下の地図の青い線が当初計画していたルートで、赤い線が実際に辿ったルートです(タイムは夏山時で、今回この1.5倍で計画)。
時には腰まで雪にはまり込みながら「風越」まで一旦下った私たちは、子三瓶山への登りに取り付きました。
「風越」から先の子三瓶山への登りには数日前のモノと思われるトレース(歩いた跡)があり、
『これから先はこのトレースを辿るだけだから随分と楽になる!』
と喜んだものでした。
ところが、そのトレースも山頂下の急登の手前で消えてしまっているではありませんか。
余りの雪の深さに登頂を諦めて、撤退したようなのです。
私たち6名は山頂に続く雪の斜面をしばらく見上げていました。
そのうちに、登山歴も長く三瓶山の周回も何度か経験がある年配の女性メンバーが口を開きました。
「山頂はこの斜面を登った先にあるから、ココを登って行くしかないよね!」
その言葉を合図に、会長さんは四つん這いになりながら深い雪の斜面に取り付かれたのでした。
一番の年配者である会長さんに大変なラッセルをさせるわけには行きません。
その時ピッケルを手にしていた私が先頭に立ちました。
『グレートトラバース』で田中陽希さんが、ピッケルを使って胸まである雪を掻き出しながら膝で押さえつけ、更に登山靴で踏み固めながらラッセルしている映像思い出し、見よう見まねでやってみました。
この時の雪は、1週間ほど前に積もった雪がその後の好天で少しずつ溶け、その上に昨晩から今朝にかけて降った新雪が数cmかぶっている模様でした。
下層の雪は半透明で氷の粒が固まっており、横にしたピッケルで雪を掻き出そうとしてもそう簡単にはいきませんでした。
それならばと、ピッケルを掴んでいる両腕の力で体を引っ張り上げ、膝で雪を締めてから登山靴で踏み固めながら登って行ったのでした。
標高にして50m足らずだったと思いますが、私は疲労困憊し、緩やかな稜線に出た後は最後尾からヨタヨタしながら付いて行ったほどです。
子三瓶山の山頂に立った時の喜びは格別でした。
太陽の光を受けた男三瓶山から女三瓶、孫三瓶山の山々も格別でした。
もちろん、そこで食べたカップ麺の味も格別なものでした。