(6)にタイトルで登場したショックの別話である。
心臓にショックを与える処置で助からない命が助かることがある。要するに、心臓が驚いてアタフタし、こりゃ、動かない訳にはいかんぞ…などと思うかどうかは別として、^^ 止まっていた心臓が、ふたたび動き出すというものだ。止まった心臓に電気ショックを与えた結果、ベッドサイドモニターの拍動音が、ピッ! ピッ! ピッ! と回復する場面を皆さんもドラマなんかでお目にかかられたことがお有りだろう。驚くことが効果を与える一例である。^^
とある総合病院である。患者である、とある有名人の記者会見が行われている。担当医師団と病院関係者が横一列に数人座り、前の机にはメディア用のマイクが数本、設置されている。
「誠に残念ではありますが、午後八時十一分、○□◎▽氏はお亡くなりになりました…」
会場に一瞬、沈鬱(ちんうつ)な空気が流れる。マイクの前の担当医が静かに頭を下げたときである。
「先生っ!!」
突如として会見場へ飛び込んできた一人の若い医師がいる。
「… どうしたんだっ!?」
会見場の人々は一斉にその若い医師を見た。
「心音がっ! 心音が戻りましたっ!! 奇跡ですっ!!」
「…」「…」「…」
横一列に座る人々は立場がなく、座ったままボォ~~っとショック状態に陥(おちい)った[立場がない⇔座る のダジャレです]。^^
完