◎◎ 【日本株週間展望】こう着、米感染者増で景気回復期待後退-短観も
牧綾香
2020年6月26日 16:43 JST
米国で新型コロナの感染者数急増、テキサス州は経済活動再開停止
日銀短観は大企業製造業DI悪化見通し、鉱工業生産は改善予想
◆◆ 7月1週(6月29日-7月3日)の日本株はこう着感が強くなりそうだ。米国で新型コロナウイルスの感染者数が再び増加し、第2波拡大による経済活動の鈍化に市場が警戒を強めている。他方、米中の6月経済指標が改善すれば相場を下支える。
■■ 米国で感染拡大の勢いが増している。新規感染者は25日に3万7000人を超え、約2カ月ぶりに過去最多を更新した。テキサス州が段階的な経済活動の再開を停止するなど、景気への影響に懸念が強まっている。ハイテク中心に好調な米国株に変化の兆しが見えれば、材料に乏しい日本株はこう着感が強まりそうだ。
◐◐ 7月2日には米国で6月のISM製造業景況指数(市場予想49)が発表される。5月には、新型コロナウイルスの影響で急速に悪化した製造業が安定化の流れを見せており、今回も継続するかが注目される。中国では30日に6月の製造業PMI(市場予想50.5)が発表になる。製造業の回復の遅さが意識されると、景気回復への期待が後退しかねない。
◐◐ 国内では、7月1日の日銀短観(6月調査)が注目される。大企業・製造業DIの市場予想はマイナス30と、前回3月調査のマイナス8から大幅悪化の見通し。
●● 30日には5月鉱工業生産指数(市場予想前月比5.7%減)が発表になる。4月は前月比9.8%減と、東日本大震災が発生した11年3月以来の落ち込みだった。6月4週のTOPIXは週間で0.3%安。
《市場関係者の見方》
¤¤¤ 大和総研経済調査部の小林俊介シニアエコノミスト
「方向感の出にくい相場となりそう。米財政政策の第2弾について、米議会休会前の来週中に新たな制度設計が出ないと時間切れリスクが意識され、相場の重しになる。6月の雇用者数が改善したとしても、一部の州で新型コロナの感染第2波が広がっており今後雇用への影響が懸念される。一方、来週は、6月末に期限を迎えるキャッシュレスポイント還元を意識した駆け込み需要が物色のテーマとなるかもしれない」
¤¤¤ さわかみ投信の草刈貴弘最高投資責任者(CIO)
「日本では金融緩和政策で流動性が過剰となるなか、株価の材料は乏しい。新型ウイルス感染者が増加してもマイナス材料にはなりにくい。一方で、23日に米中交渉打ち切り報道で見せたように、ニュースにインパクトがあれば乱高下しやすい。4-6月期決算の発表時期まではこうした状況が続く可能性が高い。
☆☆☆ 来週の日経平均の予想レンジは2万2000円ー2万3000円」