2013・1・12西日本新聞の文化欄に幸田真音さんのご挨拶が掲載された。
「小説「天佑なり」連載を終えて」と題して2000字分の囲い記事となっている。 以下、文章を引用さて頂きます。
一年二ヶ月の連載を終え、今はなんだか体の真ん中に大きな穴が空いてしまったような感覚に襲われている。・・・中略・・・なにをしていても、片時も離れずわたしのなかにあったそのとてつもなく大きな存在は、連載終了を経て、やがてはわたしから抜け出ていかれるのかと思うと、無性に寂しい。・・・中略・・・十年ほど前になるだろうか。・・・財政制度等審議会の委員だったころ、ふと耳にした官僚の言葉がきっかけだった。・・・
「日本国債を海外で売ろうと頑張るなんて、明治時代の高橋是清以来のことなんですよ」
担当者のそんな言葉は、私の記憶に強烈に刻まれた。財政問題をライフワークとしているのなら、いつか是清について・・・。・・・中略・・・。
是清の生涯を軸に、明治、大正、昭和初期と時代を追って書いてきたが、繰り返される政権交代、関東大震災、そして世界的な大恐慌という背景のなかで、当時この国が向き合わされてきた財政問題は、いままさに日本が直面している現代のそれとあまりに類似していることに気づかされ愕然とした。膨大な資料のなかに是清自身の珠玉の言葉をいくつも見つけ、作中で語らせてきたが、もしや是清自身が現代の日本人に語りかけているのではないかという錯覚に、何度も囚われた。・・・後略・・・。
作中で是清の発言がなんども出てくるが、小説とはいえ、どうしてこんなひれ伏したくなる言葉がつくれるのかと感心したのは、事実に基づいていることが分った。作者が主人公に惹かれたように、私は作者に惹かれ、作者の登場させた主人公に惹かれたのだ。
「小説「天佑なり」連載を終えて」と題して2000字分の囲い記事となっている。 以下、文章を引用さて頂きます。
一年二ヶ月の連載を終え、今はなんだか体の真ん中に大きな穴が空いてしまったような感覚に襲われている。・・・中略・・・なにをしていても、片時も離れずわたしのなかにあったそのとてつもなく大きな存在は、連載終了を経て、やがてはわたしから抜け出ていかれるのかと思うと、無性に寂しい。・・・中略・・・十年ほど前になるだろうか。・・・財政制度等審議会の委員だったころ、ふと耳にした官僚の言葉がきっかけだった。・・・
「日本国債を海外で売ろうと頑張るなんて、明治時代の高橋是清以来のことなんですよ」
担当者のそんな言葉は、私の記憶に強烈に刻まれた。財政問題をライフワークとしているのなら、いつか是清について・・・。・・・中略・・・。
是清の生涯を軸に、明治、大正、昭和初期と時代を追って書いてきたが、繰り返される政権交代、関東大震災、そして世界的な大恐慌という背景のなかで、当時この国が向き合わされてきた財政問題は、いままさに日本が直面している現代のそれとあまりに類似していることに気づかされ愕然とした。膨大な資料のなかに是清自身の珠玉の言葉をいくつも見つけ、作中で語らせてきたが、もしや是清自身が現代の日本人に語りかけているのではないかという錯覚に、何度も囚われた。・・・後略・・・。
作中で是清の発言がなんども出てくるが、小説とはいえ、どうしてこんなひれ伏したくなる言葉がつくれるのかと感心したのは、事実に基づいていることが分った。作者が主人公に惹かれたように、私は作者に惹かれ、作者の登場させた主人公に惹かれたのだ。