「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

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ハウリンメガネ特別寄稿!「キング・クリムゾン大阪公演 2 Days」を、渾身の突撃ライブ・レポート!

2021-12-11 15:30:02 | 「ハウリンメガネ」の「ヴァイナル中毒」&more

読者諸賢、御機嫌よう。
ハウリンメガネである。
本来なら今回は大好評連載中である
「スーパーギタリスト列伝」
の予定だったが、急遽変更である。

そりゃそうだろ、今書かんでいつ書く?
新型コロナの再蔓延防止で入国停止する直前、
滑り込みの来日で実現したクリムゾン来日公演。
というわけで今回はキング・クリムゾン来日ツアー2021
「ミュージック・イズ・アワ・フレンド」
大阪公演2日間のレポートをお届けする。

(ギタリスト列伝を楽しみにしてくださった方、次回書くのでご容赦の程を)

【12/2(木)大阪公演1日目】
開場時刻の17:30、大阪フェスティバルホールに到着(大阪駅から徒歩10分程度)。
物販を覗くが平日にも関わらず中々の列。
帰りに買うかぁ、と、そのまま会場内へ。
ビュッフェコーナーはコロナ対策で閉められており、
飲み物の自販機もソフトドリンクのみだが、
クリムゾンは素面で観たいバンドなので問題なし。

会場では撮影、録音の徹底禁止などの注意事項のアナウンスが定期的に流れる。
「全ての演奏が終わった後、ベーシストのトニー・レヴィンがカメラを持った時のみ撮影が可能となります」
のアナウンスにニヤリとしてしまう私。

前回、ステージ前方より後ろの方が観やすいことが分かっていた為、
今回もド真ん前のSS席ではなくS席を指定。
ありがたいことに今日はちょうどホールの真ん中辺りだ。
先生のサウンドスケープが流れる中、
サウンドクルーがステージ上で機材の最終チェック中。
フロントに3台のドラムが並ぶ様は相変わらず圧巻。

左端、メルの立ち位置には音の被りを防ぐための
ウインドスクリーンが張り巡らされている
(なんかデカいボールみたいなものが見えたがそれもウインドスクリーンと後で判明)。
その横にはトニーのEBU(エレクトリック・アップライト・ベース)が。
ジャッコのスペースにはトレードマークとなった
「宮殿」の顔がペイントされたPRS
(後ろにサブと思わしきギブソンES-150の姿も)。

そして右端、フリップ先生の位置には
いつものルナモジュール(機材ラック)と
ゴテゴテに改造されたゴールドトップレスポールシェイプ!
(日本フェルナンデス製!)
そしてバックライン全員のスペースにキーボードが配置。

(ビル・リーフリン氏の穴を全員でフォローするためと思われる。亡くなられたのがつくづく残念でならない)

ステージに並んだ機材を眺めてワクワクしていると、1
8:30ほぼジャスト、二人のスタッフがステージに登場。
向い合せにお辞儀しあってから観客へ一礼し、ステージ上の注意事項看板を撤去。
フリップ先生とメンバーの録音前説が流れだし、早くも会場には拍手が!

(私の英語能力がプアなのであまり聞き取れなかったが、アナウンスでの注意事項の繰り返しと「今日の演奏を楽しんでね」という内容だったはず。途中々々入る、先生達の気の抜けた「イェーィ!」という掛け声にモンティパイソン風味を感じたのは私だけ?)。

歓迎の拍手が鳴り響く中、遂にメンバーがステージへ登場!
そして、一気に激しさを増す拍手!フリップ先生の登場だ!
(勿論私もメッチャ叩きました)

揃い踏みで会場内を眺める7人。


ステージ後方、左から右へ
メル・コリンズ(sax, flute)
トニー・レヴィン(b, eub, stick)
ジャッコ・ジャクジク(g, vo)
ロバート・フリップ(g, key)

ステージ前方、左から右へ
パット・マステロット(dr)
ジェレミー・ステイシー(dr, key)
ギャヴィン・ハリソン(dr)

最新型キング・クリムゾン in 大阪!

