水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

明暗ユーモア短編集 (73)争(あらそ)い

2022年02月17日 00時00分00秒 | #小説

 人の世の最(もっと)も醜(みにく)いものの一つに争(あらそ)いがある。聖徳太子の時代に制定された十七条憲法の一条に[以和為貴]という条文があるが、ルビがない時代に制定された憲法だから、今風に読めば、<和を以って尊(とおと)しと為(な)す>なのか<和を以って尊しと為せ>なのか? は分からない。まあ、私は前者の<和を以って尊しと為す>と解釈をしている。まさか和を尊ばれた太子のことだから、偉(えら)そうに、^^[為せ!]などとの令は発せられなかっただろう…と推測した次第だ。^^ 争いが世を平らかにしないことは明々白々で、たとえ争いに勝ったとしても、争い続けねばならないのは必然である。明るくするどころか、それは世を暗くさせるに違いない。世界は今、暗いでしょ!?^^
 とある道で小学生三人が迷子になり、その中の二人が口喧嘩(くちげんか)を始めた。
「君が大丈夫と言ったからこの道を来たんだろっ! 通行止めだよっ!」
「そりゃ、そう言ったけどさっ! 『大丈夫』とは言ってないよっ! 『大丈夫と思う』とは言ったけどさっ!」
「まあまあまあ、お二人さん! 今は争ってる場合じゃないよっ! 早く戻(もど)ろう! もう日暮れが近いんだからっ!」
「だねっ!」「うんっ!」
 三人が引き返そうとしたとき、一人が立ち止まった。
「待てよっ! よ~く考えたら、『そうだ、そうだっ! 絶対に間違いないっ!』って君が言ったんだよっ!」「そうそう!」
「… だとしても、今は争いをやめて早く戻るしかないだろっ!」
「まあ…」「そうだけど…」
 口喧嘩していた二人は渋々、納得して歩き出した。
 争いは気持を乱し、目的を忘れさせてしまう訳だ。こうなるのは、実に暗いから、争わず、明るい世界にしましょう。^^

                   完


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