1月30日、日経新聞とテレ東の最新の世論調査が発表された。それによると、岸田政権の内閣支持率は59%で、前回12月と比べて6ポイント下落したという。また、「優先的に処理してほしい政策 」で「新型コロナウイルス対策」 が49%と前回から11ポイントも上がり、その岸田政権の対応についても、6ポイント低下したという。その要因がCOVID-19の爆発的感染拡大であることは、誰の目にも明らかである。
これ以前の世論調査では、1月10日の時事通信が6.8ポイント増の51.7%、1月16日の読売新聞が4ポイント増の66%とそれぞれ発表されていたので、直近になって、内閣支持率が下落し始めたことを表している。それは、ここに来てようやく、岸田政権の一見、やってるふりで、肝心なことはやらないコロナ対策が国民の目に分かるように表れ始めたことを意味している。
安倍・菅政権は、「後手後手」と言われたようにコロナ対策の失敗で支持率低下をまねき、最期は自滅した。岸田政権は、その失敗を繰り返さないようにと、首相自身が「スピード感を政策の実行へ向けていきたい」( 11日4日)と言い、「早め早めに対応」しているという印象を与えるのに懸命だった。しかし、実際には何をやったかと言えば、何もしていないのである。
岸田首相は1月10日、コロナ対策の目玉政策として病床を3割増やすと胸を張ったが、実現したのはたかだか数パーセント増だけである。厚労省の「新型コロナ対策病床数推移」で、例えば東京都では、首相就任時の10月6日の6,651床が、2022年1月26日は6,919床、268床4.0%増えただけである。大阪府でも3,421床が3,753床、332床9.7%の増加で、とても3割増などには遥かに届いていない。新型コロナ対策病床数推移(厚労省)そもそも、コロナ病床数を増やすといっても、他の患者用の病床を転用しただけで、病症の絶対数が増えたわけではない。他の重篤な患者を断らざるを得なくなるのも当然のことで、医療体制自体は改善されないままなのは分かり切ったことである。
感染爆発で、1月31日現在、東京都の病床使用率は50%間近にまで迫り、他の病症患者への悪影響などもあり、医療体制の逼迫は最悪な状況へと向かっている。
国民は感染が疑われても、自宅療養という自主隔離が主になり、病院に行くことさえもできない。病気になっても患者が医療にアクセスできない状況に陥っているのである。これは、公的医療体制のひとつである保健所の人員・個所数を縮小してきた自公政権の政策が根本原因なのだが、それを岸田政権は踏襲してきた。保健所を縮小すれば、ただでさえ業務が逼迫する保健所は、国民と病院との連絡・橋渡しができなくなるのは、目に見えている。
日本のPCRも抗原も検査数は、欧米、韓国の数十分の1にしか過ぎないが、その検査を軽視する政府の姿勢が、検査キットの不足という形で噴出する始末である。中国では、数日間に一つの都市で1000万回分、国全体では億単位の公的PCR検査を実施できているが、日本政府は1月25日に460万回分の抗原検査キットを確保したという程度で、確保数が2桁少ないのである。
そして何よりも不手際は、ワクチン3回目接種を8か月経過後などと、言い出したことだ。その後、接種の経過後期間を短縮したが、各自治体に通知した「8か月経過後」が各自治体の整備不足をまねき、全OECD加盟国の中でも断トツの3回目接種の遅れを生じさせている。岸田政権は、ワクチン調達が順調に進んでいないので、そのことを隠し、科学的根拠ゼロの「8か月経過後」と無責任極まりないことを言っただけである。
岸田政権の「スピード感をもって対応してきた」は、錯覚
国民が、何かやったような印象を受けたのは、9月頃からの急激な感染減少によって、政府がうまくやっているからだろうという錯覚に陥っただけである。すべての国で感染は上昇下降を繰り返すことで分かるように、政府が何もしなくても、下降局面に入っていただけである。それを政府の努力のせいのような宣伝に錯覚を起こしたのだ。また、前首相の菅義偉に比べれば、各段に話がうまいので、国民は本当にやってくれるだろうと幻想を抱いただけなのである。
先に発生した欧米からは少しずれて、当然のように感染爆発は起きた。これは、専門家だけでなく、多くの人にとって予見可能なことだった。それを岸田首相は、肝心なことは「検討する」と言うだけで、実際にはやらずに4か月が経過した。それが、ここに来て、「実際には何もしない」という本性がばれ始めてきたのである。
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