TANEの独り言

日々の生活の中でのつぶやきだから聞き流してネ

北アルプスに行けなかったので、くじゅうに行く

2023-08-30 21:13:00 | 山行
8月13日の夜に九州を出て、14日から北アルプス最奥部の黒部川源流域の山域を5泊して周回する計画は、台風7号の接近で中止となりました。

台風襲来は自然現象なので文句を言ってもどうしようもありません。

かと言って、今まで灼熱の中毎日10kmの道のりをザックを背負って歩きながら昂めてきた緊張感は、なかなか直ぐには沈静化しないものです。

北アルプス遠征に向けて準備してきた3人の年配者は、やり場のない気持ちの昂まりを地元九州の屋根「くじゅう連山」に向けることで晴らそうと考えました。

出発日は14日、1泊2日の行程です。



お盆真っ只中の14日早朝に家を出て、その日は長者原から指山を経て三俣山北峰に上がり込み、その後南峰・本峰を巡り諏蛾守越経由で長者原へと降りてきました。



私は初めて歩くのですが諸先輩方は過去に歩かれた経験があり、道なき道を野生の感覚でコースを見つけ北峰に至る急登に取り付きました。





気持ち的には、北アルプスの折立から太郎平〜薬師沢小屋に向けて歩いているような気分でした。



やっと諏蛾守越まできた時に北アルプスへの蟠りを吹っ切れた気がしている自分がいました。

長者原まで降りてきた私たちは、近くの温泉宿で汗を流した後に男池駐車場まで移動し、そこで祝杯をあげたのでした。



翌日は黒岳に登る計画があったのですが、余りの心地良さについ飲みすぎた私は、次の日、途中の「ソババッケ」まで行くのが精一杯で、そこで諸先輩方の背中を見送り反省しながら駐車場まで引き返したのでした… 











一人で、大崩「おおくえ」に挑む … 【その❺】

2023-06-01 14:32:00 | 山行
 “魔法の薬" と水分と栄養と休憩をとり、私の足はほぼ回復しました。

調子に乗って上ワク塚の岩場を這い上がり、これ以上ない絶景も目にすることができました。

大崩山頂には行かないことにしたので、あとは降るだけだと思っていました。

上ワク塚の基部を出て、近くに水場があるリンドウの丘に向かったのですが、これが微妙なアップダウンがあり、再び足が痛くなってきたのです。

登山道の脇にあった倒木の幹に腰をおろし、残り1包となった “魔法の薬” の封を切りました。

さらに、行動食として持ってきた羊羹やアメ玉を口に放り込みました。

意外と冷静に対処できたのが自分でも不思議なくらいでした。

自分で言うのも変ですが、下調べと準備は完璧にできているという自負があったのだと思います。

その時点で正午前でしたので、日暮れまでには6時間以上あったことも冷静な対応ができた要因の一つだと考えます。

ザックの中にはペットボトルの水が入っていましたが、念の為にあと500㎖は確保しておきたいと考えていました。


ほどなく岩の斜面に一筋の水の流れを見つけました。


手のひらに掬い取って飲んだその水の美味しかったこと!

