あんたはすごい! 水本爽涼
第百四十九回
次の日、お告げは現実のものとなって現れた。私は鍋下(なべした)専務に呼ばれ、専務室にいた。
「昨日(きのう)は御苦労さん。で、君を今日、ここへ呼んだのは他でもない。この前、…と云っても鳥殻(とりがら)君が生前中の話なんだが、君を呼んだことがあったね?」
「はい、記憶いたしております」
「あの時、この四月から次長を頼むと内示し、取締役会でも正式に承認されたんだがね。鳥殻君の訃報(ふほう)で状況は一変した。そこで、あの話は一応、なかったことにしてもらうよ」
「えっ! そんな…」
「まあ、落ちついて聞きたまえ。話には続きがある。そこでだ、改めて鳥殻君の後任の部長をお願いしたいと考えているんだが、なにか不都合なことはあるかね?」
「ええっ!! 私を営業部長に、ですか? …ふ、不都合など、あ、ある訳がありません」
「ははは…、急な話で君も面食らったろう。まあ、そういうことだ。これから緊急の取締役会が開かれるんだが、実はこの話が議題なんだよ。ほぼ、決まりなんだがね」
「はあ…」
「そういうことだ! 四月からよろしく頼むよ」
鍋下専務はニコッと笑い、私の肩を軽くポンと叩いた。私が営業部長とは…。お告げどおりとはいえ、新たな状況の展開に、私の心は動揺していた。
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第百四十九回
次の日、お告げは現実のものとなって現れた。私は鍋下(なべした)専務に呼ばれ、専務室にいた。
「昨日(きのう)は御苦労さん。で、君を今日、ここへ呼んだのは他でもない。この前、…と云っても鳥殻(とりがら)君が生前中の話なんだが、君を呼んだことがあったね?」
「はい、記憶いたしております」
「あの時、この四月から次長を頼むと内示し、取締役会でも正式に承認されたんだがね。鳥殻君の訃報(ふほう)で状況は一変した。そこで、あの話は一応、なかったことにしてもらうよ」
「えっ! そんな…」
「まあ、落ちついて聞きたまえ。話には続きがある。そこでだ、改めて鳥殻君の後任の部長をお願いしたいと考えているんだが、なにか不都合なことはあるかね?」
「ええっ!! 私を営業部長に、ですか? …ふ、不都合など、あ、ある訳がありません」
「ははは…、急な話で君も面食らったろう。まあ、そういうことだ。これから緊急の取締役会が開かれるんだが、実はこの話が議題なんだよ。ほぼ、決まりなんだがね」
「はあ…」
「そういうことだ! 四月からよろしく頼むよ」
鍋下専務はニコッと笑い、私の肩を軽くポンと叩いた。私が営業部長とは…。お告げどおりとはいえ、新たな状況の展開に、私の心は動揺していた。