夏原 想の少数異見 ーすべてを疑えー

混迷する世界で「真実はこの一点にあるとまでは断定できないが、おぼろげながらこの辺にありそうだ」を自分自身の言葉で追求する

コロナ危機「日本では、コロナワクチンを安全に接種できるのか?」

2020-12-15 18:26:00 | 政治
ワクチン投与の見切り発車
 ついに、12月8日に英国で、14日は米国でコロナワクチンの接種が始まった。両国とも、甚大な被害がもたらされているので、予防への期待は大きい。米国ファウチ所長、全国民がワクチン接種なら来夏にも「正常化」と言ったのも、期待の大きさの表れでもある。
 ワクチンそのものは、一般の医薬品と同様に人の健康を守る上での大きな武器である。WHOが昨年1月、10個の「世界の健康に対する脅威」の内の一つに「ワクチン忌避」を挙げた。非科学的な論拠から、ワクチンを拒絶する傾向が世界各地で大きくなっていることへの危機感からである。例えば、ワクチンの接種によって麻疹やポリオ、子宮頸がんの原因になるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を予防することができるが、それが期待どおりに進まない原因の一つにもなっているからである。
 当然、ここでのワクチンとは、安全性が一定以上確立されたものが前提になっている。しかし、コロナワクチンが今の段階で「安全性が一定以上確立された」とは言えないのが、現状である。
 11月28日、15か国のワクチン接種に「同意する」かどうかの比率が報じられた。日本は69%が「同意する」というもので、15か国平均が73%、高い方がインド87%、中国85%、韓国83%で、低い方が欧米のスペイン64%、米国64%、フランス54%となっており、概ね、日本は真ん中ぐらいである。国によって差が大きい理由は明確ではないが、「同意しない」理由の最大のものは、ワクチン開発が早急であり、拙速な感が否めず、副反応(副作用)が精査されていないことだと思われる。
 確かに、コロナワクチンは、通常のワクチン開発が早くとも数年かかるものが、10か月程度で、英国、アメリカなどの規制当局の認可がおり(ロシアでは、通常の「認可」の前に投与が行われている)、一般投与が実施され始めた。そのことは、欧米のメディアが繰り返し報道していることで、安全性の懸念から比較的欧米の同意率が低いのも、それを裏付けている。
 それにもかかわらず、各国政府がワクチン投与を急ぐのは、被害があまりに甚大で、現在も感染拡大に歯止めがからないからである。ワクチンに限らず、一般に医療行為は、した場合としない場合のプラスマイナスが天秤にかけられる(その他に倫理の問題があるが)。今回のワクチン投与の見切り発車は、安全性の懸念が払拭されていないが、現実の感染防止策が僅かしか効果がなく、毎日のように数多くの人が死亡しており、このままでは、さらに被害が拡大しかねないからである。製薬会社のデータがある程度の有効性と安全性を示しているので、この判断はやむを得ないだろう。
 
規制当局の承認後も安全性は監視される
 しかし、一般接種を実施したとしても、その安全性は厳密に監視されなければならない。WHOをオブザーバーとしているICMRA薬事規制当局国際連携組織は、「ワクチンの安全性及び有効性担保に関するICMRA共同声明」を出しているが、その中で、各国の規制当局の「承認後も引き続き監視され」続けなけらならないとしている。また、ICMRAは「いかなる規制当局に承認された後でも、試験の継続中及び最終解析終了後に実施される予め計画された解析により、ワクチン投与群と対照群のフォローアップを可能な限り長く継続することを担保する開発戦略を立てるべきである」との声明も出している。つまり、ワクチン投与後の全員の健康継続追跡調査や臨床試験の継続が必須だというのである。このことは、日本での実際のワクチン投与でも、十二分な健康監視や日本での臨床試験が必要ということを意味している。

