2019年の春に奈良を訪ねた時の事です。
退職したら、行きたい時に愛車をとばし行きたいところを自由に巡る、というのが私の夢でした。
随分前から、吉野桜を観てみたいと思っていたので、先ずは吉野山をめざしました。
その年は暖かくなるのが早く、桜の開花も早くなるとの予報が出ていたのですが、その日から寒さが戻り、吉野桜はまだ1分から2分咲き程度でした。
結局、ピンクに染まった吉野山を目にすることはできず、再訪を誓ったものでした。
その日の宿を橿原市にとっており、石舞台や橿原神宮を観てから、宿の近くで夕飯をとることにしました。
その時入った居酒屋でたまたま目にしたのが、奈良の酒『風の森』でした。
旅に出た時には、その地のモノを口にしたいと思っています。
旅は、目にする景色だけでなくその時感じた味や香りと共に強く記憶に残るものだと思います。
奈良県で『風の森』に出会ったことは、吉野桜を堪能できなかった無念さを帳消しにしただけでなく、私の退職後初めての旅を想い出深いものにしてくれたのです。
『風の森』は生酒で少し発泡感のある日本酒です。
口に含むと酸味と甘味を感じ、私好みの口当たりです。
旅から戻ってから、一度だけネットショッピングで『風の森』を注文したことがありました。
残念なことにクール便ではなかったため、あの時の旅の味わいは蘇ることはありませんでした。
私の住んでいる地域の酒屋をいろいろと廻ったのですが、どの店にもないのです。
ところが先日、よく足を運んでいる酒屋さんに行った時に、今までは置いてなかった『風の森』が冷蔵棚にあったのを見つけてしまいました。
私は懐かしい友(恋人?)に会った時のトキメキを覚え、すぐに手が伸びてしまいました。
そして、その日の夜、頂きました。
3年前の、あの時の感じが口の中に広がりました。
そのお店には、あと1種類『風の森』が並んでいるのを、私はしっかりと見ていました…