今日から急に始まった新連載。「僕が夜な夜な聞きたい」そんな『ロック・アルバム』を1枚選び、皆様にご紹介する「アルバムレビュー」のコーナーです!昨日も僕が登場する編集長との『テニス対決』記事がご好評と聞く中、早速第1回目のスタートです!(「テニス対決」記事はコチラをどうぞ!→)https://blog.goo.ne.jp/12mash/c/a83d7306fe4bed1fc76e217ae5358988
いわゆる1960年代イギリスにおける「ブリティッシュ・ビート」と呼ばれる音楽が好きな僕。「えっ何それ?」と思われる読者様のために簡単にご説明致しましょう。
1960年代当時のイギリス、ロック・ミュージックにおいては人気もマーケットもアメリカには遠く及ばず!とにかくアメリカからすれば「イギリスみたいなダサい国のロックなんて聞けるかよ!」と言う感じだったのでしょうが(たぶん)、そんなイギリスから突如、ビートルズという圧倒的なカリスマ性を持った4人組が登場したのです。その余りに魅力と革新的なサウンドは、あっという間にアメリカを始め世界中の音楽の歴史を変えてしまったのですが、そんなビートルズの「後に続け!」と言わんばかりに、当時のイギリスでは様々なロックバンドがデビューし、海を渡ってアメリカへ進出していったのです。これには、「第二のビートルズを発掘しよう」というビジネス的な側面もあったわけですが、後にメディアではこの一連の流れを「第一次ブリティッシュ・インヴェイジョン」と呼ぶようになります。
「ここはテストに出るのでよく覚えておくように!」と先生が言ったか言わないか・・・それはさて置き、「えっ第一次ってことは第二次もあったの?」と思った読者諸君は実にお目が高い!しかしその話はまた次の機会にいたしましょう。今回は60年代に注目して書き進めたいと思います。
さて、この「ブリティッシュ・ビート」というのは、前述どおり60年代イギリスにデビューしたロックバンドやその音楽の事を指すのですが、当時はその他にも、ビートルズの故郷から「リバプールサウンド」と呼ばれたり、その都市を流れる川の名前から「マージ―ビート」と呼ばれたりもしておりました。ただ、ここにロンドンのグループまで入っていたり・・・と「かなりいい加減」であり、やはり「ブリティッシュ・ビート」と呼ぶのが適切でしょう。
代表的なバンドを挙げると、ハーマンズ・ハ―ミッツ、デイヴクラークファイヴ、ホリーズ、サーチャーズ、マンフレッドマン辺りが有名どころでしょう。ローリング・ストーンズ、キンクス、ザ・フ―、アニマルズ、ヤードバーズも同じ時代にデビューしており、当時は彼らも含め「ブリティッシュ・ビートグループ」と呼ばれたものですが、ご存知のとおり彼らは1970年代以降も活躍をしており、もはや「ブリティッシュ・ビート」のジャンルを超えていると判断されている為、この呼び名は当てはまらない・・・というのが世界の共通認識となっております。
とにかく当時ビートルズの影響力は圧倒的で、何をしてもビートルズの二番煎じと言われる中、いかに「違うことをしてオリジナリティを出すか」と言う事に対し当時のミュージシャン達はしのぎを削っていたわけです。とは言え今聞き直してみても、多くは「二番煎じ」感が否めません。ただ、そんなロック激動の時代の中で、夢を抱き、ささやかなヒットを飛ばしては時代の波に流され、散っていった数々のロックバンド達。もう亡くなっている人もいれば、引退してどこで何をしているかもわからない面々・・・彼らを思うと聞かずにはいられない僕なのです。
そんな思いから一度レコードに針を落としてみるのはいかがでしょうか?たったそれだけで一瞬にして、60年以上の時を超え、当時のあの夢と希望に溢れた力強いビートが蘇るのです。
前置きはコレくらいにし今回の盤をご紹介しましょう。編集長MASH氏から譲り受けた「フレディ&ザ・ドリーマーズ」のアメリカデビュー作(1st)のレコードです。(US Org 初回マト MONO盤)
こちらは1965年にマーキュリーから出たアルバムで、本盤、現在ではまったく語られませんが「ドゥ・ザ・フレディ」という、リードボーカルのフレディのダンスをフィーチャーした曲のヒットが有名なバンドで、子供に大うけした様(さま)からコミックバンドとして軽く片付けられてしまった昨今です。ただ僕は昔から彼らを高く評価しており、その「ドゥ・ザ・フレディ」を聴くだけで、彼らの演奏力の高さや歌の上手さに気付くはずなのです!実力があるからこそ、良い意味でふざけることも出来るんですよね。しかも彼らはこの曲をアメリカで大ヒットさせております!(この時点のアメリカではシングル盤発売のみにより、本作には未収録)
皆さん、この『1stアルバム』ジャケットからして明らかにアメリカの「ドゥワップグループ」を意識した構図とお気づきになったでしょうか?そして中身のサウンドでも、アメリカのカントリーや黒人音楽の影響が色濃い!(「ジョニーBグッド」や「カンサス・シティ」も収録)。ただ、それらは黒人っぽく表現するのではなく、バンド演奏は敢えてシンプルにロールしています。曲によってはヴォーカルとコーラスを生かすことに徹底しており、変なギミックがないクリーンな音だからこそ、その温か味がシッカリと残るのです。バンド音楽を演っている人なら分かると思いますが、シンプルな演奏ほど、ごまかしが利かないし、ミスが目立つんですよね。だからこそ、ある種の音楽的緊張感があり、レコードだとより一層そこを感じることが出来、Goodでしょう!
う~ん。聞けば聞くほど「やっぱり良い!」そんな「ブリティッシュビート」盤。今回は軽~く紹介がてら本盤を書かせて頂くつもりでおりましたが、つい長文となってしまう始末・・・。当ジャンルの音楽も「底なし沼のようにどっぷり深い」ので、ぜひ今後もご紹介させて頂ければと思いますので、次回以降も是非お楽しみに!それでは今回はこの辺で!御機嫌よう!そして良い盤ライフを!
《Starman★アルチ筆》
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