破壊されたガザ。この下に、未だにイスラエル軍に殺された何万人ものパレスチナ人が眠る
ロシアによるミサイル攻撃の穴を修復するウクライナ人。毎日のように、民間人がロシア軍に殺されている。
1月20日大統領に就任したトランプは、「戦争を終わらせる」と言い続けてきた。パレスチナでもウクライナでも戦争はーーパレスチナの場合は、戦争というよりも、パレスチナ人の絶滅、放逐を目的としたジェノサイド行為だがーー終わっていない。トランプが「終わらせる」と言うのは、それが大言壮語だとしても、欧米、特にアメリカが、実際に行われている戦争の継続の決定権を握っていることを、トランプ自身が理解しているからである。それは、イスラエルもウクライナも、主にアメリカ、ドイツ、英国などの国々の供給した武器で戦っているということでも明らかである。イスラエルもウクライナも、NATO諸国からの武器供給と財政支援が止まれば、戦争継続は困難になる。そのことをトランプは理解しているのである。
イスラエルとパレスチナの抵抗組織ハマスと停戦が期限つきで実現した。しかし、イスラエルは停戦後もガザ地区でも西岸地区でもレバノンでも、テロリストを殲滅させると言って、パレスチナ人、アラブ人を殺害し続けている。
トランプは、大量のパレスチナ人がガザ地区を離れ、ガザ地区全体を「一掃する」べきだという主旨の提案をした。パレスチナ人をエジプトとヨルダンに強制移住させろ、ということである。これには、パレスチナ人権団体アダラの代表ハッサン・ジャバリーン氏は「戦争直後にガザを『浄化』することは、パレスチナ人の民族浄化を通じて、事実上戦争を継続することになるだろう」と語った。当然のように、エジプトとヨルダン政府はこの提案を拒否したが、トランプは「われわれは彼らのために多くのことをしている。だから彼らはやるだろう」と、トランプは自説を繰り返している。イスラエルは、パレスチナ難民の支援と保護を目的として国連が設立したUNRWAの活動を禁止したが、トランプ政権をそれを指示している。また、バイデン政権が供給を停止していたMK84という大型爆弾をイスラエル軍への供与を再開した.
これらのことは、トランプ政権が、イスラエル・パレスチナの2国家共存を拒否し、パレスチナのジェノサイド民族浄化を狙うイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相 の極右政権をさらに強力に支援するこを示す一部である。その前のバイデン政権も、ヨーロッパ諸国も、何万人にもパレスチナ人が殺害されようとイスラエルへの軍事支援を継続することで、ジェノサイドを黙認していたのだが、トランプは、さらに進んで全面的なイスラエル支援を強化しようとしている。しかしそれでも、あるいはそれ故に、パレスチナ人の抵抗は終わることはない。抵抗と弾圧という図式で表される戦争は決して終わることはないのである。
ウクライナがロシア軍を領土全域から排撃するという勝利は、完全になくなっている。その中でウクライナでは、脱走兵が後を絶たず、新兵の供給は、極めて困難になっている。アメリカは徴兵年齢を下げるよう要求しているが、若者たちは、徴兵から逃れようと必死になっている。これらの記事で明らかなように、前線で負傷した兵士が病院から脱走する者も多く、彼らは再度前線への命令を受けることになるが、勝てる見込みがまったくない戦闘に疲れ切っているのである。
ロシアの進攻以降、ウクライナの人口は、50万人が死亡し、50万万人が国を脱出したという報道があったが、これはウクライナ国立銀行の公表したもので、実際に人口減は遥かに多く、国連は侵攻後、800万人減少したと報告している。
西側メディア、特に日本の新聞・テレビは、ウクライナ政府や英国国防省などの、ロシア側の負傷者を過大に見積もった数字や、北朝鮮兵の動向(ウクライナ軍と韓国軍情報機関の真偽不明の情報)を過剰に報道しているが、それは、NATO側の「大本営発表」であり、ウクライナへの軍事支援を強化させるための情報操作と言うべきだろう。
どんなにNATOの軍事支援で武器弾薬が増加しても、戦う兵士が不足しているウクライナ軍が、ロシア軍を排撃できる見通しは、もはや完全にないという認識をゼレンシキー政権も持ちつつある。だから、最近は度々、和平交渉という言葉を口にするのである。
トランプは、1月23日、ロシアに停戦という取引dealに応じなければ、「高水準の関税と制裁を課す」と脅したが、ロシア大統領府のペスコフ報道官は即座に「特に目新しさはない」と一蹴した。 ロシア側は、既に高関税も制裁も受けている中で、戦争経済が確立している。その状況で有利に進軍を続けているので、「脅し」に屈する必要性はないのである。
このまま進めば、ウクライナは国家として壊滅しかねない。それでも、2024年10月にNATOの事務総長に就任したマルク・ルッテは、「米国にウクライナ向け兵器供与を継続するよう求め、その費用は欧州が支払う」と述べ、NATOは軍事支援をやめようとしない。それは、ヨーロッパ諸国首脳とメディアに登場する「専門家」が、誇大妄想のように、ロシアは、ウクライナの次は、ヨーロッパ諸国全体を侵略してくるので、これはNATOとロシアの戦争だと見做しているからである。しかし、そのように見做せば、ウクライナの敗北は座視できず、軍事支援だけでロシアの敗北が不可能ならば、NATOの直接参戦しか手段はなくなる。確かに、NATOが参戦し、派兵すれば、ロシア軍を排撃できるだろう。しかしそれは、言うまでもなく、第三次世界大戦の始まりとなる。
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