生き返る思いがしました。

空のペットボトルに天然のミネラルウォーターを補充し、ゆっくりゆっくりと小積ダキをめざしました。



アケボノツツジやミツバツツジの花、それに加えて登ってきたワク塚の岩の尾根が私を励ましてくれています。



小積ダキまで来た時、坊主尾根へ降るルートを探している2人の登山者に出会いました。

昨年の台風で登山道が崩れ、新たなルートがつくられていたのでした。

その後、出会った二人の登山者と降り口を探しだし3人一緒に下山したのです。

象岩下のトラバースも、


梯子とロープの難所も、



互いに気遣いながら3人で下山することは、私に安心感を与えてくれました。



坊主岩(米塚)も、延々と続く梯子の連続も、初めて出会った3人が旧知の仲間のように信頼しあって、長い長い下り道をただひたすら降りて行ったのでした。

そして、ついに祝子川の渡渉点に辿り着きました。


振り返ると小積ダキが、

『次は秋においで!』

と、私に語りかけているようでした。

車を停めている登山口まで降りてきたのは午後2時です。

私には渓流で竿を出す気力はもう残ってはいませんでした。















一人で、大崩「おおくえ」に挑む … 【その❹】

2023-05-31 09:43:00 | 山行
山に行く楽しみは山頂からの展望だけではありません。

その時期、その山で出会う草木や花々も山人の心を和ませ、倖せな気持ちにさせてくれます。


今回の山行で沢山の花を観ることができたので紹介します。

登山口付近の比較的標高の低い辺りに咲いていたのはこの花です。



私は花の名前には疎いので名前は分かりませんでしたが、あとで調べたら「ハイノキ」の花みたいです。

小さな花ですが、まだ明けきらない樹林帯の中に浮き上がった様に凛としていました。


登山道は一面に枯葉が落ちており、一面に茶色い地面に蝋でできた様な半透明の白いモノを見つけました。


登山レポートでは見たことがありましたが、見つけたのは初めてです。

名前は「ギンリョウソウ」、別名「ユウレイタケ」とも呼ばれ妖しげな雰囲気でした。


祝子川を渡った辺りから見かけるようになったのがミツバツツジです。


やや紫色を帯びたピンク色で、花と一緒に上を向いた3枚の葉の色が鮮やかです。


これはヒカゲツツジ。



名前のように、あまり日が当たらない岩陰などに品の良い黄色い花を咲かせていました。


今回、私が一番観たいと思っていたアケボノツツジです。


どアップで1枚、


稜線に近い所のミツバツツジは満開で、癒されました。


シャクナゲも見かけました。



私が気付いたのは数カ所でしたが、他にも人知れず咲いていたことでしょう。


今日のブログは、コーヒーブレイクならぬフラワーブレイクでした🌸














一人で、大崩「おおくえ」に挑む … 【その❸】

2023-05-30 14:40:00 | 山行
空が白み始めた5時頃には動き始めた登山者の気配が伝わってきました。

私も予定を1時間早めて出発することを決め、ササッと朝食を済ませて登山口に立ちました。

初めて歩く道ですが充分な下調べをしているので不安はありません。

祝子川の渡渉も何事もなくクリアです。

花を愛でる余裕もありました。

急斜面に設置された不安定なハシゴにも動じませんでした。


近年の集中豪雨で山肌が崩落し、岩盤が剥き出しになっている場所もありましたが、これも把握していることでした。


睡眠がとれていないことを考慮し、焦らずできるだけユッタリとしたペースで歩を進めて行きました。

登りはじめて2時間が経過した頃、今まで木々で遮られていた視界が突然開けました(袖ダキ展望所)。


登山雑誌で見た下ワク塚の勇壮な姿が目の前にありました。

抜ける様な青空を背景に岩のオブジェがそそり立っています。


さらに高度を上げ、先程見上げていた下ワク塚の上部までやってきました。

ギザギザとした中ワク塚が「ここまでおいで!」と私を呼んでいます。



中ワク塚までの登ってくると、岩の窓の向こう側から上ワク塚が「俺はここにいるよ!」と私を誘うのです。


余りも眺望が良くて中ワク塚の岩場の上にも立ちましたが、実はこの場所、滑落事故も発生している場所でした。


近くの岩陰に人知れずヒカゲツツジが咲いていました。

岩場の昇り降りで余計な体力を使い過ぎたようで、私は足に違和感を感じはじめたのです…

そしてそれが次第に痛みに変わり、足が上がらなくなってしまいました。

『あの時(馬見山や剱岳)と同じだ… 大丈夫!こんな時のために “魔法の薬” とストックを準備しているのだから。』

休憩をとったり、頻繁に水分を補給しながら上ワク塚の基部まで辿り着くことができました。

お昼にはまだ早い時間でしたが、ユックリと足を休ませるために昼食を摂ることにしました。

また、大崩山山頂まで行く予定を変更して、水場のあるリンドウの丘経由で坊主尾根を降りることを決めました。

満開のアケボノツツジやミツバツツジと、その下で食べたカップメンのお陰で、足の痛みはほぼ無くなりました。

その勢いで上ワク塚の上まで登り、下にある写真を撮ったのです。




上ワク塚からのパノラマは私を幸福な気持ちにさせてくれました。
















一人で、大崩「おおくえ」に挑む … 【その❷】

2023-05-29 14:34:00 | 山行
実は、今年のGW後半に山岳会の人たちと「大崩」の近くにある山へ行くことになっていました。

ところが、山行を予定していた日は天気が崩れるとの週間予報が出されたのです。

『今年こそはアケボノツツジを見れると楽しみにしていたのに… 、この時期を逃すとアケボノツツジの花は見れなくなる…

と、ガッカリしていました。

登山アプリの山行レポートに目をやると、満開のツツジたちが「今しかないよ!」と私に語りかけてくるのです。



私は居ても立っても居られなくなり、山岳会の山行は雨で中止になることを前提に、出発日を早めて一人で「大崩」に行くことを決心をしたのでした。

「大崩」は昨年登る予定でしたのである程度の予備知識はありました。

しかし、単独で初めての山に登るには、再度調べ直す必要が出てきました。

情報収集するにあたって、登山アプリに上がっているレポートも一通り目を通しましたが一番参考になったのは山仲間のブログでした。

彼はこれまで「大崩」に関するブログを幾つもupしており、「大崩」周辺での車中泊やキャンプ場・入浴施設・現地までのルート・道の駅等に関する情報を詳しく書いていてくれていたのです。

中には道迷いの失敗談までありました。

私は現地までのルートと所要時間を調べ、また、「大崩」山域の登山ルートと所要時間を2万5000分の1の地形図に赤鉛筆で書き込みました。



「大崩」への単独行の出発は5月2日の夜と決めました。

出発前に再度天気予報を確認すると、2日も3日も天気は晴れ、私は愛車のスバルXVのハンドルを握り我が家を出発したのでした。

真っ暗な山間の道路をただひたすら車を飛ばし、夜中の1時頃に仮眠をとる予定にしていた道の駅に辿り着きました。


巨大な神楽面のオブジェがある道の駅の駐車場は既に車中泊をする車で満杯でした。

私はトイレだけ済ませ、そのまま登山口まで直行することになります。

途中、道を間違え30分ほどの時間のロスもありましたが、大きな病院前で左折し登山口まで続く道へと入りました。

この道は舗装されているとは言え細く曲がりくねった山道を1時間近く走り登山口にやっと到着です。

道路脇には10台以上の車が車中泊しています。

私も車が停められるスペースを見つけ、静かに朝を待ちました。

目を閉じて少しでも寝ようとしましたが、一睡もできず朝を迎えたのでした。