ボランタリー画廊   副題「げってん」・「ギャラリーNON] 

「げってん」はある画廊オーナとその画廊を往来した作家達のノンフィクション。「ギャラリーNON]は絵画を通して想いを発信。

ギャラリーNON(39) 有終というテーマ

2009年11月24日 | 随筆
 夢の実現のため脱サラしたN氏は個人ギャラリーを設けた。そのギャラリーの名は「みどりの館」。平成筑豊鉄道の一両編成の電車が今川沿いに広がる田園の中を走るのどかなみやこ町に「みどりの館」はある。
 N氏は営業活動として九州北部のギャラリーを巡り、営業戦略を練った結果、三つの展覧会を企画した。その一つが「碧の風展」である。九州北部の作家に声をかけ、作家達に発表の場を広げてもらおうと考えた。企画趣旨に無名の作家にも発表の場を提供するとあって、その無名の私にも声をかけてもらい、恐縮しながら出品した。プロの作家達が妙な作品が混じることで引いていくのではなかろうかとちょっと心配である。
 
 出品作品は「有終 Ⅳ」とした。このテーマは、ギャラリーNON(38)にも書いたが、あるものが終わる時、なんとも言葉で言い表せない美しさがある、それを描きたいのだ。 
 今日、NHKの総合TVで「立花隆・がんの謎に挑む」というドキュメンタリーがあった。最近の多くの放送は事実をきちんと伝えようとすることに注力せず、主観をどんどん割り込ませて番組制作者の持っていきたい方向へ導く傾向にあるが、この番組は立花さんの主観はなく、事実を正確に伝えようとしていた。細胞を毒殺する薬が抗がん剤だと正直に伝えた。癌の転移はほぼ確実と診断された立花氏は残っている人生を光る仕事に費やそうとしている。そしてホスピスで最期を迎えたある癌患者の最期の光るものを見せてくれて番組は終わった。
 テーマ「有終」に重なるところがあり、もっと幅広く、もっと奥深く追求して、発表の場を与えて下さったN氏に応えられるようにして行こうと思う。