① ""ベスビオ噴火の犠牲者、死亡時の状況で新発見 ガラス化した脳も””
2020.01.25 Sat posted at 18:32 JST
3Dマップ化した犠牲者の遺骨の一部/Antiquity Publications Ltd
(CNN) 西暦79年8月24日、イタリアの火山ベスビオ山が噴火し、ポンペイをはじめとする周辺の古代都市を壊滅に追い込んだ。これらの町の1つ、ヘルクラネウムに残された犠牲者の遺骨を研究者らが新たな技術を駆使して分析し、死亡時の状況を明らかにした。
分析の対象となったのは、噴火の際に舟小屋へ逃げ込んだものの火砕流にのみ込まれて死亡した152人の遺骨。当初、これらの人々の皮膚や軟組織は300~500度に達したとみられる高温にさらされて蒸発し、即死状態だったと考えられていた。
ところが新技術によって遺骨を改めて調べたところ、予想されたほどの高温にはさらされていなかったことが判明。骨の中にコラーゲンが残っていたことから、人々を襲った高温は400度未満だったとの結論が出た。コラーゲンは温度が500度を超えるとゼリー状のゼラチンに変化する。
研究者らは舟小屋の中で死んだ人々について、一瞬で蒸発したのではなく、有毒な煙で息を詰まらせながら時間をかけて焼け死んだとの見解を示す。論文を執筆した英ティーズサイド大学のティム・トンプソン教授は、舟小屋の壁全体に熱が伝わり、生きながらオーブンで焼かれるような苦しみだっただろうと語った。
ヘルクラネウムの遺骨に関する別の研究では、犠牲者の頭蓋骨(ずがいこつ)を分析。脳の残留物が高温のためガラス化していることが新たに確認された。