家庭連合解散命令請求裁判に提出した、私の陳述書をこのブログでもシェアします。
◆ はじめに
私は、世界平和統一家庭連合(以下「家庭連合」といいます。)の解散命令請求に反対して、令和4年から5年にかけて文部科学省宛に申入書を5通提出した弁護士(58期)です。
赤坂で10年前から中山国際法律事務所を経営しています。
家庭連合の解散命令その他の判断に供すべく、私がこの2年、家庭連合のアドバイザーとして見聞きしたこと等をお伝えします。
◆ 受任の経緯
私は、家庭連合はおろか特定宗教の信者でなく、家庭連合と関わりを持ったことはありませんでした。だいぶ昔の桜田淳子さんの件で話題になった団体という程度しか知りませんでした。
そんな私が2年前に家庭連合案件を引き受けた経緯を説明します。
1 きっかけ -世界本部から第三者的に
安倍元首相暗殺から1か月強経った令和4年8月末、日本の大手法律事務所の知人弁護士から、「なかなか引き受け手がいないのですが、今話題の旧統一教会関連の仕事ができますか…」と打診されました。
担当窓口は米国ワシントンにあるミラー&シャバリエという法律事務所で、日本の家庭連合ではなく、家庭連合の世界本部を第三者的・中立的な見地から代理するという話でした。
このとき、家庭連合の解散命令請求が話題になっており、とても評判の悪い団体だとは認識していました。
そのため、私が受任すると私の依頼者が離れ、私の事務所の売上が落ち、一生「統一教会の代理人」としてレッテルを貼られるなどのレピュテーションリスクはもちろん考えました。
より切実には、私が広めたいと思って頑張ってきた「インテグリティ」の研修依頼が今後は少なくなるかも…というデメリットは天秤にかけました。
インテグリティは、高潔さ・誠実さや「現実を直視する勇気(courage to meet the demands of reality)」と解されます。
5年ほど前から、私は企業にインテグリティを導入する仕事を得意にしてきました。企業不正から逃げずに立ち向かう風土改革をすることのサポートです。
令和3年に中央経済社から『インテグリティ』を出版し、第4刷まで重版を重ねています。
2 受任理由 -インテグリティ
批判の強いこの案件を引き受けた理由は、頼まれたら無下に断りたくないし、逃げるのはインテグリティに反するからです。
私が日頃から企業に「逃げずに不正に対して声を上げよう」と言っておきながら、私が家庭連合案件から逃げるのは言行不一致だと思いました。
私がロールモデルの一人とするガンディーなら引き受けるかなと考えたりもしました。彼なら逃げずに引き受けるだろうと思いました。
私は学生時代から漢籍等を多く読んでおり、孟子の「自ら反みて縮くんば千万人と雖も吾往かん」、内村鑑三の「勇ましく高尚なる生涯」などの考えが影響したのだと思います。
私はもともと、13歳で「千載青史に列せん」と喝破した頼山陽や「知己を千載に俟つ」と言った勝海舟に憧れ、「千年単位の長期的スパンで考える」ようにしていました。
「できるだけ多くの人をたくさん幸せにする」のが私の目標であり、そのために、現世で批判を浴びても、死後に勇ましく高尚な生涯を遺したいと思っていました。
そのため、この案件を受任する前、
- 自分は何のために弁護士になったんだ?
- 何のために生きているんだ?
- 批判を恐れて自分の名声を保つために生きているのか?
- 目の前に困っている人・団体がいるのに手を差し伸べないのか?
- 勇気はあるか?
の問いを自分にぶつけたとき、逃げるのはやはり私の信念に反すると思いました。
仮に過去に過ちがあったとしても、家庭連合が組織を改善したいならお手伝いをすべきと思いました。
また、私は当時(今もですが)、家庭連合が反社会的だとは認識していませんでした。
極悪人でも適正な手続に従い刑事裁判を受ける権利があるのと同様、どんな悪い団体でも適正な手続で解散を争う権利があります。社会にはドブがあり、誰かがドブさらいをするから人は社会生活を維持できます。
弁護士はドブさらいであり、それを誇り高く行う「誇り高きドブさらい」です。常々そう思っていたので、誰もやらないなら私がやろうという「乃公出でずんば」の男気を出したところもあります。
女郎に堕ちる娘も心配だが身投げする文七を放っておけない『文七元結』の長兵衛の気分に近いです。
後に、ミラー&シャバリエの弁護士から、この案件を打診した日本の事務所にはみんな断られ、私が47番目だと聞きました。
さらに、以下の3つの要素から、私にはリスクを取ることができました。
「リスクを取れる者がリスクを取らないと世の中は良くならない」と日頃から思っていたため、自分の信念に従い、思い切ってリスクを取りました。
① 英語が使える
『英語交渉術』という本を出すくらい自分の英語には自信がありますので、米国法律事務所とのコミュニケーションは得意とするところです。
② しがらみがない
私は事務所の経営者であるため、忖度せずに自由に選択できます。
③ 経済的な基盤がある
顧問先もそれなりの数がありましたし、インテグリティという独自のコンテンツがあるため、なんとか妻と子ども3人を食べさせていけて「死ぬことはないだろう」と思いました。
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以上の理由から、誰も引き受けないこの案件を引き受けました。その後2年、それなりにデメリットはありましたが、全く後悔していません。
世界本部や米国との連携等で、私の英語力等がお役に立てていると思っています。
今も誇り高く、家庭連合のために日々粉骨砕身しています。
続き(陳述書(2))