あんたはすごい! 水本爽涼
第百三十回
話は上手くできている。児島君は電車通勤だから飲酒の心配はない。私も車ながら、お決まりの例のパターンがあるから、眠気(ねむけ)警察署の方々にご足労願う必要はまったくなかった。そんなことで、児島君を乗せた私の車はみかんへ向け発進したが、これも私のお決まりのコースで、先にA・N・Lへ寄って軽い夕食を済ませ、頃合いの時間になるのを待った。別に時間を潰(つぶ)さなくても店は開いているように思えるが、なんか妙な予感がして七時頃までみかんへ向かうのを、ずらしたのだ。実は、私が玉にお伺(うかが)いをたてなかったから、玉は正式なお告げの声を私に届けなかったのだが、私の背広ポケットには小玉が常に入っているから、その小玉が発した霊力がみかんの酒棚に置かれた玉へと届き、玉の霊力で取り敢(あ)えず霊感だけを私に送ったのだと思われた。私が玉に直接、お伺いをたてていれば、恐らく霊感ではない霊力で、『七時頃に出なさい…』などとお告げがあったのかも知れない…と、私は先入観を働かせた。この時私は、まだそこまでの玉の威力を知らなかった。私が沼澤氏のように完全な霊力のコントロールができるようになるのは一年以上先で、この段階では未熟さも、やむを得なかった。それはともかくとして、一時間後、私と児島君はみかんのカウンター椅子に腰を下ろしていた。
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第百三十回
話は上手くできている。児島君は電車通勤だから飲酒の心配はない。私も車ながら、お決まりの例のパターンがあるから、眠気(ねむけ)警察署の方々にご足労願う必要はまったくなかった。そんなことで、児島君を乗せた私の車はみかんへ向け発進したが、これも私のお決まりのコースで、先にA・N・Lへ寄って軽い夕食を済ませ、頃合いの時間になるのを待った。別に時間を潰(つぶ)さなくても店は開いているように思えるが、なんか妙な予感がして七時頃までみかんへ向かうのを、ずらしたのだ。実は、私が玉にお伺(うかが)いをたてなかったから、玉は正式なお告げの声を私に届けなかったのだが、私の背広ポケットには小玉が常に入っているから、その小玉が発した霊力がみかんの酒棚に置かれた玉へと届き、玉の霊力で取り敢(あ)えず霊感だけを私に送ったのだと思われた。私が玉に直接、お伺いをたてていれば、恐らく霊感ではない霊力で、『七時頃に出なさい…』などとお告げがあったのかも知れない…と、私は先入観を働かせた。この時私は、まだそこまでの玉の威力を知らなかった。私が沼澤氏のように完全な霊力のコントロールができるようになるのは一年以上先で、この段階では未熟さも、やむを得なかった。それはともかくとして、一時間後、私と児島君はみかんのカウンター椅子に腰を下ろしていた。