拍手が止み、メンバーが楽器を手に取る中始まったオープニングは
フロント3人のドラムのみによる「Devil Dogs of Tessellation Row」。
寸分違わぬコンビネーションで打ち鳴らされるフィルの繰り返しが
観客の熱を煽るのが分かる。

(ドラムトリオのコンビネーションが前回より増している。前回は「分担」だったコンビネーションが「一体化」に変わっている。個人的にドラムトリオのみのこの楽曲、かなりツボ。ドラムだけなのにメロディが聴こえてくるのだ。普段は意識しないがドラムにも音程(周波数)が存在するし、クリムゾンはドラムの音程を活かしてきたバンドである(特にビル・ブルーフォード在籍期)。ドラムトリオの面白さを活かすイイ楽曲なのだが、どうも世間ではあまり興味が持たれない様子なのが歯がゆい)。

ここで先生に目をやると、スタッフと話している。
トラブルでも起きているのか?

EBUのボウイングでトニーがヘヴィな音を轟かせ、
演奏は「Pictures of a City」に突入!
この曲、こんなに荒々しかったか?
「レッド」や「21世紀~」と並んでも全く遜色のない
そんなインタープレイの応酬じゃないか!
この時点で気づいたが、今日の主役はフロントのドラム3人とトニー。
特にトニーの迫力が凄まじい。

彼の

「おそらくこれがキングクリムゾンとしての最後の来日公演になる(12/9に「これがクリムゾンの最後のコンサートツアーになる可能性が高い」との発言もあり)」

という言葉は本気だ。

彼は最後のつもりでプレイしてくれている。
5弦スティングレイ、スティック、EUBを駆使してバンドをドライヴさせていく。

早くも3曲目に私の好きな「The ConstruKction of Light」!
……なんかジャッコのギターも先生のギターも音量が小さい?
やはりさっき先生がスタッフと話していたのは何かトラブっていたことの表れか。
とはいえ演奏自体はグッド!
トニーのスティック捌きもトレイ・ガンのオリジナルの上を行くパワープレイ!
大股開きでスティックをプレイするトニーは最高にカッコいい!

(そういえばこの曲の入っているアルバム「The ConstruKction of Light」。オリジナルではVドラムだった音源をパット自身が新録した生ドラムに差し替えた「The ReConstruKction of Light」というアルバムが出ているが、こっちの方が数段良くなっている。聴いたことのない方は是非。)

続けて早々に披露されたのは「The Court of the Crimson King」。
ジェレミーが鍵盤にシフトし、先生と2人で原曲のメロトロンを再現。
先生もギターはほぼジャッコに任せ、大半は鍵盤に集中。

(ジェレミーはドラム3割、鍵盤7割で担当している感じ。リーフリン氏の不在がこの辺りに影響しているのだろう。なお、最後半では先生、山下洋輔ばりにヒジで鍵盤を連打!そしてニヤリと笑う!)

「Neurotica」はもはや現編成の為の楽曲へと進化。
トリプルドラムがそれぞれ違う拍でリズムを刻み、
それが交差したブレイクの瞬間はゾクッとくる。
加えてブリューと異なるジャッコのボーカルスタイルが
この曲に新たな魅力を付与しているのは間違いない。

「Discipline」ではアウトロのフレーズが少しだけ変わって、
原曲よりもリリカルなハーモニーに変化。
やはり今のクリムゾンは即興性を強く意識している?

「Larks Tongues in Aspic Part.1」ではトニーがジョン・ウェットンとタメを張る
ハードなプレイで魅せる!(ピッキングも力強い!)
だがギターの音が弱い!やっぱりなんかトラブってるのか?

前半終了。15分の休憩へ。
急いで小用を足し、喫煙所で一服。

圧倒された気分のまま先程までの光景を反芻してみる。
どの曲もインタープレイが激しすぎる!
ドラム3人のコンビネーションに目を取られていると
不意に管楽器のようなフレーズが耳に飛び込み、慌ててメルを見る。
ところがメルは吹いておらず、ステージを見回せば
先生がホーンライクな音でギターを弾いているのに気づく。
そのまま先生を見ていたら今度は本当にメルが吹いており、
そこから右に目をやればトニーとジャッコが鬼気迫るプレイをしており、
そちらに集中していると今度はまたドラムのフレーズが複雑に変化を……
これはもはやジャズ!

全曲それなので、前半終了時点で早くも頭が混沌としているのが自覚できる
(混沌こそ我が墓碑銘……おお!エピタフ!)。
思えば前回は初めてフリップ先生を観られることに興奮しすぎて
頭からケツまで先生を集中的にウォッチしていたが、
なるほど、改めて「今のキング・クリムゾンを観る」
とこういう状態に陥るのか……面白すぎる!

