夏原 想の少数異見 ーすべてを疑えー

混迷する世界で「真実はこの一点にあるとまでは断定できないが、おぼろげながらこの辺にありそうだ」を自分自身の言葉で追求する

新形コロナ(COVID-19) おかしなことだらけ②「中国式を模倣せざるを得なくなった欧米諸国」

2020-03-22 16:55:00 | 政治
 中国本土以外の感染確認者が中国本土を超えた。その中でも欧米の感染の拡大がとてつもなく早く、膨大な数に及んでいる。WHOが感染拡大を1月に警告したにもかかわらず、3月に爆発的感染拡大が起こる2か月間、欧米はせいぜいアメリカが中国に対する入国制限を行ったぐらいで、ほとんど何もしなかった。そのことが、これほどまでの爆発的感染拡大を招いたのは疑いのないことだ。それとは逆に、最も迅速に対応したのが、シンガポール、台湾、香港で、1月の段階で国境でのスクリーニング(感染の疑いのある者を洗い出す)を実施し、感染の疑いのある者の入国制限を実施した。それが効果があったと考えられ、これらの地域では、充分な検査数があり、確認例が少ないことがそれを証明している(日本は検査数が少な過ぎて、感染の実態は不明)。その他のアジア諸国も欧米より早く何らかのquarantine検疫を実施している。
 ではなぜ、欧米は2か月もの間、ほとんど何もしなかったのか? それについて、WHOの元研究員のTikki Pangestu は、「中国は非常に遠く、欧米では感染は起こらない」という認識があったためだと言う(英BBC3月19日 上記の国の動きも英BBCの記事を参考にした)。つまり、遠い世界の話で自分たちには関係ないだろうという甘い認識があったということだ。
 しかし、この「中国は非常に遠い」という言葉の中には、物理的に遠いという意味の他にもう一つの意味が考えられる。アジア人をコロナと呼ぶようなことであり、人種が異なるという意味だ。認識の片隅に、COVID-19は中国人、アジア人の病気という馬鹿げた心理が働いていたのではないか。白人・黒人にとって、アジア人はよく分からない人たち、別世界の住人たちという意識があるのは以前から指摘されているが、それが今回災いしたのではないか。
 さらに言えば、「欧米では起こらない」という認識の中に、中国の政治体制の問題が潜んでいる。欧米メディも政府も、武漢での感染初期に中国政府が隠蔽したと非難している。それは「一党独裁」国家だから「隠蔽」し、感染拡大を防げなかったというものだ。これは、「民主主義国家間では戦争は起こらない」という言説のようなもので、逆に言えば、「自由民主主義」国家である欧米では感染拡大は起こらないという論理につながりかねない。そもそも、「隠蔽」は事実のようだが、それは何のためだったのか? 結局のところ、この「隠蔽」が国内での共産党批判を呼び起こしているのだ。自身の批判を大きくするために、「隠蔽」するという自殺行為を行ったのか? そんな馬鹿げたことがある筈はない。「隠蔽」で困難を余儀なくされたのは、共産党自身なのである。むしろ、アメリカ映画のように、武漢のウイルスも人間も空爆して焼き払い、何もなかったことにするというのなら、まだ理解できる。何があったのかは想像に難くない。無能な武漢の党官僚たちは、ことの重大さが理解できなかったのである。だから、官僚の事なかれ主義に基づき、面倒なことは隠し、挙句に医師を逮捕したのである。勿論、この武漢の党官僚たちは解任されている。
 イタリアの場合も同じようなもので、感染拡大の発端となった病院での医師がCOVID-19であることを疑わないというミスをおかしたのだ(BBC,AFPの記事による)。言ってみれば、武漢の党官僚たちも重大な疾病であるという疑いをもたなかったというミスをおかしたのだ。
 「一党独裁」でも「自由民主主義」でも、ウイルスは区別なく感染する。ミスがあれば、感染拡大は防げない。当たり前のことだが、自分たちの世界とは違うという心理が働いたのは否めないだろう。
 COVID-19は欧米の感染確認例も中国を抜き、自分たち自身の問題になった。結局、欧米はsocial distance社会的距離政策など、「一党独裁」国家中国式強硬策をとらざるを得なくなった。市中に軍隊まで配備するという「独裁」国家の戒厳令のように。
 
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新形コロナ(COVID-19) おか... | トップ | 新型コロナ(COVID-19)おかし... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

政治」カテゴリの最新記事