ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
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星組 赤と黒

2023-04-10 07:00:00 | 宝塚コラム

 何だか寒いですよね~~~ 雨が降ったわりにはみなさんマスクを外さず。

二重マスクも未だにいる。

単なる同調圧力なんだろうか?これじゃ2月くらいに逆戻りしている気がする。

外国人が多数入って来てるから日本人としてはマスクを外せないのかな。

 赤と黒 

実は先に配信で観ました。(我慢できなかったの)

で、びっくりしたのは、「これが赤と黒?赤と黒ってこんな話だった?」

原作読んでないから何も言えないけど、柴田版「赤と黒」のジュリアン・ソレルってもっと嫌な奴じゃなかったかな

意図的にレナール夫人やマチルドに近づいて出世の足がかりにしようとする。

でも、今回はヴァルノ夫妻が一手に悪役を買って出たお蔭で、ジュリアンは結果的にブルジョアに潰されてしまった男・・という形になりました。

1幕最後の花びらに驚き、2幕の慌ただしいストーリー展開に驚き。

これは絶対に生で見たいなと思っていたのです。

幸い、組総見という事で見る事が出来ました。

2階席ですけど、まあまあ見れる席だったので。

それにしても日本青年館は換気が悪すぎる。

造る時にそこまで考えてなかったのかな。トイレの数も少ないし。

チケット出しが1時間前で、席に入る事が出来るのが30分前。その間、ずっと廊下にいたんですけど恐ろしく暑くて。外は寒いのに。扇風機がぶんぶん鳴って回っていたけど

それがなに?って感じで。しかもマスクしているから蒸れてくるし。

ファミマでうろうろするも、狭いし、カフェは入れないし。

不満ばかり募る青年館です。

組総見なのに、なぜか愛華みれさんが見てたようで、

暁千星「あなたは!もしかして花組元トップスターの愛華みれさんじゃありませんか?私を知らない?え?知ってるよ?・・・困ったな」

後ろを向いて何とかしようとしている・・・のが可愛かったです。

でも、この作品は嫌という程セリフに「愛」「愛が」「愛か」と出て来るので、その度にタモさんはドキッとするんだろうなと想像しておりました。

今回は幕開きの音楽がぐぐっと「赤と黒」の世界に観客を引き込み、絶対に離さないぞって来るんですね。

セットは簡素ながらも薔薇模様の仕切。そこにソファやテーブルを並べるのはオンブルと呼ばれる存在。このオンブルがある時は貴族に、ある時は召使になりと大活躍します。

上手に「赤」下手に「黒」がいて、それがストーリーテラーのジェロニモと後ろや脇でこそこそ喋っていたり、指示されたりしている。

つまり本編も面白いけど、脇で何かやってる子達を見るのもめちゃ面白い。

 

まず礼真琴演じるジュリアンは大工の息子という設定で町長のレナール家の家庭教師になります。

そこに居合わせた貧困ビジネスで儲けているヴァルノ夫妻は散々ジュリアンをこきおろすのですが、ジュリアンは聖書の一節をラテン語のロックで表現し、圧倒します。

恐らくこの時からヴァルノ夫妻はジュリアンを敵視したんだと思います。

なぜなら、ジュリアンは心の底にブルジョワに対する敵愾心を抱いていたので。

世の中はナポレオン時代が終わり、王政復古した昔のフランス。

貴族は貴族どうして結婚。だけど恋愛は別で夫婦互いに秘密の恋人を持つという虚構の世界。

幸せな家族を演じながらも夫婦は互いに別な場所を見ているというのがブルジョワなんですよね。

レナール家や2幕のラ・モール侯爵はその象徴。

そしてヴァルノ夫妻はブルジョアになり切る為に、必死に努力をして、張り合っていると言う事。

なので、真実をガンガン口にするジュリアンに恐ろしく嫉妬する。

実はジェロニモの方がきつくて、貴族を皮肉るのはすごいのですが、それが歌であったり、「冗談です」と言ったり、笑ってごまかしたりするので、それほど不愉快にはならないとうわけ。