そそくさと席に戻るとすぐに前半同様、
スタッフがしっかりとお辞儀をし、看板を撤収していく。
(微笑みながらお辞儀をするスタッフを観るとこちらも心が和むから不思議だ)

後半戦もドラムのみの「Drumzilla」から開始……
直後に「Epitaph」!
先生の哀愁漂うロングトーンのギターが泣ける。
しかしジャッコの歌はグレッグ・レイク期の曲が一番合うなぁ。
21st Century Schizoid Bandに誘われた理由もよく分かるわ。

そして……前回は聴けなかった「Red」!
「Epitaph」の後に来る「Red」は緩急が凄い!
原曲より少しだけリズムにタメの効いたアレンジは
ヌーヴォ・メタル期を経た今のクリムゾンならでは。

トニーのEBUによるベースソロを挟み、
現編成でのオリジナル曲の一つである「Radical Action II」、
Larksシリーズの現時点での最終章である
「Larks Tongues in Aspic Part.5 (Level Five)」と続き、
本編最後は「Starless」。
やはりこの曲はメルのサックスが主役と言ってよい。

スタンディングオベーションが鳴り止まぬ中、
メンバーが袖に引っ込み、拍手がアンコールを求めるリズムへ変わっていく。

「Starless」がきたということはアンコールはやはり……この曲でしょう!
「21st Century Schizoid Man」!
生であのリフが始まるだけで筆者のテンションもMaxへ!
だが、現在のこの曲の目玉は後半に設けられたギャヴィンのドラムソロ!
長い腕をムチのように撓らせてバディ・リッチの如く叩く叩く!
(ここで気づいたがギャヴィンはノッてくると左脚を持ち上げるクセがあるようだ)
ドラムソロ中、他のメンバー全員が「やったれやったれ!」という顔で
ギャヴィンを見つめ、ソロ終わりにビシッと合奏に戻る瞬間はもう神業である。
(そういえばパットがソロ終わりに聴衆に拍手を促してた。いい人だなぁ)。

全演奏が終わり、再びのスタンディングオベーションの中、
トニーがカメラを取り出す。みんな大好き撮影タイムだ(笑)。
先生もカメラを取り出して観客席を撮影。
最後までステージに残り観客を見つめていたのが印象的。

ほぼ21時ぴったりに1日目終了。セットリストは以下。

【前半】
1. Devil Dogs of Tessellation Row
2. Pictures of a City
3. The ConstruKction of Light
4. The Court of the Crimson King
5. Neurotica
6. Larks Tongues in Aspic Part.2
7. Peace
8. Discipline
9. Indiscipline
10. Islands
11. Larks Tongues in Aspic, Part.1
【後半】
12. Drumzilla
13. Epitaph
14. Red
15. Tony’s Cadenza
16. Radical Action II
17. Larks Tongues in Aspic Part.5 (Level Five)
18. Starless
【アンコール】
19. 21st Century Schizoid Man

興奮と凄まじい物を見せられた疲労感でクラクラしながらエントランスへ。
物販を覗くとこれまた長蛇の列。
明日は早めに来て物販に並ぼうと決め、帰途へ。
忘れないうちに、と電車の中で感想をメモするがプレイの印象が凄まじすぎて
曲順も、どの曲でのプレイだったかもかなり混濁していることに気づく。
おお……エピタフ……
帰宅後、友人Aからtel。興奮が冷めず今日の感想をまくし立ててしまったが、
おかげで頭を整理できた(A、ありがとう)。

1日目に気づいたことを列挙する。

・前回の来日に比べて全ての曲でアグレッシヴさが増してる。
前回がディシプリン期的な演奏だったとすれば今回はラークス期の趣きだ。

・ドラムスが左からパット、ジェレミー、ギャヴィンの順なのは
ジェレミーが鍵盤を弾く兼任しているからだと思われる。
左端(パット)と右端(ギャヴィン)からなら一直線上に他のドラムが見えるが、
真ん中だと左右に首を振らなきゃならない。理に適っている。

・前回はパットがパーカッション、ジェレミーとギャヴィンがドラム、
と役割を分担をしているように見えたが、今回は3人で1台の超大型ドラムセットを
プレイしているような印象。
もちろんパットはパーカッションを多用するし、ジェレミーは鍵盤と兼務だが、
3人の一体感が段違いに聴こえた。

・先生のギターサウンドはもはやチェロや管楽器の領域
(ギターシンセの使用とは無関係に)。
アタックレスなディストーションギターはたまにメルの音と聴き違えるほど。

・メルが疲れているように見えたのが気になる
(プレイもキレが悪かったような……)。

・音量バランスがとれてない?初日だったせいか?

