イ。「イ」かぁ。
あの曲はいつもの路線になるし、
あの曲はベタネタだし、
はてさてどうしようかな、
とレコード棚を漁る私……
「おっ!いい盤発見!」
というわけで名曲しりとり、
今回は「イ」。
私の回答はこちら!
『インターナショナリスツ』 (スタイル・カウンシル)
「ロンドン・パンク」シーンの末期に登場し、
そのモッドな出で立ちと、
ストイックなサウンドで人気をかっさらった
そう、ザ・ジャムのフロントマン「ポール・ウェラー」。
彼がジャムの活動で得たその立場をかなぐり捨て、
ブラックミュージックへの敬愛を剥き出しに音楽をやる為に、
鍵盤弾きのミック・タルボットと二人で結成したのが
このスタイル・カウンシルであることは皆様ご存知の通り。
そんな彼らの大ヒット2ndアルバム
「アワ・フェイバリット・ショップ」
収録の当トラックはポップス、
ブルーアイドソウル寄りのスタカン
(スカタンって空見したらダメよ) の曲の中では
割とジャムに近いファストチューンなれど、
スタカンはスタカンでありジャムではない事を示した好トラック。
性急に刻まれる圧の強いリズムに
控えめなミックスだがキレのあるホーンが絡みつく!
パンキッシュかつ、モッドなビートの中で鳴らされる
そんなポール・ウェラーのギターは
ジャム時代とはうって変わってジミヘン、
ファンカデリックを彷彿とさせる
ワウの効いたファンキーな粘りのあるカッティング!
(ミック・タルボットのオルガンソロもクール!)
これらとウェラーのまくしたてるようなボーカルが
絶妙に絡み合いながら突っ走る様は
ジャムとは一味二味違う、
クールネスを伴ったダンディな疾走感に溢れている
(この人はジャム時代からカッティング上手いよなぁ。いいギタリストはカッティングが上手い、とは筆者の定説であります)。
とまあ、
この名曲しりとりで取り上げるに値する一曲ではあるのですが、
なぜ筆者が今回これを取り上げたのか。
冒頭の写真を今一度ご覧頂きたい。
「あれ?このジャケ、アワ・フェイバリット・ショップじゃなくない?」
と思った貴方、正解!
実はこの写真の盤、
「アワ・フェイバリット・ショップ」のUS盤なのだが、
そのものズバリ「インターナショナリスツ」
というタイトルに改題されている、
というか元アルバムのタイトルトラックである.
「アワ・フェイバリット・ショップ」をオミット(なんで!?)し、
トラックの順序も変更し、
タイトルトラックまで変更されたという曰く付きのアルバム、
かつタイトル・トラックなのであります。
こういうことをうちの編集長に言うと
「ビートルズのUS盤と同じだね!」
(ビートルズのUS盤も「サージェント〜」までのアルバムは全てUS独自(レコード会社の勝手ともいう)の編集が入っていた)
とニコニコしながらビートルズとUS音楽ビジネス
についての話に流れ込むのが常だが、
ポール・ウェラーもビートルマニアなので、
もしかしてビートルズのUS盤と同じような状態になるよう狙ったのかも……?
と考えるのもまた一興。
こういう曰く付きの曲を見つけられるのも、
またアナログの面白さに他ならん。
是非店頭で見かけたら「これかぁ」と手にとってみて頂きたい、
というか買え!聴け!いい盤なんだから!
というわけで、次は「ツ」!
「ツ」です!編集長!
もう頭の中では
「あれか?これか?」と
私(わたくし)予想が始まっていますが、
さあどう出る?
乞うご期待!
《「ハウリンメガネ」 筆 》