幽霊パッション 第三章 水本爽涼
第十七回
「ははは…、君はご無沙汰ばかりだなあ」
田丸は賑やかに笑った。
「そう云わないで下さいよ、社長!」
上山も釣られて、小さな笑みを浮かべた。
「ところで、その正義の味方とやらは、順調に進んでるのかね?」
「それなんですよ、社長。今現在は第二段として、地球上の温室効果ガスをなくすことに努めておるんですが、ちょっと壁に、ぶち当ってるんです」
上山は正直なところを田丸に吐露した。
「地球温室化か…。コップでやってる削減交渉はなかなか煮えないからなあ~。今、日本は、メアリカ、チャナイ、ローユからの守りだからな」
「はい、そのようです…」
上山はトーンを下げて田丸へ返した。
「コップでもグラスでもいいんだが、目に見えないだけに、厄介だろう」
「ははは…、はい。平林君に霊界で調べてもらったり、お偉方(えらがた)に訊(き)いてもらったりは、してるんですが…」
「霊界のお偉方って?」
「いつか云ったとは思うんですが、霊界番人とか平林君が云っておる人、…人というのも、なんなんですが…」
「ははは…、その存在は私達人間には分からん存在だ」
「ええ、まあ…。正確には、その上の霊界司という霊界をとり仕切る存在の司令で、私と彼とはそのお方というのも、おかしいんですが、そのお方に従って動いてるんですよ」
「なんだ! 正義の味方ってえのは、君達の発想じゃなかったのか?」
「はい、すべては霊界の意向なんです…」
上山は事の仔細(しさい)を田丸に話した。