突然思い立って作った楊枝いれ

独身の頃、何らかの理由で帰宅途中に警官に呼び止められ、派出所でその警官にいろいろ聞かれたことがある。
どんな話をしたのかは覚えていないのだが、その時の今でも忘れられないエピソードがひとつある。
それはオッチョコチョイの面目躍如とでもいうべき出来事で、警官相手におもしろおかしく早口でまくしたてて、ひとときの会話を楽しんだ後、それじゃ失礼しますと機嫌よく家路に帰り着いてふっと鏡を見ると自分の唇の表面に青海苔が転々と散っている。
その夜、夕食に友人と食べたお好み焼きの青海苔だった。
「あーっ」、ひょっとしてあの警官は海苔のついたよく動くわたしの唇を眺めながら、笑いをこらえていたのではないか、いや向こうはどうとも思っていなくとも、うら若き独身女性が食後に鏡でチェックもせずに、間抜けた顔をすまして披露していたんだと思うと一挙に恥ずかしさと滑稽さがこみ上げてきて、その場で「ムンクの叫び」状態に陥ったのである。
それ以来、食後には化粧直しはせぬものの、一応鏡で変なものがついてないかのチェックはするようになった。
で、いまや孫を待とうかという年齢ともなると歯がすいてくるんですね。
食後には歯の間にはさまった食べかすに気をつけねばなりません。
鏡を見ますと、昼のお弁当に入ってたほうれん草の緑色の切れ端が白い歯の隙間に入り込んで何ともいただけない口内風景。
「やっぱり楊枝は常に持ってなくちゃいけないな」ということで、家に帰ってきてから、携帯用の楊枝いれ、和紙で作りました。友人にもあげようと思ってます。
下はそのほうれん草の入った本日のお弁当。何の変哲もないお弁当でネーミング不可でした。