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水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

連載小説 代役アンドロイド 第159回

2013年04月03日 00時00分00秒 | #小説

    代役アンドロイド  水本爽涼
    (第159
回)
 朝が昼となり、二時前が来た。今日は随分、一日の巡りが早い…と、保は思えた。その瞬間、中林がマンションのチャイムを押した。
━ ピンポ~~ン ━
 保は、中林だ…と思った。奴は単一主義だから一度押せば二度と押さんからな…と閃(ひらめ)いたのだ。
「沙耶、中林だ。お前は、ここにいて構わん」
『別に隠れないわよ。その必要もないし…』
「あっ! そうだったな…」
 怪獣長左衛門と手下の里彩を手懐(なず)けた沙耶である。もう人目を憚(はばか)る必要はなかったのだ。というか、働くなら逆に人前での応対に順応させる必要があった。 保が玄関ドアを開けると中林が入ってきた。
「どうかしたか? 冷麦以来だが…」
 開口一番、中林はドアを閉じながら言った。
「いや、沙耶のことでな。といっても、出会うのは初めてか」
「ああ、性能を補強するとか前、言ってたよな」
「それはいいんだ。まあ、上がってくれ」
 言われるまま、中林は上がった。そのとき、奥のダイニングから沙耶が出てきた。
『いらっしゃい! 私が沙耶です』
「いや…」
 中林は人間と見紛(まご)う出来の沙耶に一瞬、面喰(くら)って言葉を失った。


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