秋も深まってきた。私が中学生のころ松茸を採る義兄について行って、どうにか見つけた松茸は、うっかり踏んづけることでしか見付からなかった.たった一個の傘の壊れた松茸を,七輪で焼いて醤油をかけて食べた味が忘れられない。その後今日まであんな美味しい松茸に出会っていない。つい一昨日、TVのドキュメンタリー番組で、松茸だけで生計を立てることに成功した農家の執念の人を取り上げていた。松茸はその松林の間伐と周りの落ち葉のかきとりなどをしておくとよく採れるという。これを糸口に、松茸の生育について深く掘り下げた人の25年間の苦労話だった。この人は思考錯誤を繰り返しながら、家族の心配をよそに毎日ワクワクしながら過ごしたことだろう。今では、松茸の栽培技術は、農林水産業の本格的な研究テーマの一つとして定着しており、間もなく私たちの口にもおいしい松茸が届くに違いない。
私たち絵を描くことを趣味にする者にはどんなワクワク感があるのだろうと振り返ると、うまく描けたなと思えた時だろう。もっと正確には、完成間近になって「これでいいのができるぞ」と思えた時かもしれない。それにしても、最近そのワクワク感が弱まっている。前の「ギャラリーNON85 形が消えた」では、初めての作品を目指した取組みとあって、描き始めから描き終わるまでワクワク感が絶えなかった。そして、その後も数点の作品に取り組んだがまだまだ緊張感は続いており、わくわく感も消え去らない。これをしばらく続けてみようと思う。
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「儚」、M20号、2017.10作