ボランタリー画廊   副題「げってん」・「ギャラリーNON] 

「げってん」はある画廊オーナとその画廊を往来した作家達のノンフィクション。「ギャラリーNON]は絵画を通して想いを発信。

ギャラリーNON(34) 水彩画の彩展

2009年05月26日 | 随筆
 京都郡みやこ町にあるギャラリー「みどりの館」を営んでいる方から、第1回「水彩画の彩展」と称した展覧会を催したいとの連絡があり、出品してくれないかと依頼があった。応じることにした。 近郊の38人の作品が集まった。 画廊主の話では、最近、水彩画は人気があるそうだ。
 なぜ人気があるのだろう。私自身は水彩画大好き人間なのだが、みんな私と同じ気持ちなのだろうか。油絵で出品に夢中になっている人たちは、水彩画のことは口に出すこともないし、どちらかというと軽く見過ごしているような気がする。絵は油絵に決まっているが如きでもある。
 もし、油絵と水彩画を並べてどちらが好きかと尋ねられたら、私は作品として好きな方を選ぶが、油絵を愛好する人から見れば、水彩画をチラッと見る程度で、油絵を選びそうな気がするのである。
 私は、20年くらい前に、市立美術館でフランク・ステラの作品を見た。額縁の中から金属が無秩序にはみ出した作品だった。驚いたことにそれでも絵画というのである。
 油絵は基材の上に絵具をのせて固まらせている。ある場合は1cmくらい塗りつけてありナイフの痕が切立っている。コラージュという表現法もある。ステラに言わせると1cmまでは絵画で10cm前に出てきたら絵画ではないという決まりはないというのである。ステラの作品は30cmくらい飛び出ていたと思う。その時のショックで私は油絵アレルギーになった。
 そんな理由で油絵よりも水彩画が好きという人は、そう多くないだろうと思う。

ギャラリーNON(33) 自分史学習塾・その1

2009年05月20日 | 随筆
 務めていた会社のOB会のメンバーで、総務課に居た先輩が私にチラシを送ってきた。自分史学習塾が開講されるので参加しないかと言う誘いである。先輩がその総務課時代にお世話になった消防署の防災課長が、退職後若松市民会館の生涯学習センター長をしており、センター長の発案でプロの作家を講師に招いて前述の塾を開くと言うのだ。
 生涯学習センターは、私の開いている水彩画クラブの活動場所の一つでお世話になっている場所である。チラシをよく読んでみると、そのプロの作家というのが、「九州文学」という同人誌の編集長で、なんと、私のスケッチや作品を使っていただいている方ではないか。
 「これは、ご縁だ」
と 思わず叫んだ。
 お世話になっているが、いつもメールのやりとりばかりで面識がない。文が書けるかどうかより、編集長にお会いしたい気持ちが先立った。
 すこし間をおいて、塾にはいるかどうかと思案した。しかし私に文が書けるかどうか考えたことがないので答えが出てこない。これからブログを続けていくためにも、読者に読みやすい文章が示せるようになるためにも、入ってみるかと考えた。
 ”never too late” 
 すぐさまセンター長にお会いして日頃お世話になっている礼を言い、学習塾入会の手続きをとった。

ギャラリーNON(32) 「鈍行会」の展覧会

2009年05月04日 | 随筆
 北九州市小倉北区の珈琲館「ドン」の店主が主宰する絵画の展覧会、「鈍行会」に参加した。福岡市立美術館の市民ホールで4/28~5/6まで。日本画、洋画、染色絵、ちぎり絵、墨彩画、版画、古布絵などなど広いジャンルの平面絵画作家24人が出品する。
 ひょんなことから、昨年の秋に入会のお誘いを受けたのだが、画暦を問わない店主の姿勢に絆されてこの会に加えて頂き、文字通り末席を汚すことになった。
蒼々たる諸氏の作品の中に入ると、私の作品は目方が軽い。一つのテーマを何年も描き続ける皆さんの作品に対して私の作品は幾つかのエスキースを経てデッサンしているものの、突っ込み方は浅いということだろう。なぜ皆さんは同じテーマを何年も続けるのか私には理解できていないところも私の未熟さであろう。
 
 会場の入口でカウンター片手に当番をしていたら、主宰のドンさんが現れ、少し遅れて、どこかで見たことのある女性が現れた。FBSの「めんたいワイド」にレギュラー出演の料理研究家・山際さんだった。ドンさんは私に山際さんをエスコートするように言いつけた。私は皆さんの作品を解説するほどの力はないので、作品を見ながら歩を進める山際さんの背中から若松の美味しい店の話を持ちかけた。ところが、驚いたことに私よりはるかに詳しく、
「若松に行った時は、鉄なべ・山田食堂・出雲そば・花遊・ライトハウスがコースなの」
という返事。これには参りました。
 しばらくそんな雑談を続けていると今度は、彼女の方から、私の作品の感想を言って下さった。
「あれは数珠ですか。いろんな対象を配置するよりも一つの対象で配置する方が苦心があったでしょうね。」
「寒さに晒されて終わりが近づいた風景ですが、ちゃんと数珠の実が再生を感じさせます。」
「侘びさびの風情ですね。」
と、こんな具合で、私の気持ちを的確に読み取って下さった。私は、
「今日、ここに当番にきて良かった」
と笑顔を返しました。二つも続けて参った一日でした。