すれば太平洋岸への省道9号線。右折すれば省道26号線で、このまま南下して鵝鑾鼻へ至る。省道26号線も2車線だが曲線がややきつい箇所もある。海沿いに洒落た屋台も見られる。海を見ながら茶をしばいたり、朝っぱらから一杯やるのもいいが、バスは通り過ぎるのみ。

恆春の市街地に入った。道の狭い旧道を行く。いい感じの街だなと思っていると、不意に立派な門が現れた。恆春古城南門である。恆春はいつも春の暖かさだからと名付けられたそうだ。城門と城壁の残る都市で、まさに城市である。恆春古城は清光緒元年(1875)に築かれている。こういう街こそ観光したいと思うが、今日の予定は恆春と関係なく立てられている。恆春の市街を抜けると、墾丁國家公園の看板が見えてきた。公園内に入ったのだろう。リゾートホテルも見られる。清潔であれば安いホテルでも不足はないが、一度こういうホテルにも泊まってみたいとも思う。料金は頗る高そうだが。

バスが停まり、乗客が降り始めた。ここが墾丁だという。バスターミナルはなく、単なるバス停である。バスを降りると運転手が車外の人に「日本人」と言って何か話している。バス会社の人なのかと思ったが違う。どうも客引きのような気がする。渡されたチラシによると福賓別舘という宿である。まあ中に入れと建物の中に招じ入れられる。今夜はと言うので、高雄と答える。バイクを借りるかと言うが、免許がないと答える。日本国の運転免許証は持っているが、国際運転免許証を持っていっても、中華民國(台灣)はジュネーブ条約加盟国ではないので、無免許運転になってしまう。異国にて異国の法を守らないのは以ての外。バスで鵝鑾鼻に行くと言うと、宿の主人(たぶん)は親切に教えてくれた。バス停へ向かうと客引きのおばさんが声を掛けてきたが、その後は声を掛ける人もいなくなった。

墾丁は観光地らしく土産物屋、海鮮料理屋、洒落た店も多い。街行く人には白人も多く見られる。まさにリゾート地なのだろう。さて鵝鑾鼻行のバスなのだが、それらしいバス停はあるが、時間が分からない。バス会社は複数あって、ガイドブックには墾丁街車というのが走っているらしいのだが、これも時間が分からない。やってくるバスが鵝鑾鼻行なのかもさっぱり分からない。朝早く宿を出たのに、もう10時近い。こうしていても埒が明かない。大きな荷物を持ったまま、鵝鑾鼻へ歩き始めた。これは無謀であった。 (つづく)


墾丁から見る大尖石山 (台灣省屏東縣恆春鎮)
いずれも民國95年11月26日撮影

続台湾日記 南迴線

2007-03-11 15:00:00 | 台湾日記

台鐵 南迴線 普快車 353次 (枋寮)

區間車171次の機関車を撮影しようと思い先頭に向かうと、機関車はすでに切り離してた。なんと迅速な機回し。撮影は諦めて改札口から出場する。乗り換える列車は入線しているが、切符を持っていない。枋寮の自動券売機で枋山までの切符(15元)を買い、改札で切符に鋏を入れてもらい入場する。次に乗る普快車353次の車内に荷物を置き、月台に出てゆっくり撮影する。今回はこの列車に乗るために台湾に来ているようなものである。国鉄の旧客車のようなのかと思っていたが想像していたのと違う。もっと新しいのに草臥れている。もちろん扉は手動で、誰かが閉めなければ走行中も開いたまま。


往台東(台東行) (枋寮)


普快車 353次 車内 (SPK32628)

高雄から枋寮までは屏東線、枋寮から台東に至るのが南迴線。民國81年(1992)全線開通の南迴線は比較的新しい路線で、同線の開通により台湾を一周する鉄道が完成した。一度、ぐるりと旅をしてみたいが、今日は10数キロを乗るだけである。


車窓には台湾海峡

枋寮7時25分発。各駅に停車してゆく。車内は空いている。窓を開けて車窓を楽しむ。朝風が入ってくるのが気持ちよい。線路は少し高い位置に敷かれているので眺めはよい。青い台湾海峡も見えてきた。トンネルに入ると機関車のすぐ後ろの車両なので騒音が凄まじい。やむなく窓を閉める。海岸に並行していた線路も左に折れて、枋山に到着した。座席はよくないが、もっと乗っていたくなる列車だが、予定通りに下車する。降りたのは自分一人だけ。普快車353次は太平洋岸の台東へ向け、枋山を7時44分に発車した。


