お医者さんに『お亡(な)くなりになりました。午後十時二十分です…』などと腕を見ながら暗い顔で告げられれば、誰しも『ぅぅぅ…』気分になるに違いない。まさか、明るく、『ははは…ざまぁ~ねぇ~やっ!』とは、口が裂(さ)けても言わないだろう。思っていたとしてもっ! である。^^ 質(たち)の悪い場合は、遺産目当てを隠し、『父さんっ!』とか『お父さまっ!』といった具合に、よよと泣き崩れる方々のように思える。この場合は男女を問わずっ! である。心理面だけは『うちのカミさんがねぇ~』とか言っておられるコロンボ警部さん[Mr.Peter Michael Falk]でも分かるまい。^^
とある天界である。どこなのか? は、私にも分からない。^^ 雲の霞(かすみ)を食べ終えた神さまが二神、何やらお話をされている。少し覗(のぞ)いてみることにしよう。
「今、あそこで息を引き取られたあの方、もう少し長生きして欲しかったのですがねぇ~」
「ふ~む。六十五ですか…。どれどれ…。寿命は九十二と出ておるのですが…」
「最近の下界は、妙な病気が流行(はや)っておりますから…」
「コロナでしたかっ?」
「そう! コロナ、コロナっ!」
「寿命は私どもが決めた訳ですから仕方がないとしても、病気は原因を取り除けば、まだまだ生きられます」
「ですねぇ…。どうも、人は原因を多く作り過ぎたようです」
「文明の進め過ぎですかっ?」
「そうですっ! 科学、化学、一辺倒でしょう」
「このままでは地球が危ういっ!」
「仕方がありません…。地球史で見れば、人類も、そろそろ終焉(しゅうえん)のときですか?」
「自業自得(じごうじとく)っ! と言われております。恐竜の繁栄と滅亡…人類も同じ部類でしょう」
「お話が暗い暗いっ! 神さま、明るいお話はっ!?」
「明るいお話ですか? 明るいお話はお日さまとお話をすれば…」
「ですねっ!」
二神はスゥ~っと消え去り、お日さまのところへと向かった。
まっ、病気が蔓延(まんえん)し、寿命通り生きられない・・というのも、自業自得のようです。^^
完