暑い夏が今年もやってきた。年々、暑くなると感じるのは私だけではないだろう。とくに日中の熱波は肌を焦(こ)がし、焼き尽くすほど強烈になったのには驚く。
危険な熱波に外へは出られず、家内で身を潜(ひそ)めるお年寄り二人が将棋を指している。
「いやはや、近年の熱波には驚かされますな…大手っ!」
「うっ! …そう来ましたか。確かに近年の気候には、驚くことが多いですなっ! では、こう逃げてと…」
「そちらへ逃げますか…。うむ…。では、桂成りで…」
「それでいいんですか? では、こちらは詰めろの歩成りとっ!」
「う~むっ! その手は…」
「どうされました?」
「いや…。暑いですなっ!」
「いや、熱波は外です。ここはクーラーが効いて涼しいですぞ」
「はあ、まあ…。どうも、いけません。熱波にやられたようですな、ははは…」
詰めろの驚く手を指されたご隠居は、静かに持ち駒を盤上に置いて負けを認めた。
驚くような熱波に、人類は手も足も出ないようです。^^
完