あんたはすごい! 水本爽涼
第百三十六回
「なんです? この玉は…」
「今、聞いてたろ? 話を…。その沼澤さんが置いてかれた箱の水晶玉だよ」
「それを、なぜ僕に?」
「沼澤さんがね、来られたお客様に差し上げて下さい、って云われたの…」
ママは、やんわりとした口調で云った。
「その沼澤さんというのは?」
「ちょっと話せば長くなるから、詳細は孰(いず)れ語るとして、要点だけ云うと、霊術師をやっておられる方で、週二回、眠気(ねむけ)会館で霊能教室を開いておられるんだ…」
「霊術師? ですか…」
「私は、そういうの信じない人だから、興味ないの」
児島君の左隣に座り、携帯を弄(いじく)っている早希ちゃんが、動作を止めて急に話へ介入した。
「ははは…、早希ちゃんは現実派だからな」
「なによ、その古い云い方。ナウいってこと? この云い方も古いけど…」
早希ちゃんはダメ出しして、自分で引いた。
「ああ、そんな感じ…」
まったくもって彼女には、歯が立たない私だった。児島君は小玉を手の平に乗せてしばらく眺(なが)めていたが、私が以前やったのと同じような仕草で背広上衣のポケットへ何げなくスウ~ッと収納した。
「僕も一度、その沼澤さんとかに会ってみたいですねえ」
「そおう? 来週の火曜、何もなければ教室終わってから寄るって云ってらしたわ」
ママが小声で加えた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/23/c1/6b4b4d7bb339010d9dd08a853e6fd7f6_s.jpg)
第百三十六回
「なんです? この玉は…」
「今、聞いてたろ? 話を…。その沼澤さんが置いてかれた箱の水晶玉だよ」
「それを、なぜ僕に?」
「沼澤さんがね、来られたお客様に差し上げて下さい、って云われたの…」
ママは、やんわりとした口調で云った。
「その沼澤さんというのは?」
「ちょっと話せば長くなるから、詳細は孰(いず)れ語るとして、要点だけ云うと、霊術師をやっておられる方で、週二回、眠気(ねむけ)会館で霊能教室を開いておられるんだ…」
「霊術師? ですか…」
「私は、そういうの信じない人だから、興味ないの」
児島君の左隣に座り、携帯を弄(いじく)っている早希ちゃんが、動作を止めて急に話へ介入した。
「ははは…、早希ちゃんは現実派だからな」
「なによ、その古い云い方。ナウいってこと? この云い方も古いけど…」
早希ちゃんはダメ出しして、自分で引いた。
「ああ、そんな感じ…」
まったくもって彼女には、歯が立たない私だった。児島君は小玉を手の平に乗せてしばらく眺(なが)めていたが、私が以前やったのと同じような仕草で背広上衣のポケットへ何げなくスウ~ッと収納した。
「僕も一度、その沼澤さんとかに会ってみたいですねえ」
「そおう? 来週の火曜、何もなければ教室終わってから寄るって云ってらしたわ」
ママが小声で加えた。