発車する普快車353次 (枋山)


枋山 - 台灣最南端鐵路車站


南迴線 枋山車站 (台灣省屏東縣獅子郷)

台湾最南端の駅、枋山には立派な駅舎があるが、無人でシャッターは閉じており、中には入れない。省道1号沿いの集落からは離れた、山の斜面に位置している。その駅の裏の斜面は果樹園か何かの畑があり、人の声がする。新しい立派な路線だが、列車は1日2往復4本というローカル駅で暫し過ごす。


線路の先に青い台湾海峡が見える (枋山)

普快車352次で枋寮に折り返す。駅にはこども2人を連れた母親がやってきた。乗るのではなく列車を見に来ただけのようだ。乗ったのは自分一人だけ。枋山8時03分発。


眼下には枋山の街 (内獅-枋山)


台湾でも数少ない窓の開く客車 SPK32717 (内獅付近)

台東行と違って、枋寮行には団体さんが乗っていて賑やかだ。再び窓を開けて車窓を楽しむ。今度は機関車から離れた最後尾の箱なので、トンネルも大丈夫だ。無人駅だったから切符を持っていないのだが、車掌が回って来ない。

終着の枋寮に着くと列車から降りた団体さんが「おはようございます」と言っている。日本語の単語がいくつか飛び出しているが、台湾の人だろう。日本人が無意味に英語で挨拶しているようなものなのか。団体さんと一緒に改札を出てしまったので、枋山からの精算を済ませていない。窓口へ行き精算する。爺さんが国鉄だから無賃乗車なぞしない。枋寮-枋山間往復という事情を説明するのに手間取ったが、なんとか15元払ってきた。往復で切符を買っておけばよかった。駅舎を出ると、団体さんの記念撮影の真っ最中だった。 (つづく)


屏東線 枋寮車站 (台灣省屏東縣枋寮郷)
いずれも民國95年11月26日撮影

続台湾日記 屏東線

2007-03-03 22:30:44 | 台湾日記

台鐡 屏東線 屏東車站 (台灣省屏東縣屏東市)

民國95年11月26日星期日(日曜日)。目が覚めて時計を見ると5時50分である。目覚ましを掛けていたのに寝過ごした。携行している時計のアラーム音が小さいのと、昨夜は早く寝なければいけなかったのに、遅くまでテレビを見ていたせいだ。これから乗る列車は6時08分。まだ間に合う。急いで身支度を整え、荷物をまとめ、かつ忘れ物に気をつけて、6時前にはホテルの部屋を出てチェックアウトした。フロントの女性は昨夜、駅の観光案内所にいた女性と似ている。ひょっとして母親だろうか。おかんが働いているから、このホテルを紹介したのかと思ったが、予約の手配までしてくれなかったから、単に似ている気がするだけかも知れない。あまり気乗りのしない宿ではあったが、駅前の立地に救われた。他のホテルで寝過ごしていたら、列車に間に合わないところだった。


飛馬大飯店 (台灣省屏東縣屏東市)

駅舎に入って自動券売機で切符を買う。自宅から台鐡のWebsiteで調べた時刻表によると、これから乗るのは區間車171次だが、発車案内の電光表示には復興號となっている。券売機にも區間車のボタンはなく、復興とある。台鐡では11月1日に車種(種別)の変更があったばかりなので表示の変更が間に合わないのだろう。値段は調べたとおりなので、復興號の枋寮までの切符(60元)を買う。その先の枋山まで行くのだが、171次は枋寮行なので、枋寮で改めて枋山までの切符を買う必要がある。日本と違い、通しで乗車券を発売しないのである。


剪票口(改札口) (屏東)

切符に鋏を入れてもらい月台に出る。早朝だが列車を待つ人は多い。やがて高雄方からディーゼル機関車を先頭に列車が入線して来た。切符には無座とあるが、座席指定はなさそうだから適当な席に座る。夜行列車から乗り換えたのか、眠りこけた客もいる。車内は実に空いており、窓側の席で寛いで車窓が楽しめる。

屏東線の高雄-屏東間は縦貫線と併せて西部幹線を構成しており、複線電化の大幹線だが、屏東以南は単線非電化のローカル線となる。朝の田園風景の中を列車は走る。線路沿いの道を散歩する人の姿が見える。風景は申し分なく、台湾に来てよかったなと思う。単線なので途中駅で高雄行と交換する。自強號や莒光號では味わえない各駅停車の旅を充分堪能し、枋寮に7時17分到着した。 (つづく)


車票(切符)は無座(立席)
いずれも民國95年11月26日撮影