明るい所ばかりにいれば、暗い気の休まる所を求める。逆に暗い所ばかりにいると明るい所に出たくなる。これが人の生理的な構造のようだ。むろん、朝の明るさも夜の暗さも関係なく働く人々もいる訳だが…。明るい⇔暗いの比較は相当、難しい。^^
とある一流オーケストラの演奏会場である。少しづつ入場者が増してきたところだ。そんな中、二人の男が入場して席に着いたところだ。まだ、オーブニング前で観客のザワツキもある。
「おいっ! 少し明る過ぎないかっ!?」
「そうかぁ~? 俺はこんなもんだと思うんだがなぁ~?」
「いや、明る過ぎるっ! もっと暗くしないと、ショパンの曲には合わないっ!」
「俺にそんなこと言っても、仕方ないだろっ!」
「まあ、それはそうだが…。だが、夜想曲なんか昼想曲になっちまうっ!」
「仕方ないだろっ!」
「まあ、仕方ないが…」
愚痴をこぼす男は天井のライトから目を落とし、愚痴るのを断念した。しばらくして、演奏会は男の愚痴とは関係なく始まった。
確かに、明るい⇔暗いに合う雰囲気や景色はあるにはあるようだ。^^
完