あーでもないこーでもないと頭に感想が浮かんでは消え、次の感想へ連鎖し、
「あれがこうでこれがあーなって……明日はどうなるんだろ……なに演奏するんだ
ろう……」
と寝ようとしては書き、寝ようとしては書きを繰り返すうちに就寝。

【12/3(金)大阪公演2日目】
午前中に地震発生。
「先生方は大丈夫か!?」と思い
地震情報を確認するも被害は発生していないようで一安心。
昨日の反省をふまえ、16時に会場へ。
物販コーナーへ行くと流石に早すぎたか昨日とは逆にスカスカ。
ほぼ待ち時間なくすんなりと買えてしまい拍子抜け。
近くの喫茶店でパンフを眺めながら開場を待つ。

今のクリムゾンはオーケストラ向けのコンサートホールを主軸にツアーをしている
ようだが、今のクリムゾンほどコンサートホールの似合うバンドも居るまいて。
コーヒーをたらふく飲んでしまった為、膀胱に若干の不安を抱えつつ入場。
今日はステージに対し真ん中左側の席。パット・マステロットがよく見える席だ。

今日も万雷の拍手の中、メンバー登場。
昨日同様、ドラムス3人による「Hell Hounds of Krim」からスタート。
あっ!3人ともスティックを2本ずつ持ってる(片手に2本ずつで計4本)!ボンゾ!
でもボンゾは1人でfour sticksだから×3でtwelve sticks!なんちゅうド迫力!

そのままドラムが主役の「Neurotica」へ……
おやっ?昨日より音がいいぞ?
やはり昨日は大阪初日だった為、音響が調整しきれなかったのだな。
昨日は昨日でトニーの荒ぶるベースサウンドを堪能できたが、
今日はいいバランスのクリムゾンを楽しめるわけだ。いいぞ!

そして今日はパットがキレッキレ!
ドラムの打撃音がバチコーン!バチコーン!
と会場を揺らすよう!

そしてパットが絶好調のまま、うぉっ!いきなり「Red」だ!
今日のパットとギャヴィンのコンビネーションは抜群!
ギャヴィンがしなる西洋ムチならパットは中国の鞭(ベン)。
ギャヴィンが身体をしならせて叩くのに対し、
パットは身体をぶつけるように叩く。
瞬間のインパクトが強い音でギャヴィンの流麗なドラムに句読点をつけていく!

昨日と逆に今度は「Red」の後に「Epitaph」。
そしてその流れから「Pictures of a City」!
やっぱり1日目より音のバランスがよくなってる!
そしてメルが調子を取り戻している!
「Indiscipline」ではオリジナルで最後に「I Like This!」とシャウトする部分で
ジャッコが「イイネ!」とシャウト!
どうやら「I Like This!」を現地の言葉に変えるのが今のアレンジらしいが、
昨日はシャウト自体を忘れていた模様(笑)。
ジョン・ウェットンが日本でのプレイ時
「キミタチサイコーダヨ!」とMCしていたという逸話を思い出す。

続く「Islands」の美しさについてはもう語る必要もないし、
ジャッコのボーカルがマッチするのも当然……
それより気になってしまったのが曲頭でのトニー。
昨日もそうだったが、ベースの入らないパートに入るとトニーは所在なさげに肩を
すぼめて椅子に座るのだが……
そのしょんぼり感が「Islands」の寂しさと妙に相まってしまい……
何だかキュート(笑)。

そんなこと言ってる場合じゃない!
次は「One More Red Nightmare」だ!
まさかこの曲を生で聴くことができるとは!
キーが合わないのかジャッコの声が若干苦しげだが、演奏はバッチリ!
トニーもさっきのしょんぼり感はどこへやら
グイグイと攻めるベースラインで観客を圧倒!
そしてトニーのEUBソロを挟み、昨日は演奏されなかった1st屈指の名曲
「Moonchild」
(公式セットリストでは昨日のリストにも曲名が載っていたが時間の都合か省略されていた)。
その美しいアウトロに会場が静まる中、聞き覚えのあるSEが流れ出す。
あれ?このSEは……「21st Century Schizoid Man」!
これまでの公演ではアンコールに持ってこられていた「21st〜」が
まさかの前半に登場!
そして昨日よりも明らかに高いバンドのテンションに観客もヒートアップ!
パーフェクトと言ってもいい演奏で前半戦終了!15分休憩へ突入。

