(特訓で飛ぶようになったリーガル・ジャンピング・スパイダーの「キム」(The University of Manchester))
(研究チームは、「絶対に失敗しない」というキムの正確無比なジャンプにも驚いたという(Scientific Reports/The University of Manchester) )
🌸 スパイダーマンも真っ青!
(目標とする飛距離に応じて、脚や体の角度を変えているという(Scientific Reports/The University of Manchester) )
① ""「ジャンプ!」特訓で飛ぶようになったクモ…名前は「キム」(動画)""
2018年05月19日 06時00分
英国の研究チームは、体長15ミリの小さなクモを猛特訓した結果、体長の6倍を超える距離をジャンプさせることに成功したと発表した。どうしてクモ相手にそんな訓練を行ったのだろう?
今月8日、科学誌『サイエンティフィック・リポーツ』に掲載された論文によると、この風変わりな実験を行ったのは、マンチェスター大学で生体力学やロボット工学を研究するチームだ。
研究チームは、北米原産のハエトリグモの一種である「リーガル・ジャンピング・スパイダー」4匹を訓練し、最終的に「キム」という名前のメスをジャンプさせることに成功した。
フロリダ半島で一般的なこのクモは、5900種類以上の仲間がおり、その名のとおり、敵から逃れるときや獲物を捕獲する際に跳躍する習性がある。体の大きさは3〜10ミリ程度と小さいが、週に1度程度しか食事をしないため、犬のようにエサで訓練することは難しい。
チームを率いるムスタファ・ナバウィ博士によると、特訓ではクモを持ち上げて離れた台に移す動作を何度も繰り返すことで、キムだけは、人間のサポートなしに跳躍するようになった。
ハイスピードカメラでとらえたキムの15回のジャンプの記録を、高解像度のCTスキャナーで3Dモデルにした結果、ジャンプの瞬間、クモの脚には体重(150mg)の5倍相当の力がかかっていることがわかった。
さらにキムは飛び移る台までの距離に応じて、ジャンプの角度を調整し、短距離であれば水平に近く、長距離ならば放物線を描くように跳躍時の脚の位置を変えることで、余計なエネルギーをかけないようにしていることも明らかになった。
走り幅跳びのように助走と踏み切りがなくても、体長の6倍を超える飛距離を出せるのは、このクモならではの強靭な脚力のおかげだ。
「我々人間ならば静止状態からだと、せいぜい身長の1.5倍しかジャンプできません」と話すナバウィ博士は、クモのジャンプの生体力学を詳しく解明することで、敏捷な動きができるマイクロロボットの開発に応用したいと考えている。