夏原 想の少数異見 ーすべてを疑えー

混迷する世界で「真実はこの一点にあるとまでは断定できないが、おぼろげながらこの辺にありそうだ」を自分自身の言葉で追求する

「戦争狂の殺人鬼と化したプーチン(5) 世界大戦へのシナリオ 人類滅亡?」

2022-03-14 11:15:05 | 政治
 

 ロシアが侵略を開始してから3週間近くになる。戦況は、ロシア軍がじわじわと東部の都市を占領し、首都キエフに迫っているが、その進撃は極めて遅い。それに関しては、多くの軍事専門家が指摘するように、ウクライナ軍の抵抗がロシア軍の想定以上であり、ロシア軍自体の補給不足と士気の低下が考えられるが、いずれにしても、プーチンに侵攻を辞める意図は見えず、このまま戦線は拡大していくものと思われる。
 これに対してアメリカのバイデン政権は、NATO軍のウクライナ領土への投入を控え、ウクライナ政府が要求している飛行禁止区域の設定まで拒否している。勿論、これはロシア軍との直接的衝突を回避しているからであり、それが世界大戦につながりかねないからである。
 3月11日、ワシントンポストは、
<We can do more to help Ukraine without provoking World War III>(第3次大戦を引き起こさずに、ウクライナをもっと助けることができる)という専門家の意見を取り入れた記事を載せている。この記事の主旨は、「プーチンと彼の顧問には、軍事的に優れたNATOとの戦争はしないという独自の理由がある」として、 ロシア軍もまた、NATO軍との直接衝突は避けるはずであり、そのリスクぎりぎりの線で、もっと多くの軍事支援ができるというものである。具体的には、ロシアと協議の上、民間人避難を安全にするためだけの飛行禁止区域を設定することや戦闘機の提供も考慮すべきだという。
 恐らくこれは、バイデン政権の政策検討を反映していると思われる。そこには、経済制裁だけでは、プーチンが方針を変えそうもないという事情がある。プーチンにとっては、ある程度の経済制裁は想定内であり、人びとの生活を犠牲にしてまでも、野望を遂げたいという願望が勝っているように見えるからだ。
 今後アメリカは、さまざまな軍事支援オプションを、ロシア側の出方を伺いながら試すだろう。それは、ロシア軍とNATO の衝突回避を念頭に置きながらも、戦況が長引けば長引くほど、ウクライナ側の被害が増えることから、ロシア軍を攻撃すべきという世論の圧力は強まり、衝突リスクが高いものへと順次移っていかざるを得ない。
 既に、ロシアはNATO のウクライナ軍支援に使われているウクライナ西部の軍事基地へミサイル攻撃を始めた。そこに、(いないことになっている)アメリカ軍関係者がいれば、被害が及びかねない。その時は、さらなるウクライナに直接軍事介入すべきという世論やアメリカ軍内の強硬派も勢いづく。
「軍事的に優れたNATOとの戦争はしない」というロシア側の意思も、小規模衝突ならやむを得ないと変わるかもしれない。これはアメリカ側も同じである。
 ロシア軍は、ポーランド国境沿いの軍事支援基地を攻撃し、それはウクライナ領かポーランド領かはっきりしない地域(双方が都合のいいように解釈するので)にも及ぶ。そこから戦闘がエスカレートすれば、それは第3次大戦の引きがねとなるだろう。
 ウクライナを助けろ、という世論が、軍事支援に突き進めば、必然的に第3次大戦のリスクは増大する。それがどこまで理解されているか、極めて疑問だ。
 
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