ふぶきの部屋

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1998年宙組エリザベート(姿月あさと)

2016-09-21 07:00:00 | 宝塚コラム

 DVD収録キャスト

トート・・・姿月あさと

エリザベート・・・花總まり

フランツ・ヨーゼフ・・・和央ようか

ルキーニ・・・湖月わたる

ゾフィ・・・出雲綾

ルドルフ・・・朝海ひかる

エルマー・・・夢輝のあ

 発足2作目にして「エリザベート」

1998年は激動の年でした。

 麻路さき、真矢みきの両巨頭が退団。

 東京宝塚劇場が閉鎖され、有楽町に1000days劇場が建つ

 宙組発足で各組の人数が減る

スターもファンも大きな組替えに戸惑い、慣れるのに大変だったろうなと思います。

宙組は、月組の2番手だった姿月あさとと、雪組トップ娘役の花總まりが、コンビとして

頂点に立ち、二番手和央ようかが雪組から、3番手湖月わたるが星組から・・・というように

ばらばらな組カラーを持つ人たちの寄せ集めの組でした。

最初に「エクスカリバー」「シトラスの風」を見た時、組の雰囲気がガラスみたいに張り詰めていて

とっても冷たい感じがし、これが宙組の組カラーとして定着するんだなと思った記憶があります。

まだまだ創生期の宙組に「エリザベート」を充てる事そのものが間違いであったのではないかと。

宙組の上演によって、当たり前に見ていた「エリザベート」の舞台が、思いのほか難しいもの、

そして解釈に苦しむものだという事もわかったのではないでしょうか。

 組同士のせめぎ合い

個人的な印象ですが。月組出身とはいえ(花でもあるけど)姿月あさというスターは

演技力を評価された事はなかったと思います。

いつもずば抜けた歌唱力とダンス力で人気を博し、一方で、あまり回りを気にしない不思議ちゃん

でもあり、実はトップスターになりたくなかったという経歴の持ち主です。

姿月はどの組にも属さない宇宙人のような存在でした。

雪出身の花總と和央は、共にエリザベート経験者。

雪組といえば優等生で抑制のきいた演技をする組という印象があります。

一方で湖月わたる、出雲綾はデフォルメ過多の星組出身。

さらに花組出身の朝海ひかるはコスチュームなれしておらず、男役といいよりアイドルっぽさを

持っている人。

本人達は意識していないけれど、どっぷりと組の中で培った「らしさ」はそんなに簡単に

消えるものではなく、結果として全体的にまとまりがなくなったのですね。

姿月がもう少し月組っぽさを持っていたら別だったのかもしれませんが。

 ばらばらな解釈

演技には「攻め」と「受け」があります。普通の会話もそうですが、相手の反応によって

自分の話し方や感情が変わるのです。

しかし、この宙組の場合、経験者は経験者なりに自分の演技に拘るし、初めての人は

歌う事で精一杯でキャッチボールをしようとしない。

これはしばしば劇団四季や東宝ミュージカルを見て感じる事ですが。

姿月トート・・・歌唱力とダンスには偉く自信があるので、そこのみ頑張る。振りつけられたとおりに

         やっているだけ。どこかハプスブルク家に恨みを持っていて復讐しようとしている印象

花總エリザベート・・・宙組では本当によく泣きました。何でこんなにエキセントリックなんだろうと

           いう程に。雪組時代の「閉じた心情」がないので平凡に見える

和央フランツ・・・精神的にエリザベートに負けて、自分を見失っている皇帝。

湖月ルキーニ・・・一人でテンションが高く、盛り上げようと必死

DVDを見ればわかりますが、実は主役3人が互いにそっぽを向いているんですね。

花總と和央は二人だけの世界に入り込んでいるし、姿月は本当は誰にも関心がないし。

さらに人数が少ないので、舞台そのものが地味になっています。

ともすれば静かになってしまうような雰囲気を湖月が一人で頑張って盛り上げる印象です。

 目立つミスキャスト

ルドヴィカ・・・高ひづる → 貴族らしさがない

マックス公爵・・・星原美佐緒 → 貴族らしさもないし海外作品に合わない

和央ようか・・・フランツ・ヨーゼフ → 致命的に衣装が似合わず、やる気なし

湖月わたる・・・ルキーニ → 歌唱力なさすぎ

朝海ひかる・・・ルドルフ → 若すぎるし役柄がわかってない

夏河ゆら・・・マデレーネ → 妖しくないし若くもない

これだけミスキャストを揃えると、そりゃあもう・・・・星組みたいな大どんでん返しは望めないに

しても、せめてもうちょっと何かがほしかったなあ。

 1幕目

 ♪ フランツ助けてあなたが頼りよ ♪ 抱き付くエリザベートとフランツがラブシーンみたいになってる

  ♪ 僕は君の味方だ でも母の意見は君の為になるはずだ ♪の歌はいらないので

 二人でいちゃいちゃしててほしいわ。

 エルマーのセリフが増えて、振りがおおぶりに。

 2幕目

 棺桶に立つトート

これはね・・・麻路さんが座ってたから私は立ってみましたという感じで、意味がわからない

 フィナーレ

ぶったまげたのが、デュエットダンス。

まさか・・・まさかジャズ?それまでのヨーロッパな雰囲気が一気に消えちゃった。

何でこんな選曲を・・・・と頭の中にはてなマークが飛び交ったのでした。

 DVD

正直、宙組のDVDはお勧めしないのです。(買った方、ごめんなさい)

理由は、この撮影をしたのが実相時監督だからです。ウルトラマンの。

特撮ヒーローものと舞台では映し出す部分が違うと思うんですよね。

宝塚の映像でも、本家本元宝塚と東京では映像に違いがあり、私からみると

まだまだ東京版は魅力的に感じないのですが。

スターらの表情をとらえるのがちょっと下手かなと思い。

それはいいとして、宙組版「エリザベート」はやたらドアップが多いのです。

それもアイラインからつけまつげの付け根まで見えるような

ファン的には嬉しいかなあ

でも、トート閣下のはっきりくっきりダブルメイクとかエリザベートの下アイラインなんか

ドアップで見せられてもちょっと引く。

ただ、「最後のダンス」でトートが鏡に映って幽霊みたいに見えるシーンはさすがと

思いました。

 

 東京で見た時

まず、劇場が悪かったなと思います。

1000days劇場、私は好きだったんです。

有楽町の駅から近いし、入口前が広いから警備のおじさんに色々言われないし

2階席がないから一番後ろでも損した気分にならない。

でも、仮設ですから、壁が薄い。セリがない。

そういう所で、今まで90人くらいいた「エリザベート」を70人弱で見るというのは

それだけで「地味っ」という感じで。

湖月わたるに歌唱力を期待しないし、紫吹淳だって歌えなかった。でもこのルキーニは。

KYに見える・・・・などと言っている間に、やたら涙を流すエリザベートにげっそり。

2幕目はルドルフが樹里咲穂だったんですけど、まーーったくルドルフになってなかった。

休演などもあり、役作りする暇もなかったんだろうなあと同情はしたけど。

おまけにフィナーレのジャズでえ?となり、階段降りは湖月の紫軍服に

「かっこいい!フランツより皇帝ぽい」などと思ってしまったのでした。

当時の感想を書いた文章を読むと、よかったのが出雲綾のゾフィと、声が通っていた

夢輝のあだけだった

 

「聞く」なら雪組

「見る」なら星組

じゃあ宙組は?

 

コメント (7)
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