これは日本でできるのか?
 厚生労働省は、10月23日に日本医師会や各都道府県に充てて、「新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業等について 」という通知文を出し、大枠の接種体制に関する指針を示している。また、12月になって、予約制にする、冷凍庫を確保するなどと方針を明らかにしている。しかし、その中で、最も肝心な接種後の監視体制ついてはほとんど触れられていない。上記で挙げた健康継続追跡調査や臨床試験が抜け落ちているのである。インフルエンザワクチンより、いくらか防護体制を厳しくする程度の内容に過ぎない。
 世界中で、ワクチンへの安全性を疑問視する声は大きいが、それに対処する施策は「相談窓口を置く」程度で、ほとんど無いに等しいのである。実際に英国で実施され始めた接種は、インフルエンザどころではなく、例えば、接種後は30分間、医師がアレルギー症状が出ないことを確認しているし、その後も接種者は追跡されて健康監視されている。コロナワクチンは未知のもであり、何が起こるか分からないからだ。どんな副反応が起こるか、分からないのだ。徹底した健康監視がなければ、安全性は担保できないのだ。
 厚生労働省は、先発の欧米各国の情報を得ればいいと考えているかもしれない。しかし、12月8日、MITマサチューセッツ工科大学はコロナワクチンの有効性が人種によって異なる可能性」があると、機械学習モデルの研究を発表した。つまり、白人の臨床試験での有効性が、別の人種でそうとは限らないというのだ。日本でも厳格な健康監視がどうしても必要な理由がここにもある。
 ワクチンはできるだけ多くの国民が接種しなければ効果は期待できないが、ワクチンを懐疑的に見る「ワクチン忌避」の運動は世界的な広がりを見せている。これには、ワクチンは暴利を貪る製薬会社の陰謀だなどというものも含まれる。それが馬鹿げているのは、英BBCウェブサイト(12月13日)を見れば分かる。例えば、世界中で最大の32億回分の予約を受けているオックスフォード・アストラゼネカは、開発費の6割を各国政府、3割を非営利団体から得ている。これは、製薬会社は政府と非営利団体の要求を飲まなければならないことを意味している。つまり、ほとんど政府主導による開発になっているのである。(日本の製薬会社が開発しなかったのは、日本政府が資金を提供する意思がなかったからである。)その価格も1回あたり4ドルから8ドルに抑えられている。(今のところ最も高いのが、モデルナで25~37ドルだが、実際には価格は完全に抑えられることが予想されている。)どう考えても、暴利は貪りようがないのである。だからこそ、製薬会社は自前の資金を出したがらないのである。
 この陰謀論は馬鹿げているが、そもそも人びとが懐疑的になるのは、開発と規制当局の承認が早急過ぎたからである。だからこそ、ワクチン投与の副反応などの正確な科学的情報提供がいっそう要求されるのである。

医療従事者の不足
 厚生労働省は、接種体制の大枠を示したが、事前の健康診断や事後の継続監視は日本では、完全にはできそうもない。何故ならば、、最も肝心な医療従事者の人数が現時点でも不足しているからである。いくら冷凍庫を大量に用意しても、ワクチンを扱うのは医療従事者である。インフルエンザワクチンの成人接種率は約30%程度だが、コロナワクチンは全国民接種の目標を下げるわけにはいかない。それだけでも、膨大な医療従事者が必要とされるのが分かる。さらに、ワクチン接種体制と同時に、現行の治療体制は継続させなければならない。現行の治療でも、医療は逼迫し、余裕はない。その状況で、さらに多くの医療従事者を確保するのは到底不可能だろう。
 日本の感染治療の医療体制も、感染検査体制も充分とは言えない。ワクチン接種体制は人的に貧弱で、副反応の正しい情報も出せない。ワクチン接種に同意しない者は増える。治療もうまくいかない、ワクチンも行き渡らない。どう考えても今の政府では、2021年も、ファウチ所長の言う「正常化」は日本ではできそうもない。
 
 
 
 
 
 
 
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