真正直なジュリアンは、「大工の息子だからなんだ」という気持ちが強くて、貴族にこびないし、でお日々身分制というものから屈辱を受けている。

 

私達日本人はそういうものに無関係と思っているかもしれないけど、そうではありません。

私はジュリアンと同じ気持ちを何度も味わった事があります。

ヅカファンというのはヒエラルキーの高い低いで席次が決まるようなもの。

生徒達はみな、どちらかと言えばブルジョワ出身でその関係で「おばさま」達は苦労なくチケットを手にし、生徒と身近に接し、お金という魔法で特権を行使する。

私達庶民は、こぼれてくるチケットを争って取り、2階席の後ろで「ああ、1階席だったら」と思いつつ舞台を見る。

関西に行くと特にそういうものを感じるんですよね。

職場でも正規職員と非正規職員の間に横たわる「溝」は意外と大きく「こんな奴が公務員だなんて。何で私は公務員にならなかったかな」と思う毎日。

仕事が出来ない、しゃべれない、でも公務員だから身分は保証され給料もボーナスも入る。どんなに仕事が出来ても非正規ゆえに屈辱を感じる。

ジュリアンと同じです。

そんなジュリアンがルイーズに本気で恋をしてしまった。

けど、その噂が出た瞬間、ルイーズは身を翻しジュリアンを追い出す。

例え彼女の心の中に「パリへ行った方がジュリアンの為になる」という気持ちがあったとしても、ジュリアンはわかる筈なく、怒りと悲しみと信じてしまった事に打ちのめされて花びらが降る中で一幕終わり。

2幕目は、ラ・モール侯爵の秘書として活躍するジュリアンの元にジェロニモが現れ「マチルドなんてどう?」とけしかける。(悪いジェロニモ)

最初はその気がなかったジュリアンも、マチルドがナポレオン崇拝者で、しかも300年も前に謀反の罪で死刑になったご先祖を「英雄」として讃える所を見て、多分恋に落ちる。

で、ここが面白いんだけど、なかなかマチルドが本音を漏らさないのでジュリアンはジェロニモの手を借りて嫉妬させる為によその夫人に手紙を53通も書くところ。

マチルドの怒りっぷりが新鮮で可愛くて、「ああ・・ひっかかったな」と。

マチルドは妊娠。結婚させてくれないと死ぬから!って脅すので、パパは仕方なくジュリアンに騎士の身分を与えて結婚をゆるす。

 漸くブルジョアに勝った!と思ったらそこにヴァルノですよ。ルイーズに「実は彼は野心家で入った家を崩壊させる」という手紙を送らせ、その事に怒ったジュリアンはルイーズを撃ち、死刑になるかも。

実はルイーズは死んでいないと言う事を知り、ジュリアンは本当はとてもルイーズを愛していて、彼女もまたそうである事をしり、自ら死を選ぶ。

ジェロニモはジュリアンに君の事を書こうと約束。

なぜジュリアンは死を選んだか?

俗っぽく言えば、この先、控訴して勝訴してもルイーズの元に戻るわけないし。そうなるとずっとマチルドに支配されて生きる事になる。面倒ですよね。

真実の愛を知って、自分はブルジョアのようなまがいものの世界ではなく、本物を手にしたんだという勝利の気持ちで死刑になった方が気持ちに整理がつくって事ですよね。

騎士の身分に戻ると言う事は、自分が最も嫌う人種と同じになるのだから。

 

フィナーレも素晴らしかったです。

特にジュリアンとルイーズ、マチルド3人のダンスは見もの。

正直、こんなにうっとりと娘役と目を合わせる礼真琴を見たことない。

それだけでも眼福。

戦友の有沙瞳とは心から信頼できる関係だし、詩ちづるは礼真琴が色々教えて可愛くてしょうがないって顔するし。本当によかったんじゃないかなと思います。

 

 出演者について 

礼真琴・・・礼真琴も月城かなともいわゆる「陰キャ」ですよね。うじうじと悩み、考え、恨みを募らせというような役が似合って、そういう意味では今回のジュリアンはまさに当たり役で代表作になるんじゃないでしょうか。

