すごい本に出逢った。
『袴田事件を裁いた男 エリート裁判官・熊本典道の転落』
あの、袴田巖さんの事件。地裁判決の、右陪席裁判官。無罪だと思っていた。でも、多数決で、死刑判決を書く羽目に。
良心の呵責に苛まれ、すぐ裁判官を辞め、弁護士になり、酒に負け、離婚したり、生活保護を受けるくらいに、落ちぶれた。
袴田巖さんが、刑務所でクリスチャンになった。
その袴田が見る宗教世界を覗いてみようと、熊本元裁判官も、クリスチャンになった。
袴田君の心境に、少しでも近づきたい。
自分が死刑にした死刑囚がクリスチャンになったから、自分もクリスチャンに。
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死刑判決を書く前に、裁判官なのに、わざわざ拘置所に行って、死刑囚に話を聞きに行く。
法曹的には、考えられないほどの行動力。
良心が強すぎた、のでしょうか。
ゆえに北村晴男弁護士にも尊敬された。
袴田巖さんの、姉の、秀子さんも、素晴らしい。
報道写真とかで、90歳を超えても、矍鑠としていることは、知っていた。
それだけではない。
圧倒的な、徹底的な、地を震撼せしめるほどの、ポジティブ。
どうってことねーよ。
無罪なのに半世紀も拘留されている。
その可愛い弟の、巖に比べれば、ぜぇーんぶ、どうってことねーよ。
秀子さんに接した者は、みな、この「秀子ウィルス」に感染する。
秀子なくして巖なし。
袴田巌の勝利は、実姉・秀子の勝利でもあった。
「世界一の姉」という本も出ている。
間違いない。
秀子さんは世界一です。
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自分が最も嫌いな人の人権を守ってこそ、初めて権利を守るということになる。
それが裁判官の使命。
素晴らしい。
裁判官どころか、全法曹、そして全国民の使命ではないか。
この本からの他の学びは、別稿で。