水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

驚くユーモア短編集 (30)人類対地球

2023年12月22日 00時00分00秒 | #小説

 ここ最近の異常気象は人類の文明進歩によって齎(もたら)されたもの・・との説が有力になりつつある。人類は文明を進歩させることで自分達に都合のいい生存形態を様々と構築した。だが、その一方で、その都合のいい構築によって多くの生物が犠牲となり、絶滅種や絶滅危惧種が増加している事実は隠しようもない。人類も、人類以外の生物も、地球なくしては生存できないのだが、人類はその大事な地球を壊しつつある。他の生物も人類からその身を守らねばならず、地球軍の一員として人類と戦っている訳だ。その最前線にいる人類以外の生物の一つがここ最近、蔓延(まんえん)しているミクロ(微視的)世界に住む変異ウイルスなのである。変異ウイルスや人類が悪性新生物と呼んでいる細胞は、いわば地球軍から派遣された人類と戦う最前線の兵士なのだ。それに気づかないアホな人類は、驚くことに国の侵略戦争、防衛戦争とかなんとか、訳の分からない戦いを続けているのである。馬鹿でアホでマヌケで、もぉ~どうしようもない地球のゴキブリ的存在、それが人類なのだ。今や、人類対地球の戦いの時代だと断言していいだろう。
 西暦2180年、地球から人類が絶滅し、ようやく放射能に打ち勝つ微生物が驚くことに陸上を覆い始めていた。海の底でも熱水鉱床から派生した新生物が増えつつあった。人類が築いた文明は死に絶え、壊れ果てた大都市の残骸にも緑の芽生えが始まっていた。ただ一つ、地球上でホモ・サピエンスと呼ばれた生物は、一人として見ることが出来なかった。驚けない、当然の結果と言えた。
 こんな未来、嫌ですよね。^^

                   完


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