持前の歌唱力が存分に生かされ、回りがそれをしっかり支えてくれる。大人の女性と小娘を同時に手に入れるなんて羨ましい役に恵まれてよかったよね。

トップになりたての頃は、この「陰キャ」部分がどうにも大人しさに繋がって、側に瀬央ゆりあが必死に支えてる感じでしたけど、「陰キャ」も極めると強くなるんだなと思いました。

何より、舞空瞳と組んでいる時よりずっと楽しそうなのがよかったです。

有沙瞳・・・ルイーズ。なんといっても色気があって大人で。美しい不倫を見せて頂いたという感じ。こういう役は若い人には出来ないよねとつくづく思います。

ただ、ジュリアンを追い出す時にもう少しためらいがあってもよかったし、余韻が残ればいいなと。今回、ルイーズの影の心情を吐露する場面がなくてそこは残念ですよね。

でも断然、次回のマリー・アントワネットが楽しみです。

暁千星・・・礼真琴が「陰キャ」であるなら暁千星は究極の「陽キャ」です。その陽っぷりは太陽の如く明るくて、礼真琴との対比が素晴らしくいいわけ。

彼女は低音の歌が苦手なんですけど、それを克服して、きちんと発音もよく歌っておりました。

また、セリフ回しも映画などで研究したらしく、こんなに成長したのかと驚くばかり。何よりアドリブが苦手だったのに客席をいじってる~~と。

オープニングの歌が本当に素晴らしく観客を引き込む、礼真琴とのデュエットがまるで双子のように似合っていること。ストーリーテラーである部分とジェロニモという歌手の違いをきちんとわけて表現している所がすごいです。

また、1幕で机に脚をのっけて歌うんですが、あれを生で見た時はびっくりすると同時に「アリしか出来ない」と言われた理由がわかった気がします。

芝居の間、二階セットの真ん中で見ている姿にも風格を感じる一方、フィナーレでは素が出て可愛いありちゃんになっているのも楽しかったです。

英真なおき・・・ずっと星組に出て欲しい。完璧な侯爵でしたけど、個人的にはフィナーレで出演者を指導しながら笑わせている所が一番好き。

紫門ゆりや・・・レナール。派手な衣装がとても似合っていて元々貴公子タイプなのでブルジョアがぴったり。優しいけどどこか足りない旦那さんをとてもよく演じていました。ソロを初めて聞きましたがすごいな、上手だなと思いました。星組と相性がいいのかもしれませんね。

ひろ香祐・・・いや本当に悪役だな。それも日々パワーアップしている気がします。

観客に「こいつがいなければ」と思わせるに十分な悪役でした。

小桜ほのか・・・可愛い顔して、ド派手な衣装着て超旦那と同調して悪役です。

小桜にこういう一面もあったのかと思いますが、その演じっぷりが「こういう人っているよね~~」と妙に共感しちゃう感じ?うるさいなと思いつつもまとわりつかれたら終わりみたいな。

 

希沙薫・碧海さりお・・・赤と黒。本当はもっと表情を変えたりしたかったろうけど、無表情で踊り、ジェロニモの側で動いている。愛と死なのか?え?あまり役割的な事は正直わからなかったんですが。

詩ちづる・・・2幕目、ツインテールで出て来た時からおてんばで気が強い娘で、それが憎めない少女だと思いましたが、喪服を着ても黒ドレスでもとにかく可愛らしく、そして精一杯大人びてみえるように頑張っている所が好感を持てました。

この方は大物になりそう。

 

今回はどの衣装も素晴らしくて、ジェロニモの黒と赤のジャケットも好きですが、礼真琴のばらが入ったコートも見事。

でも一番は有沙瞳の薔薇模様のガウンでしょうか。

こんなに派手な舞台を見続けたら他の組が地味に見える筈ですわ。

罪な星組。

姫ちゃんが暁千星の写真をデコりました。ビーズなどはキャトルでも売っているのですが高いのでユザワヤさんに行って生地とかリボンとか、ビーズなどをチョイスして工夫しています。

最近の彼女の趣味ですね。

とても「赤と黒」のイメージに合ってますね(彼女は見てないけど)

 

コメント (4)
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