旅日記

旅の記録と紀行文を紹介する事でしょう。
写真は私が撮影したものを使用しています。

最後の九州ブルトレ紀行 門司到着

2009-02-28 20:09:45 | 列車の旅

鹿児島本線 門司駅 (北九州市門司区中町)

下関を出発した寝台特急〔富士〕〔はやぶさ〕は、橋梁で彦島へ渡る。山陽本線の関門隧道は本州と九州の間にあるのではない。下関市の彦島と九州の間にあるのだ。少し彦島の街を見て、すぐに関門隧道に入る。下り坂が登り坂になり、すぐに出口となった。九州は本当に近い。


門司駅から見た関門隧道 (下関-門司)

山陽本線の直流電化から、鹿児島本線の交流電化に変わり、門司8時46分到着。下関で機関車を直流のEF66 48号機から交直流のEF81 411号機に付け替えたばかりだが、門司でも再び付け替える。そして東京より1,100km以上の道程を共にした熊本行〔はやぶさ〕と分割される。


東京から併結だった寝台特急〔富士〕〔はやぶさ〕 (門司)


ここで二本の列車に分割される!

下関から牽引してきた機関車が切り離され、先頭に〔はやぶさ〕を牽引する機関車が連結される。そして大分行〔富士〕と切り離され、8時59分に41列車として一足早く出発する。残された〔富士〕にも機関車が連結され、9時10分に1列車の名前のまま出発する。門司も付け替えを見る人で大盛況である。徳山から乗務の売り子さんが〔はやぶさ〕に乗っている。つまり〔富士〕での車内販売はもうない。〔はやぶさ〕は肥後熊本へと走っていった。


寝台特急〔はやぶさ〕 41列車 (門司)

24分もの停車の後、ED76 90号機に牽引されて、〔富士〕も豊後大分へと走り出した。 (つづく)


寝台特急〔富士〕 1列車 (門司)
いずれも平成21年2月16日撮影

最後の九州ブルトレ紀行 下関到着

2009-02-23 15:57:15 | 列車の旅

徳山駅弁当 のりまき弁当(1,050円) 〔富士〕〔はやぶさ〕車内販売
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平成21年2月16日月曜日。寝台特急〔富士〕の車中。風邪薬を服用していたこともあり、気持ちよく寝ていた。いくつか駅に停まったなという覚えはあるが、JR東海JR西日本の境界の米原、京都も寝ていて気付かず、ふと起きて車窓を見ると淀川を渡っているところだった。大阪到着は1時06分。近くの寝台に客が乗ってきた。車内放送の「今夜は大阪までご乗車のお客様がおられます」のとおりである。大阪で下車する客がいるという意味ではなく、大阪まで乗車客がいるという意味である。だから空席に荷物なぞ置くなという事。しかし案外、大阪で下車した客もいたかも知れぬ。深夜にもかかわらず列車を撮影する人が駅にいる。大阪を出発し、再び淀川を渡る。暫し起きている。神戸で東海道本線から山陽本線に入る。車窓に新しい建物ばかり見えるのは、震災の後の火災が焼き尽くしてしまったから。平成7年2月、山陽本線神戸行普通列車から見た焼野原は、今まで見たなかで最も衝撃を受けた車窓である。合掌。同年4月、復旧したばかりの山陽本線を上りの寝台特急〔あさかぜ〕から、やはり窓外を眺めた事を思い出す。明石海峡大橋を眺め、2時02分頃に上りの2列車〔富士〕〔はやぶさ〕とのすれ違いを見て、再び寝た。

次に起きると広島市内を走っている。5時21分、広島に到着。やはり列車を撮影する人がいる。まだ真っ暗だが、そろそろ起きる。向かいのおばさんが「お早うございます」と挨拶をするので、こちらも返す。自動販売機のある8号車へ移動し、缶コーヒーを買ってくる。ほとんどの寝台は埋まっている。空いているのは調整席か。山口県に入り、5時57分岩国着。ちょっとプラットフォームに降り、すぐ車内に戻った。岩国を出発するとおはようの放送が始まった。減光していた灯りも戻された。瀬戸内海を眺めるが、まだ真っ暗。大島大橋から撮影するのは無理だろう。柳井着。弁当を積み込み、プラットフォームを歩いて戻るおばあさんの顔も見えない。少し明るくなって下松着。


箱のデザインは旧徳山市・旧新南陽市・旧鹿野町… 旧熊毛町は?

