今回の “旅” の出発予定は17:00でしたが、その45分前にフライングして我が家を出たのでした。
高速道路の通行止めも昼過ぎには全て解除されていて、私としては
『早く出発したい!』
という気持ちを抑えることができなかったからです。
高速に乗れば、富山ICまでただひたすら愛車を走らせるだけです。
3年前の「涸沢・上高地キャンブ」の際は、愛車を走らせ12時間後には岐阜県の平湯温泉に到着しています。
今回は夜中の移動なので、途中で仮眠する時間も加味し前回よりも長く18時間を考えていました。
まだ明るい時間に関門海峡を渡り、夜景がキレイな広島を過ぎ、小谷SAで最初の休憩をとりました。
神戸辺りで急に睡魔が襲ってきたので、給油も兼ねてSAに立ち寄ったり、フラットにした後部座席でシュラフに入って仮眠をとったりしました。
どれくらい寝たかは分かりませんでしたが、頭がスッキリしたので真夜中の高速を再び走り出します。
米原JCTから北陸道に入り、一気に富山まで走りました。
夜明けを迎えた富山は雨が降っており、山の姿を見ることはできませんでした。
富山ICで高速を降り、立山黒部アルペンルートの出発点である立山駅まで1時間程でした。
予定より数時間早く着いた立山駅の背後の山の斜面を、ガス状の雲が這い上がっていました。
始発のケーブルカーにも乗れる時間帯でしたが、私は駅前にある無料駐車場で、山に入るための最終チェックを入念に行いました。
周りにはザックを肩に掛けた登山客の姿がありました。
みんな同じ目的でここに車を停めているのですから、みんな私と同類です。
荷物の準備をしている私に、近くに車を停めた40〜50代と思われる男性が私に声をかけてきました。
「どちらに登られるんですか?」と男性。
「剱です!」と私が答えると、
「ヘルメットが見えたから、そうだと思いました。私も剱に行くんですが今日も明日も雨予報になってますよねー… 」と男性。
私は『イランお世話だ』と思いながらも、
「何とか回復するといいんですけどね… 」とだけ答えました。
遥々九州から車を飛ばして来たのですから、
『登れなくても、せめて剱岳の姿を拝みたいものだ… 』
と、心の中で願いました。