テキスト主体

懐中電灯と双眼鏡と写真機を
テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

空飛ぶ冷やし中華

2013-07-11 22:29:24 | 日記
夏は食欲が増進します。
特に冷たい麺類は、そのひんやりとした喉ごし、冷たい麺にも良く絡むように工夫されたタレ、麺と合わさって食感の妙、味の共演をする具とトッピング。和洋中全ての冷やし麺は、私の夏のソウルフードです。
かつて、その冷やし麺の代表、「冷やし中華」を、こよなく愛し、その愛情の発露が、「なぜ冬には冷やし中華が、メニューから消えてしまうのだ!この全国的に共通の不可解な事象のウラには、きっと大きな闇の力が蠢き、弾圧しているに違いない!」という真理となり、立ち上がった人たち、「全日本冷し中華愛好会」という団体があり、その会報のまとめが、空飛ぶ冷やし中華でした。初代山下洋輔、次代筒井康隆という巨頭を会長に据え、マジメにバカなことが出来るヒトビトが集まったその奇矯な行動は、むしろ会報という公的な場所より、会員たちの随筆やウラ話で語られる方がずっと面白く、メタスラ(メタルスライムじゃなく、メタったスラップスティック)が、公に顕現した嚆矢ではなかったかと思います。
かの人たちは、「全冷中」という団体の存在意義、不当に弾圧された冷やし中華を救済するという架空の教義を大いに謳歌し、教条派、歴史派、古典派、バビロニア派などの派閥が跋扈し、太く短く燃えていました。
私はまだいたいけなコドモでしたから、その凶行に心から賛同できるワケではありませんでしたが、その熱い思いとともに、夏のごちそうは、冷やし中華だという刷り込みがされ、いまでも、この暑い時期を待ちわびているような、ちょっとした気概があります。