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創業106周年きものと洋服のお手入れ専門店 一級染色技能士の仕事事例と日常生活

クリーニング店のやらかし ノースリーブカットソー しみ抜き機による脱色 色掛け(色修正・染色補正・染直し)綿素材

2024年04月30日 | 洋服(他店で直らない品物)

皆様こんにちは

山三三ツ屋染舗の三ツ屋邦孝です。

いつも当ブログをご覧いただき誠にありがとうございます。

クリーニング店でお客様よりお預かりしたカットソーの前身頃に食べこぼしの

しみがあったのでしみ抜き作業をした所、生地が白く退色(白化現象)したので

慌てて当店に色掛け(色修正・染色補正・染直し)をして欲しいとのご依頼です。

ノースリーブカットソー

ノースリーブカットソー 品質表示

素材は綿100%でイタリア製となっていました。

洗濯表示は家庭での洗濯禁止、塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止、底面温度110 ℃を

限度としてスチームなしでアイロン仕上げができる、パークロロエチレン及び

石油系溶剤によるドライクリーニングができる(溶剤に2%の水添加)、タンブル乾燥禁止

となっています。

ノースリーブカットソー しみ抜き機による脱色

ドライクリーニング後に食べこぼしがあったので、超音波洗浄器でしみ抜きをした所

生地が退色して白くなっていますししみ抜き機の吸引口にメッシュ生地の後も酷く付いています。

この白化現象を見た瞬間にお断りしようと私の頭の中はお断りをすると作業中止の警報アラートが

鳴り響いていました。超音波洗浄器での誤った使い方をした事で取り返しのつかない事態になって

いました、なぜこうなったかを少し解説いたします。

超音波洗浄器

みけし洗い研精会 会長 小出富勝先生の筆書より画像をお借りしました。

*みけし きもの手入れ講座 小出富勝著 昭和63年9月発刊 より

しみ抜き用超音波洗浄器(ソノフラッシュ)の仕組み図

超音波とは通常私達の耳に聞こえる音の周波数は16Hz~20KHz位とされています。

超音波とは一般に周波数が高くて耳に聞こえない音の事を言っています。

従って超音波とは20KHz即ち1秒間に2万回以上の振動する音波と言う事になります。

液体に超音波振動を与え、その強さを増してゆくと、キャビンティション(空洞現象)

という現象が生じ、その力を利用して洗浄して行く器具です。

時計、眼鏡、宝石等の貴金属、外科手術用具、食器などのから工業用自動式コンベア形式の

ものまで広く用いられています。

超音波洗浄器の激しいパワー

金属容器に少量の水を入れ、容器に底に超音波発生のホーンの先端を強く押し付ける様に

してスイッチオンにすれば、画像の様に水は勢い良く噴水の様に吹き上がります。静かな

超音波から想像も付かない、激しいパワーが発生します。

超音波洗浄器の誤った使い方

固い物の上にポリエチレンを乗せ、超音波洗浄器ホーン先端を少し斜めにして、

軽く押し当てながら移動すると何か鋭利な刃物で切った様に切断される。

超音波洗浄器ホーン先端から出る振動、毎秒28,000回よる超エネルギーである。

従ってデリケートな絹地に使う時は、決してホーン先端を生地に押し付けぬ

注意が必要である。化繊類はビニールの様に着れる事もある。

このカットソーのしみ抜き作業を行ったクリーニング屋さん、超音波洗浄器のリスクを

分かっていない事により発生した事象だったので今後この様な事故が無い事を願って

記事を書いています。

ノースリーブカットソー 色掛け(色修正・染色補正・染直し)後

まずは油性処理と水処理を行い残っているしみを除去してからメッシュの後を

落とそうと生地の復元力を期待して高圧の蒸気を当てましたが、メッシュ後は

復元しませんでしたので、クレームで弁償する事が頭をよぎりました。

白くてメッシュ後の付いたじょうたいよりは、ダメ元で退色した部分に色掛け

(色修正・染色補正・染直し)を行い、メッシュ後が分かっても、退色が直っている方が

少しはクレーム対応が良くなる事を願い色掛け(色修正・染色補正・染直し)を行う事にしました。

色掛け(色修正・染色補正・染直し)は得意のピースにより吹き付けが細かいメッシュ後が

ある為に細い筆での細かい作業の為にかなりの時間を要し、ましてや裏地が無いので、表裏の

色掛け(色修正・染色補正・染直し)ですので時間も倍を要しました。余り時間がかかるので

何度も止めようと考えながら、諦めが悪い性格と色が合っているので仕事を途中で投げ出さずに

最後まで行う責任感で色掛け(色修正・染色補正・染直し)何とか終わらせましたが、仕上りは

悪いですが、自分が出来る精一杯の事を行いましたので悔いはありません。

クリーニング屋さんが訳を言ってしっかりとお詫びした所、お客様からお許しを頂いた事と

イタリア製の高価な洋服だったので、弁償しなくて良かった事を後日お聞きしました。

クリーニング屋さんしっかりと勉強してアップデートして行く事を心より希望します。

 

因みに私の修業先ではスプレーガンを使用してしみ抜き作業をしています。

当店でも業者の勧めで一度、超音波洗浄器を導入して丸洗いの裾洗いに使用して

見ましたが、私自身の使い方が悪かったのかあまり汚れが落ちなかったので

それ以後、超音波洗浄器を使用のしみ抜き作業をしていません。

スプレーガンを使用するか、超音波洗浄器を使用した作業するかは

流儀、流派、使用する方の考え方で決める事の為超音波洗浄器が悪いと言って

いるのでは無い事はご理解下さい。

 

着物と洋服のお手入れは

厚生労働大臣認定一級染色補正技能士・クリーニング師のいる

山三 三ツ屋染舗にご用命下さい。

〒062-0902

札幌市豊平区豊平2条2丁目2番20号

電話011-811-6926 FAX011-811-7126

営業時間 9:00~18:00

休日 日曜・祝日

メール mitsuyasenpo@train.ocn.ne.jp

ホームページ http://328senpo.sakura.ne.jp

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