「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

「Jerry'sギター」代表&編集長「MASH & ハードパンチ編集部」が贈る毎日更新の「痛快!WEB誌」

【新春特別企画】 Paul McCartney(ポール・マッカートニー)New Album 「McCartneyⅢ」を独自の角度から、大いに語る!(その2) 《 ハウリンメガネ編 》

2021-01-16 16:04:00 | 『ハウリンメガネ』コラム集

賀正!
ご機嫌よう読者諸賢、ハウリンメガネである。

いやぁ、年も明けてめでたいめでたい……
ともいってられん。
私の住む関西圏でも、
とうとう「再度の緊急事態宣言」がだされてしまった。

こっちを締め付けてくる癖に
自分は会食だのパーティーだのとやってる
そんなお歴々については、もはやなにを言おうが
「ヘソで茶が沸く噴飯もの」だが
「人のふり見て我がふり直せ」という言葉もある。

皆様、是非可能な限り外出は避けた上で
テイクアウトでも宅配でも、
落とせるところにお金を落として頂きたい!
(「手洗い&うがい」でウィルスも落とす事もお忘れなく!)

さて、昨日の編集長の(その1)コラム ↓ の通り、https://blog.goo.ne.jp/12mash/e/f33cf24c7a0f9303e374d25ff2cfd9a4

今日は満を持して(?)去年の暮に発売された
ポール師匠の最新作「マッカートニーⅢ」のレビュー、
《ハウリンメガネ編》である。

2018年の「エジプト・ステーション」
から2年ぶりに発表された今作は
2005年の「ケイオス&クリエイション・フロム・ザ・バックヤード」
以来、久々となるポール一人による多重録音
にて制作されたアルバムとなる。

「元祖マルチプレイヤー」であるポールが
ロックダウンの真っ只中、
一人で音と戯れながら作った今作。
その出来はといえば
「滋味かつ美味」の一言に尽きる。

大半をギターやピアノの弾き語りから発展
させたとのことで、全編通して曲の構造はシンプルだが、
アレンジがとても丁寧。
ハーモニーのつけかた、
各楽器の出入りするタイミング、
エフェクトの効かせ方、
そして曲に応じたキャラクターをきっちり使い分ける歌い方!

(正直2018年の来日公演で声が辛そうだったポールを見た身としてはどうなるかとおもっていたが、いやはやこの人は78歳という年齢でこそ出せる「いい声の出し方」を手に入れたのだ。脱帽!)

ケルティックなアコギのフレーズから始まり、
ミニマルな言葉の繰り返しが癖になる
A1「ロング・テイルド・ウィンター・バード」

軽やかでのびのびとした歌声とギターのハーモニーが美しい
A2「ファインド・マイ・ウェイ」

80年代のポールを想起させる
誰かを励ますようなメロディと歌の
A3「プリティ・ボーイ」

哀切な響きのピアノがこれまた美しい
A4「ウーマン・アンド・ワイヴス」

ジャック・ホワイトが喜びそうな
シンプルかつ旨みの詰まった小粋なロックナンバー
A5「ラヴァトリー・リル」

重心の低い図太いドラムにポールの多重コーラスが絡み
「ホントに一人でコレをやってるの?」
と思いたくもなる・・・そんなヘヴィ・ナンバー
A6「スライディン」
(空間を活かしたギターソロもgood!)

盤を返して、
妖しいオープニングから深く静かなピアノのループで
陶酔の世界へ導かれるサイケデリックナンバー
B1「ディープ・ディープ・フィーリング」
(やはり「ディープ」というのはサイケのキーワードなのかしらん?(今月の対談 ↓ を参照))

https://blog.goo.ne.jp/12mash/c/f4bb70881178099efe2e09df9fa43374

アコギ一本をバックにして
ポールのファルセットとリリカルなメロディが美しい
B2「ザ・キス・オブ・ヴィーナス」
(途中で鳴ってるのはチェンバロか?)

イントロの下降メロディに耳を掴まれるも、
すぐ次の展開に進んでしまい、
イントロが聴きたいから針を上げ下げしてしまう
そんなマジックに引っかかってしまう(笑)
B3「シーズ・ザ・デイ」

ポール流近代アーバンソウルの
B4「ディープ・ダウン」
(ここでのポールの振り絞るようなシャウトに彼が刻んできた年輪の重みを感じるのは私だけか?)

そしてB5「ウィンター・バード/ウェン・ウィンター・カムズ」。
タイトルでお分かりの通り、A1のリプリーズから始まり、
アコギだけで弾き語られる、
ポールのアコースティック作品らしい朴訥とした小曲
(最後をリプリーズで〆るところが心憎い(笑)!)。

以上、全11曲。通しで聴くと
まさに「今の」ポールにしか作れない渋みと
ポップネスに溢れた傑作でありました
(特にハーモニーについては「やはりこの人は天才」としかいいようがない。使うべき楽器、重ねるべき音の選び方が素晴らしい)。

「渋い」アルバムを目指したのではなく、
年齢と共に積み重ねた経験が
結果的に「ポール独自の渋み」につながった、
そんな稀有な作品でありましょう
(この辺り、ボブとの違いを考えてみても面白い)。

まだまだ発売から日も経っていないので
どのサイトでも簡単に手に入るはず!
ロックダウンというキツい状況を
見事に創作期間に転換したこの作品。

聴いたら、あなたも何かをやりたくなるかもよ?

ハウリンメガネでした!

《 ハウリンメガネ 筆 》

https://hardp.crayonsite.com/