ボランタリー画廊   副題「げってん」・「ギャラリーNON] 

「げってん」はある画廊オーナとその画廊を往来した作家達のノンフィクション。「ギャラリーNON]は絵画を通して想いを発信。

ギャラリーNON(71)  絵画の飾り場所

2014年02月27日 | 随筆
  手術後4日目、体は一日も早く動かした方がいいと言われて点滴のキャスターを引き回しながら廊下を歩く。廊下の壁のところどころに絵が架けてある。印象深い作品もあるが、ほとんどは患者さんが入院中に描いた色紙や写真、水墨画、書、俳句・俳画のようなものである。病院が患者さんから頂いた作品を選んで掛けるわけにも行かなかったのだろう、所狭しと並べてある。もちろん、同じ壁に病院としての案内、注目されている治療法の説明、病院の基本理念、注意事項なども掲示されている。
  私はふと思った。病院にはディスプレイのセンスが作動していないのではないか。病院の雰囲気作りをするのはどこなんだろう。患者と接する看護師でもない。もちろん、外来・入院病棟を休みなく立ち回る医師たちでもないだろう。検査医、設備保全、清掃の方たちは時間も権限もなさそう。やはり総務的な部署に適した仕事だなと思って、何処にそんな部署があるのか見回すが見当たらない。入退院の手続きや、会計窓口は総務系の仕事に見えるけれども、本当にこの病院に所属している職員とは思えない向きもある。病院の全病棟の略図を調べると管理棟と言うのがあるが、ここにどういった部署が入っているのか記載がない。ここは、患者には直接係わりがないので表記していないのであろう。
  掲示や展示は病院発の意思によって成されるものではないだろうか。基本理念を実践するために日々どのような医療活動をしているかをディスプレイして欲しいと思うが、HPを参照してもそこまでは示されていない。絵画は鑑賞するものであるが、音楽も台詞もなく、画面は静止して動かない。しかし、その前に立つとその人なりの思い巡らしが始まり、しばらくの間絵に誘導された空間に立たせる力がある。だから、せめて掲示物のなかに混在させないディスプレイをして欲しいと願う。