徳山から乗り込む車内販売員を待ち受けるべく、1号車に移動する。ここは11号車。待っていたらいつワゴンが回ってくるか分からない。6時53分徳山着。売り子さん(おばちゃん)が乗ってきた。すでに1号車には弁当の列が出来ている。何人か前の客「柳井の弁当ありますか?」売り子さん「終わりました。六個しかないので」とのやりとりが。数の少ない柳井の弁当に興味があったが、無い物は仕方がない。その何人か前の客は柳井のらしき幕の内の折を持っていた。自分の番となり、幕の内とビールとお茶を買う。今回、ビールはキリンが出てきた。11号車まで延々歩いて席に戻る。列車は戸田-富海間の海岸を走っている。ようやく席に戻ると、向かいのおばさんは下車していた。徳山で降りたのだろう。列車は防府に到着した。さっそく弁当をあける。鶏の味付けが山口県の味である。美味しかったが、値段を考えると小郡の方がお値打ちである。
「九州列車紀行 はやぶさ車中」参照)


車窓に電気機関車EF66が見える! (小野田-厚狭?)

国鉄がJRになって数年、岩国から〔あさかぜ〕に立席特急券で乗車し、食堂車で朝食をとった事がある。料金は忘れたが、バイキング形式だった。すでに利用率は芳しくなかったのだろう。浴衣のまま食堂車に来ていたおっさんが印象に残っている。本来、浴衣ではご遠慮下さいなのだろうが、温泉場っぽくていい。食後はゆったりと車窓を眺める。カーブで長大な列車の先頭を行く機関車を眺めるのは最高である。16両編成の新幹線の先頭車両が見えても駄目である。機関車がこの長い列車を引っ張っていると思うからいいのである。再び海が見えてきた。もう九州は近い。長府を過ぎると、ようやく売り子さんがワゴンを押してきた。近くの席の人がコーヒーを注文すると、すでに売り切れだった。ポット三本分のコーヒーを用意していたそうだが。下関で降りる車掌さんが放送を始める。昨夜から「夜行列車の旅を存分に…」とか熱のこもった放送だった。ありがとう。


〔富士〕〔はやぶさ〕の停車中、売店は大盛況! (下関)

8時32分、下関着。機関車の交換のため、暫く停車する。関門隧道を行くカマ(機関車)を見に行く。売店では、ふく天うどんも味わえるようだが、朝飯は済ませたし、混雑しているのでパスする。ふく天うどんは廃止するまい。しかし夜汽車で到着したプラットフォームでのうどんは二度と味わえない。


下関まつり機関車付け替え会場も大盛況!


関門隧道のある下関-門司間は電気機関車EF81が牽引!

昨年9月に見た時より凄いことになっている。鉄道公安官ではなく、鉄道警察隊のおまわりさんもやって来ている。ご苦労様です。電気機関車はEF66 48号機からEF81 411号機に付け替えられた。下関から先はJR西日本からJR九州のエリア。車掌もJR九州の方となり、8時38分に出発した。 (つづく)


いよいよ本州から九州へ入る!
いずれも平成21年2月16日撮影

最後の九州ブルトレ紀行 出立

2009-02-21 18:03:01 | 列車の旅

特急券・B寝台券☆☆☆

昨年12月、ついに寝台特急〔富士〕〔はやぶさ〕の廃止が発表されてしまった。3月13日が最後の運転日となる。山陽本線沿線の岩国生まれ育ちなので、子供の頃からブルートレインを見てきた。時計代わりに列車通過音を聞いていた。いつしか運転本数は減ってゆき、岩国を発着するのは〔富士〕〔はやぶさ〕の一往復となっていた。その列車が廃止となる。寂しい事この上ない。山陽鉄道からの歴史ある路線が長大なローカル線になってしまう。山陽本線を介して多くの人が東京・関西方面と九州方面を行き来した。その役割はとうの昔に新幹線に取って代わられたのだろうが、最後の砦が陥落するような感じである。

無くなるのなら乗っておかなければならない。正式発表前から今年春の廃止という話は耳にしていたので、昨年9月に〔はやぶさ〕で熊本へ行ってきた。年末の帰省の時にも利用したが、〔富士〕を全区間乗った事が無い。2月中旬に〔富士〕で大分に行こうと思った。しかし廃止前に乗りたい人は多いらしく、土曜日出発の列車を一ヶ月前の発売日に申し込んだが、上段しか確保できなかった。最後の九州ブルートレインの旅は、下段で心ゆくまで車窓を楽しみたい。翌日、改めて申し込んだところ、禁煙の下段で進行方向向きの席が確保されていた。希望通りである。新松戸駅窓口氏に感謝する。復路は〔あさかぜ〕を偲んで博多から〔はやぶさ〕を利用しようと思う。二日後の〔はやぶさ〕も禁煙下段進行方向向きの席が確保された。旅を楽しみに一ヶ月を過ごし、平成21年2月15日日曜日当日となった。新松戸-大分の往復乗車券を購入する。ちょっと身震いがする。遅れないよう気をつけて17時頃に東京駅にやって来た。