喫煙所へ移動。いつのまにか雨が降っている。
煙草に火をつけながら

(まさか21st〜を本編に持ってくるか……でもあのテンションで21st〜を演奏するなら確かに前半に持ってきたほうがいい。さすがフリップ先生、考えてはるわぁ)
と独りごちる。

観客の興奮冷めやらぬ中、昨日同様「Drumzilla」で後半戦開始。
パットがキレているとドラム全体が締まる。
「Discipline」も今日はギターのバランスばっちり。
ただ、今日は原曲通りのアウトロ。前日の最後のアレンジ好きだったんだけどな。
同じ曲でもフレーズが変化しているあたり、
今のクリムゾンが即興性に軸を置いてることを確信。

「Larks Tongues in Aspic Part.2」
から
「The Court of the Crimson King」へ。
コーダではリリカルな鍵盤に乗せてアヒルの鳴き声のような音が……
お茶目な人たちだなぁ(笑)。
昨日同様に「Radical Action II」、
「Larks Tongues in Aspic Part.5 (Level Five)」へ続き、本編が終了。

アンコールは「Starless」。
メルのサックスが美しい。
(メルはソプラノ〜バリトンの各種サックスとフルートを次々持ち替えてすべての曲に華をそえていたことを付記しておく。現ラインナップの最重要パートといってもよい)

全ての演奏が終了。
観客総立ちで拍手の嵐。
今日の演奏は本当に素晴らしかった!
メンバーも笑顔が溢れている。
拍手が続く中メンバーが順次退場。
最後に残ったフリップ先生の一礼に会場も全力で拍手。
コロナ対策で整理退場が行われる中、
早くもステージでは撤収作業が開始。
凄まじい速度でテキパキとなされる搬出作業。
クリムゾンはスタッフもやはりプロ。素晴らしい。

昨日同様、21時ほぼちょうどに終了。
セットリストは以下。

【前半】
1. Hell Hounds of Krim
2. Neurotica
3. Red
4. Epitaph
5. Pictures of a City
6. Indiscipline
7. Islands
8. One More Red Nightmare
9. Tony’s Cadenza
10. Moonchild
11. 21st Century Schizoid Man
【後半】
12. Drumzilla
13. Discipline
14. Larks Tongues in Aspic Part.2
15. The Court of the Crimson King
16. Radical Action II
17. Larks Tongues in Aspic Part.5 (Level Five)
【アンコール】
18. Starless

外へ出ると雨は止んでおり、空気が澄んでいる。
大阪駅へと歩きながら昨日今日の公演のことを考える。

昨日の時点でインタープレイの様はまるでジャズだと思ったが、
いやいや、それでは言葉が足りない。
キング・クリムゾンはジャズであり、シンフォニーであり、
ニューウェーヴであり、ヌーヴォ・メタルであり、ロックだ。
しかもそれはジャンルを跨ぐ、という意味ではない。
それらの本質を噛み砕き、飲み下し、自らの血肉へと変え、
全てを「キング・クリムゾン」として表現した結果だ。
これを「プログレッシヴ」と呼ばずなんと呼ぶ?
キング・クリムゾン=プログレッシヴ・ロックだ。
誰が何を言おうとも。

私はこれが最後の来日公演だと思って観た。
一音も聴き逃すまいと全力で観た。
きっと他の人たちもそうだっただろう。
そしてキング・クリムゾンはそれに全力で応えてくれた。
先生、トニー、メルはもう70半ば。
加入当初40代だったパットだってもう60の半ば
(ジャッコも60は超えている)。
一番若いギャヴィンとジェレミーだってあと2、3年で60になるはずだ。
これでキング・クリムゾンの歴史に幕を下ろすとしても誰も文句は言えまい。

あれも聴けた、これも聴けた。
だがそれより何より彼らの素晴らしい演奏を聴くことができた、
観ることができた。
これ以上を望むのは贅沢というやつだ。

……でも先生?私はいつだってお待ちしますぜ?

これまでのように
「さあ、再びクリムゾンを始めよう」
と言ってくださったら喜び勇んで観に行きますぜ?
(何ならソロで来てくださってもいいんですぜ?)

いつまででもお待ち申し上げます。フリップ先生。
そしてパット、ジェレミー、ギャヴィン、メル、トニー、ジャッコ!
お元気で!ありがとうございました!

《 ハウリンメガネ筆 》