あの人の性格は明るいとか暗いとか言う。勝手に決めないでもらいたい…などと、当の本人が聞けば愚痴るだろうが、得てしてこの手の話はヒソヒソと蔭(かげ)で囁(ささや)かれるのが相場だ。まあ、囁く人の性格も相当、暗いとは言えるのだが…。^^
とある超有名画家の絵画展が、とある会館を貸し切って開催されている。もちろん、館内は撮影禁止、私語禁止である。それでもヒソヒソ話を小声で囁く人達もいる。そこまでは係員も注意はしていない。
「さすがは重要無形文化財保持者の牛口唾液(うしぐちだえき)画伯の絵だけのことはありますな…」
「確かに…。どの絵にも時の流れが緩やかになるような味わいがあります…」
「ほう! <干し草>ですか…。この絵は素晴らしいっ!!」
「シィ~ッ! お声が…」
「いや、失礼しました。つい、興奮したもので…」
「しかし、おっしゃるとおり、どこか気分が明るくなる絵ですなぁ…」
「冬用の飼い葉ですか…」
「ですなぁ…」
「食い物がないと死にますからな…」
「ですなぁ…」
「それにしても、あの崩れそうな飼い葉の山の傾き加減がいい…」
「崩れそうでいて崩れない…」
「そのビミョ~~さが、なんともいいですな…」
「その下で、農夫が何やら食べておりますが…」
「崩れれば、どうなるんでしょ!?」
「さあ…」
「まあ、大丈夫なんでしょう。のんびりと食べておられますから…」
「画風が明るい絵ですなっ!」
「画家の性格が明るいんでしょう、きっと…」
「ですな…」
絵画は画家の性格が出やすい・・という結論が導ける。^^
完