ボランタリー画廊   副題「げってん」・「ギャラリーNON] 

「げってん」はある画廊オーナとその画廊を往来した作家達のノンフィクション。「ギャラリーNON]は絵画を通して想いを発信。

ギャラリーNON(42) 初めての検査入院(2)

2010年02月16日 | 随筆
 こんなに空腹を感じるのは、高校の寮生活以来のことではないだろうか。5:00から本格的に下剤を飲む予定だからそれまで眠らないといけないに、空腹で眠れそうにない。また、人物スケッチの模写を始める。
     
     
  
 空腹を通り越して眠気が勝ったのだろう、3時間くらい眠ったようだ。携帯電話の目覚まし時計の音で5:00丁度に目をさました。看護士が2リットルのムーベンという下剤を持ってきた。時間をかけてこれを飲む。夜があけて9:00になっている。排便はもう11回目。便というより一寸色のついた水になっている。
呼び鈴をならして看護士に便器のものを流さないで見て貰う。
 「また呼んでもらってもいいですか」
と言う。この日本語では意味が分からないので聞き直すと、どうやら、
「まだきれいになっていないので、次の排便を見るから呼んで下さい」
と言っていることが分かった。
結局17回目に合格になった。2リットルでは足りず、水を1リットル近く飲み足したと思う。そして、あの「また呼んでもらっても・・・」を7回聞くことになった。

 11:00に処置室に入った。軽い麻酔を打たれたので、検査が始まった直後に眠ってしまったようだ。気が付いたら病室に運ばれている途中だった。しばらく病室で休んでいると担当医が来られて所見を聞かせてくれた。
 「小さなポリープが見付かりました。診断を下すのは2週間後になるが、外観では悪性腫瘍ではないので、心配しなくてもいいですよ。」
11年前には何の異常所見はなかったので、11年間にできたということだ。嫌な感じである。

 落ち着かない気持ちで2週間が過ぎた。無罪と言われているが判決を言い渡されるまでは落ち着かないといったところだろうか。
 「“線腫”です。今後、線腫の数が増えたり、大きくなったり、変質したりする可能性があります。2年に1度望ましくは1年に1度の検査をすることを勧めます。」
 小さな声で
 「よかった」
という言葉が口をついた。聞えたのか看護士がニコッと微笑んだ。そしてその直後、「また、あの検査をうけるのか」と贅沢な不満が頭をかすめた。 

ギャラリーNON(41) 初めての検査入院(1)

2010年02月02日 | 随筆
 11年前の人間ドックで便潜血と言われて大腸内視鏡検査をしたことがある。検査前夜は軽い食事をとり、当日は朝食をしないで朝から下剤を飲む。トイレに10数回通い詰めて昼前に漸く腸内洗浄が完了して内視鏡検査となる。腸の中を得体の知れないものが動き回るのが分かり、気持ちが悪い。
 昨秋のドックでまた便潜血となり、「早期発見であればもう少し生き延びられるんだから」と自分に言い聞かせて、あの嫌な検査を受けることにした。11年もすれば検査も様変わりして、前日からの検査入院となった。4人部屋の病室に入り、患者さんに挨拶をするが一泊二日の検査入院では仲間として受け入れられてない感じだった。
 一冊の人物スケッチの本を持ち込んでいたので、早速、トレーニングのためその本に掲載されている作品の模写を始めた。



 昼は粥、夜はおもゆ、その直後に下剤を飲まされた。1時間もすれば腸がアイドリング状態となり、トイレへ駆け込む事態となる。一気に病人のようになった。
 21時、夜勤の看護師がやってきて、
 「うんちを出す薬の方、飲んでもらってもいいですか」
と変な日本語で、胃透視の後にくれる下剤と同じ色形をした薬をまた置いて行った。
日頃から気になっている変な日本語を、今、こんな場面でこんな人から直接突きつけられると自分でもはっきり分かるくらいの不機嫌な顔になった。