へんないきもの日記

今日も等身大で…生きてます😁

許す人~柚木麻子「さらさら流る」を読んで

2020-01-26 06:28:30 | 本・映画・音楽

【黒柚木?】
 「2020年は年間100冊の本を読む」
という目標を年頭に掲げた私(^_^)

 年間100冊だと最低でも月8冊、週2冊のペースだ。
そして今月7冊目となる本を昨日、読み終えた🎵⬅ペース的には順調だ(^ー^)💖


 さらさら流る
タイトルも装丁も...美しい(^ー^)💖

 だが、内容はリベンジポルノを扱っている。
そう、昔付き合っていた彼を通じて自分の裸の写真がSNS上に公開されるのだ。
当然、シェアを通じて拡散されていく...

 もし、自分の身に...身近な所で起こったら?
と思うとゾッとするような話...

 ゆえに、書評も柚木作品を愛する読者の間では、「黒柚木」と呼ばれている(^_^)
「黒柚木」の代表作がコチラ🎵

 確かに、重かったね~、この内容は...❗

 最初からアッコちゃんシリーズに馴染んでいた人(つまり、この私)は、ナイルパーチと出会って面喰らう。コレが同じ作者の作品なのか?と(^_^)





【キーワード:暗渠(あんきょ)】

 今回の作品のキーワードは、"暗渠"
読みにくい字だが、暗渠と書いて"あんきょ"と読む。

 私も初めて聞くコトバだけど、今住んでいる飯塚市にも暗渠はある。
つまり、暗渠とは、昔あった川を塞いで道路にしたもの。

 道路にしても、実際にその下には川は流れている。
飯塚市は、一級河川の遠賀川を主に、その支流が市内に張り巡らされている。
今は蓋をされてよくわからないが、昔の地図を見ると、実に川の多い街であるコトに気付く🎵


 この作品の舞台は東京~
東京は、その昔、徳川家康が江戸として開いた街だ。
その頃の東京は、湿地帯で多くの川が流れていた。

 どうにか人が住めるように整備し、治水対策を施し...
やがて1964年の東京オリンピックを前に多くの川は、蓋をされる。
なぜ、蓋をしたか?

 華やかなオリンピックの舞台となる、日本の首都がどぶ臭い川に囲まれていては見苦しいから...である(^_^)

 まさしく、臭いモノにフタ...
コレって、今の日本と同じじゃないか?
と、昨今の政府の有り様に苦笑する(^_^)


 あらゆる山積みの問題に蓋をして、世界に見せるための催事にむかって突き進む今の日本は、窓からこうして見える緑道によって川が暗渠化されたあの時代と対して変わっていない気がする。

 川を塞ぐ必要が、隠す必要があったのか?と、どうしても思ってしまう。

 たとえその時は淀んだ汚い水でも、心がけ次第で、時間はかかっても自然の持つ力がいつか浄化してくれたのではないだろうか。


 柚木さん自身が、作中で登場人物に語らせている...
ちなみに、爽やかなタイトル「さらさら流る」は、春の小川歌碑にある、「春の小川」の歌詞の一部である🎵

 春の小川は さらさら流る


【許す人】
 この作品のテーマそのものが重いだけに、黒柚木と呼ばれているけど...
私は、タイトルのような爽やかさ、というか問題に立ち向かおうとする"健全な"精神を感じた。

 いつもながら、彼女の作品には「生きる力」を感じさせられる(^ー^)💖
アッコちゃんシリーズのアッコちゃんが、そうであったように、彼女の作品には「男前な」女が登場する。

 今回の男前は、百合という主人公・菫(すみれ)の親友で名脇役である🎵
百合と菫...花々しい彼女たちの友情に、心が救われる(^ー^)💖

 併せて、問題は一人で抱え込むモノではない。
可視化するコトが大事である、と気付かされる。

 誰に相談するか?
というコトも重要である。

 以前の私なら、この物語の菫の職場の先輩女子と同じ態度をとったに違いない。

 それって、アナタにも汚点があったんじゃない?
少なくとも、裸の写真を...いくら好きで気心許した相手に対してだったとしても、撮らせるなんて、迂闊だったと思うよ、と(^_^)

 しかし、今の私なら、たぶん、こう言う。
辛かったね。相談してくれて有り難う。
コレからどうしていくか、一緒に考えようね、と。


 裸の写真が流出した...
猥褻画像流出...

 と聞いて顔をしかめる人...

 もし、目の前に当事者が居たら、以前の私なら顔をしかめていたと思う。
ナニか、汚いモノでも見るように。

 同時に、その人を、被害者とされる本人を責めていたであろう。
アンタも悪いんよ、と。


 しかし、世の中、気合いと本人の努力だけでは、どうにもならないコトもある...
それを知った今だからこそ、寄り添える私が居るのは確かだ。

 
 いつもながら、柚木作品を読んで思うのは、世の中の基準ってなんだろう?
スタンダードってナニ?果たしてそれは正しいの?

 というコトである。
世の中のモノサシの裏側で傷つき、泣いている"少数派"の人も居る、というコトを忘れてはならない。

 ナニより、リベンジポルノという衝撃的なテーマを扱いつつも、主人公の菫の「相手を許す」心に、それを支える百合の友情と菫の家族愛に救われた。


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