常磐線(緩行) 普通 新松戸(16:19)→松戸(16:26) クハ203-4
常磐線 普通 松戸(16:29)→日暮里(16:45) モハE531-1006
京浜東北線 普通 日暮里(16:48)→東京(16:59) クハE233-1041


17時21分、10番線に入線! (東京)


JR西日本広島支社下関地域鉄道部下関車両管理室所属のEF66 48号機

これから乗る人、見るだけの人で機関車付近は混雑している。年末と比べてロープが張られたりと警備が厳しくなっている。さて、頭から尻尾まで今日の編成を見てみよう。

【東京-下関間を牽引】
電気機関車 EF66 48号機
【1~6号車は〔はやぶさ〕熊本行】
1号車 B寝台(客車二段式) スハネフ15-2
2号車 A寝台一人用個室(シングルデラックス) オロネ15-3001
3号車 B寝台一人用個室(ソロ) オハネ15-2004
4号車 B寝台(客車二段式) オハネ15-6
5号車 B寝台(客車二段式) オハネ15-1102
6号車 B寝台(客車二段式) スハネフ14-12
【7~12号車は〔富士〕大分行】
7号車 B寝台(客車二段式) スハネフ14-101
8号車 A寝台一人用個室(シングルデラックス) オロネ15-3004
9号車 B寝台一人用個室(ソロ) オハネ15-2001
10号車 B寝台(客車二段式) オハネ15-1204
11号車 B寝台(客車二段式) オハネ15-1202
12号車 B寝台(客車二段式) スハネフ14-5


プラットフォームは大変な人出!

列車を引いてきた機関車が機回しをする。この間を利用して大丸へ弁当を買いに行く。デパ地下はゆうどきで混雑している。大丸は知らない間に新しいビルに移っていた。


この時刻表も3月13日まで!


寝台特急〔富士〕は東京と大分とを結ぶ…


寝台特急〔富士〕(東京-大分)と〔はやぶさ〕(東京-熊本)の併結!


客車二段式B寝台に乗車☆☆☆

プラットフォームに戻って列車に乗り込む。向かいの下段は年配のおばちゃん。上段は向かいも真上も鉄道好きの兄ちゃんである。他の席には年配のおっちゃん。この辺の年齢層は、最も利用していた人たちが懐かしんで乗っているのだろう。若い女性も乗っているが、こちらはカップル。ただし続きの席は取れなかったらしく、男性は他の席から遠征して来ている。


進行方向向きの下段の席を確保☆☆☆

向かいのおばちゃんはプラットフォームから見送りを受け、定刻に列車は出発した。進行方向右の車窓には東京タワーが見える。左の通路の補助椅子には上段の人が腰掛けている。六郷川の河川敷では〔富士〕〔はやぶさ〕を見送る人たちが手に持った灯りを振っている。ちょっと感動した。東京都から神奈川県に入る。最初の停車駅、横浜に到着。乗る人もあるが、写真を撮る人も多い。JR西日本広島支社下関地域鉄道部の車掌さんが検札に来る。東京から下関までの本州内を乗務する。静岡県に入り、次の停車駅の熱海に到着する。JR東日本からJR東海のエリアとなる。運転士も交替。


常盤軒 北海洋食弁当(950円) 大丸東京
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丹那隧道に入ったところでビールを開け、弁当を広げる。食堂車は随分前に廃止になっているから、食堂車で一盞という訳にはいかない。食後、内田百ケン[門構えに月]先生の本を読みながら寛ぐ。本の中の旅の方が魅力的である。作品中の駅名を〔富士〕〔はやぶさ〕は走ってゆく。


洗面台☆☆☆

実際の旅に戻ろう。21時を回り、そろそろ寝る支度をする。用を足しに行く。便所、洗面台、冷水機。何もかもが国鉄の汽車という感じで懐かしい。大井川橋梁を渡り、金谷を過ぎて牧の原トンネルを抜けると、お休みの放送が流れる。車内チャイム「ハイケンスのセレナーデ」がいい。車内の灯りも減光されたし、カーテンを引いて寝る事にする。 (つづく)

寝台特急〔富士〕 東京(18:03)→大分(11:17) オハネ15-1202


シーツを敷いてベッドメイキング完了!
いずれも平成21年2月15日撮影