あんたはすごい! 水本爽涼
第百五十六回
『ようやく格好がついたようですね。お疲れ様でした…』
私はやっとひと息つけたところで、部長席で何も考えず休んでいたところだった。
「はあ…」
『ちょっと、様子を見がてらお話しさせて戴いておるようなことです』
「あのう…、また異変とかが起きる、いや、起こされるおつもりなんでしょうか?」
『いえいえ、そうすぐには…。幾らなんでも、それでは塩山さんに悪いですからね。なんか、疲れさせているだけみたいですし…』
「いやあ、ははは…。そのとおりなんですが…」
『それでも悪いことばかりではないはずです。事実、リストラ代表の湯桶(ゆおけ)次長さんも、当面は留任なんでしょう?』
「なんでもよく御存知だ。そのとおりですがね。しかし、鳥殻(とりがら)部長が亡くなられて、私が部長に昇り、湯桶次長がそのまま留任というのは、私(わたし)的には仕事がやり辛いんですが…」
『そりゃ、そうでしょう。跳び越して昇進ですからね…。でも、その苦労もそう長くないですから安心して下さい』
「えっ! どういうことでしょう?」
『この前、云ったようなことです。塩山さん、あなたはこの会社だけの人ではないのです。日本の、いや、世界になくてはならない人だと申し上げたはずです。まあこの先、少しずつ分かって戴けるとは思いますが…』
その時、ドアをノックする音がした。
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第百五十六回
『ようやく格好がついたようですね。お疲れ様でした…』
私はやっとひと息つけたところで、部長席で何も考えず休んでいたところだった。
「はあ…」
『ちょっと、様子を見がてらお話しさせて戴いておるようなことです』
「あのう…、また異変とかが起きる、いや、起こされるおつもりなんでしょうか?」
『いえいえ、そうすぐには…。幾らなんでも、それでは塩山さんに悪いですからね。なんか、疲れさせているだけみたいですし…』
「いやあ、ははは…。そのとおりなんですが…」
『それでも悪いことばかりではないはずです。事実、リストラ代表の湯桶(ゆおけ)次長さんも、当面は留任なんでしょう?』
「なんでもよく御存知だ。そのとおりですがね。しかし、鳥殻(とりがら)部長が亡くなられて、私が部長に昇り、湯桶次長がそのまま留任というのは、私(わたし)的には仕事がやり辛いんですが…」
『そりゃ、そうでしょう。跳び越して昇進ですからね…。でも、その苦労もそう長くないですから安心して下さい』
「えっ! どういうことでしょう?」
『この前、云ったようなことです。塩山さん、あなたはこの会社だけの人ではないのです。日本の、いや、世界になくてはならない人だと申し上げたはずです。まあこの先、少しずつ分かって戴けるとは思いますが…』
その時、ドアをノックする音がした。