あんたはすごい! 水本爽涼
第百五十回
果たして私に勤まるんだろうか…という単なる自信のなさと、自分に対して始まった途方もない本格的な異変の序章が、私を不安に陥(おとしい)れていた。こういうときは、みかんだ…と、私は店へ寄ることにした。酒棚の玉や沼澤氏のことも気になっていたから丁度、好都合だった。
「ママ、偉いことになりましたよ」
「そうだってね、聞いたわよ。部長さん、お亡くなりになったんだってね、ご愁傷さま」
「あっ! それ…もあるけど、今日の違うんですよ。俺に異変が起こったんですよ。お告げがあったんですが、そのとおりになって…」
私は決壊したダムのように、止めどなく語りだした。
「ちょっと待ってよ。…ゆっくり話してくんない、その話…」
早希ちゃんがボックス席から重い腰を上げ、カウンター椅子(チェアー)へ近づいた。
「ああ、早希ちゃんも興味があるんなら…」
「興味はないんだけど、これに関係するかも、と思って一応、聞いておこうと…」
隣の椅子へ座った早希ちゃんは、携帯を私の前へ示した。
「なんだい? 携帯がどうかしたの?」
「私、投資を少しやってんのよ。だから、満ちゃんが偉くなれば、会社に投資を、な~んてねっ」
早希ちゃんは悪戯(いたずら)っぽくニコリと笑った。私も少しすごくなりかけているみたいだったが、早希ちゃんは遥かに私よりすごかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/3c/8e/e1a0a1b75489225b6814e7f42de831aa_s.jpg)
第百五十回
果たして私に勤まるんだろうか…という単なる自信のなさと、自分に対して始まった途方もない本格的な異変の序章が、私を不安に陥(おとしい)れていた。こういうときは、みかんだ…と、私は店へ寄ることにした。酒棚の玉や沼澤氏のことも気になっていたから丁度、好都合だった。
「ママ、偉いことになりましたよ」
「そうだってね、聞いたわよ。部長さん、お亡くなりになったんだってね、ご愁傷さま」
「あっ! それ…もあるけど、今日の違うんですよ。俺に異変が起こったんですよ。お告げがあったんですが、そのとおりになって…」
私は決壊したダムのように、止めどなく語りだした。
「ちょっと待ってよ。…ゆっくり話してくんない、その話…」
早希ちゃんがボックス席から重い腰を上げ、カウンター椅子(チェアー)へ近づいた。
「ああ、早希ちゃんも興味があるんなら…」
「興味はないんだけど、これに関係するかも、と思って一応、聞いておこうと…」
隣の椅子へ座った早希ちゃんは、携帯を私の前へ示した。
「なんだい? 携帯がどうかしたの?」
「私、投資を少しやってんのよ。だから、満ちゃんが偉くなれば、会社に投資を、な~んてねっ」
早希ちゃんは悪戯(いたずら)っぽくニコリと笑った。私も少しすごくなりかけているみたいだったが、早希ちゃんは遥かに私よりすごかった。